あらすじ
『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、領都イツツに留学したアッシュは、堆肥とトマトの食用化問題に一区切りをつけていた。さらに、人狼との戦いで負った傷も癒え、アッシュは再び都市全体の生活水準向上を目指す。
そのさなか、アッシュが所属する軍子会では、少年ヘルメスの夢が嗤われていた。騒ぎの原因は、ヘルメスが手にしていた歪で不格好で――しかし、精緻な細工物。それは、紛れもない航空機の模型だった。
自動車どころか内燃機関すら存在せず、絶対に空を飛べないと口々に嗤われる中で、ヘルメスはただ一人、諦めることなく空飛ぶことを夢見ていた。
空へ思いを馳せるヘルメスに感銘を受けたアッシュは、彼を嗤う人を見返すため、そして自身の夢のためにも、ヘルメスとともに航空技術の再現に挑む――!
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第三幕!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
軍子会生活に終わりを告げる3巻である。
飛行機に憧れるヘルメスが中心となる前半の“不死鳥の羽”号開発と、アーサーの事情にひとまずの終止符が打たれる後半が収録され、巻末には「誰にも誘われてないんで、村に帰ろうかと」とこぼしたアッシュのために策謀するとある少女の謀略が置かれて締められた形だ。
これまでと違って(自然生物との)命がけの戦闘シーンが含まれないため、やや地味な巻ではあるだろう。そこは次巻に期待である。
(戦闘シーンは含まれるが、その内容はどちらかというと狩猟の類である)
今回もまた加筆が多く、前半ではヘルメス(とレイナ)の、後半ではアーサーの視線が多く描かれている。
少し評価に迷ったのが、前半部におけるヘルメスの視点が物語的に重複する部分が多く、物語のテンポを重めにしていた点だ。
彼の思いを描くために必要な描写ではあるが、一度読んだ物語をもう一度読む負担は気になるところだった。
他方でアーサーの視線については、前巻から続く形で彼の人の物語を完結させるものであり、非常に上質。
最後の日に、紡いだ縁を辿るように描かれる一日の物語は素晴らしい内容だった。
少し評価に悩んだ部分もあったが、今回も星五つで評価したい。
個人的にユイカ夫人が好きなので、冒頭に彼女の視線が置かれているのも評価の足しになっているかもしれない。その点は付記しておく。
横顔なのはなぜ?
第三者目線が熟れて、2巻より更に読みやすくなった。
ただ横顔って?
はじめはアッシュの横顔かな?と思ったけど、内容的には違う気がする。