あらすじ
前世の記憶らしきものを持つ少年・アッシュは、『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻そうと寒村で奮闘していた。
その成果によって村の発展に貢献したアッシュは、都会である領都イツツへの留学の権利を手にする。
まだ見ぬ神殿の数多の蔵書へと思いを馳せるアッシュを迎え入れたのは、領主代行の好青年・イツキと、その弟を称する男装少女・アーサー――だけではない。
期待を下回る水準の技術力に、不足気味な資源など、山積した問題たちだった!
アッシュは、共に留学してきた村長家の一人娘・マイカに加え、アーサーすらも巻き込んで、
危険とされる堆肥の利用、さらには毒とされている作物の食用化へと乗り出し、食糧事情の改善、ひいては都市全体の生活水準向上を目指していく!
しかし、そんなアッシュたちに、人類衰退の原因である“魔物”の足音が迫っていて――!?
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第二幕!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
サキュラ辺境伯領の領都に留学し、いよいよ文明復興の道筋を走り始めた2巻である。
大都会と一文目から述べつつも、一方で次のページでは各種要素の不足を見て取ってスリーアウトのゲームセットを宣言。
しかしそれによってむしろ開発への意欲を高め、ますます意気軒高となるアッシュは、さすがとしか言えない火の玉小僧っぷりである。
この二巻の主題はそうした序盤で説明されているように、共に進む仲間を増やしていくところにある。
特別ページが割かれているのは、秘すべき事情があるのだろうアーサー少年。
小さく縮こまっていた彼の人が、アッシュの手によって心を溶かされ、我慢して笑う姿を心底嫌うマイカによって強引に掬い上げられる様は見どころだろう。
特にマイカとの加筆エピソードは、三人称視点が加えられた書籍版(編纂版)であればこその特筆すべき魅力であり、この書籍版の持つエモさ倍増状態を象徴するシーンだと思う。
本筋は食糧事情の改良でありつつも、終盤での戦闘などは実にファンタジーファンタジーした相手が出現。物語の展開に大きく角度を生じさせている。
加えて、上述したような仲間を増やす側面でも、この書籍版ではより踏み込んで多くの人物が描かれていくだろうことが示唆されている。
原典版(ネット版)を読んでいる側にとっても、惹かれる部分の多い書籍化だろう。
総じて質の高い書籍化である。シンプルに楽しませていただいた。
今回も星五つで評価したい。
面白かったけど・・・
私の大嫌いな〇〇の視点という書き方があるので★3つです。トマトに毒があるので食べないという世界で農業の改良を目指すアッシュですが、〇〇の視点のおかげで膨大なページ数を消費して話の進み方が遅すぎるので、もうお腹いっぱいになりました。