しまざきジョゼのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
売れない画家に惚れ込んだ奥さんが
富と名声を得た主人に別れをつげるなんてあり得ない。
しかしこの感情は意外と女性の中にある気はします。
パッっとしない男で自分だけが必要で手を尽くしている間は愛おしく、いざ自分から離れて独り立ちした男が憎らしくなる。
作中の奥さんは実は正直であるゆえに弱い人のように感じる。その弱さを不思議な感覚にできる作品でした。
人間の感情って我儘だとつくづく思うけど
その我儘さを自分なりに折り合いをつけて人と関わりを上手に形成出来るのが強い人間だと年を重ねる毎に感じます。
内容もきちんと理解できない学生の頃
太宰治作品を沢山読んでました。
人間の弱さやずるさの表現の仕 -
Posted by ブクログ
周囲の反対を押し切ってまで結ばれた、うだつのあがらない絵描きとの貧しくも幸福な結婚生活から一転、妻から夫への三下り半。
あなたは絵が売れてお金を手にしてすっかり変わってしまったわね、と。思いがけない好転と裕福さは、彼女を怯えさせた。(寄り添うようにずっとそばにいてくれる黒猫ちゃんがめちゃ可愛い。)
別人のようになった夫の一挙手一投足にそら恐ろしさを覚える日々にいよいよ限界がきた様子で、そのときの心情が淡々と綴られていく。
「あなたは、気違いです。」はちょっと辛辣すぎて笑ったけど、でもとても心の綺麗な奥さん。夫よ、これは失ってから気づかせるタイプの大切さだぞ……。
読み終え、「おわかれ致します -
Posted by ブクログ
はい、というわけで47オネェは治ちゃんの『きりぎりす』ですよ
これで『乙女の本棚』は既刊全部読んで追いついちゃったのかな?
作品集はあるけど、それはまぁ読む(見る?)気は今のところありません
はいはい、治ちゃんね
これはね〜
なんか非常にすっとした
清貧のこころよね
ひと言で言うと
成功してなんか卑しくなっちゃった夫に、こんなはずじゃあとがっかりした妻が別れの決意表明!というお話です
俗に言う「がっかりこん」ですな(初耳!)
いやでも、うんうん治ちゃん分かるわ〜となりました
『乙女の本棚』なので、絵にも触れたい
絵のタッチとしては非常に好み!なんだけど、切り取り方がね
うーん、そ -
Posted by ブクログ
読み終わって、ほおっと嘆息が漏れました。
これは、19歳で風采の上がらない貧しい画家に嫁ぎ、5年間の結婚生活を経て、夫となった男の本性が少しずつ露わになる中で、その違和感に苦しんだ挙句に、別れを告げることを決意した妻が、夫にしたためた手紙です。
「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました。」で始まる太宰独特の語り口は、淡々と、しかし、ひりひりと妻の心情を伝えます。
本の帯に書かれた「小説としても 画集としても 楽しめる 魅惑の1冊」という言葉そのままに、しまざきジョゼさん書き下ろしのイラストは、読解を助けるとともに、作品の風情を視覚化して空気感を画にしているかのようです