坂牛卓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
建築学を学ぶことは簡単なことではない。物理や環境、音響や保守など様々な知見が重なりあっているため理解が難しいと考えるからだ。
本書はそのような不安を一蹴してくれる。
まず、建築を「見る」という誰しもが経験のある側面から考察をはじめ、建築家の目線、社会の目線と、次第に大きくなっていく視点の変化が、大きな繋がりをもって展開される心地よさを感じられる。
次に、著者が一人であるため、上記のような「大きな繋がり」に一貫性を感じられ、理解がさらに進む。特に、社会的権威に建築が使われていると気付かされた終盤はワクワクが止まらず、一気に読んでしまった。
普段我々が生活するうえで欠かせない都市や地域に -
Posted by ブクログ
建築についての入門書。住まいとして仕事場・オフィスとして日常的に触れる・接することもあり、大変興味があるのだが、学問としては精密さを求められ自分にはハードルが高いと感じられ、踏み込んだことのない世界・業界。
「使用者・鑑賞者」「建築家」「社会」の3視点、其々歴史的観点も絡めての著述展開は、いわゆる学校で学ぶ美術・技術・社会の知識からは全く想像の範囲外で、新しく知ることに溢れていて、終始興味深い話題に尽きなかった。
本来の建築の学問としての入門は「意匠・計画」「構造」「設備」で概説するのが常識だが、一般の人向けに他の多くの視点も取り入れたものとすべく「見る」「作る」「活かす」の3視点で捉え直 -
Posted by ブクログ
ネタバレ建築とは何か、建築家とは何を重視するのか。そんな問いの一助になる入門編。
入門とあるけどそれなりに難しかったり。
「用・強・美」と呼ばれる建築の三原理の説明から始まり、具体的な建物や歴史を振り返りながら説明してくれる良書。
何かを建てる時に「何のために用いるのか」「どのように強くなくてはならないのか」「どうすれば美しくなるのか」を考えなきゃならない、というのは素人でもわかるんだけど、そこから一歩出て「建築を通して何を/どのように伝えるか」とまで考えているんだな。ある意味、大衆に最も寄り添った芸術…という言い方もできるかもしれない。
例えばガラス張りの建物は、そのオーナーの(透明性という)意思