ミランダ・ジュライのレビュー一覧

  • いちばんここに似合う人

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    半泣きのような、半笑いのような。一編を読むごとに、きっとヘンな顔になっている。
    ゾクゾク、ゾワゾワして、しんとする。僕の中の埃が溜まったへこみを押し開けて、入り組んで届きにくいカーブに指をぴたっと添わせてグイグイ突いてくる。
    なんともイタ気持ちいい読後感。しばらく動けない。

    ギュッと腕を身体に巻き付けて、バラバラに解けてしまいそうな自分の形を保つのに必死なとき。一緒にベッドに潜り混んでいる人の寝顔が、見知らぬ他人だと思うとき。バスタブの中で息を止めて、「ねぇ、私は悪くないよね」って呟くとき。
    そんな危うい瞬間を潜り抜けて、残念な今日とウンザリな明日を生きていく誰かさんに、奇妙な回線で、接続し

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    2023年10月28日
  • 最初の悪い男

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    ずっと気になってたミランダ・ジュライ。
    U-NEXTのポイントは書籍に使ってくことにしたので、
    初の長編小説という今作を読んで見ました。

    いや〜マジでよくこんな話を思いつくなと。
    もうひたすら面白かったのは2人が取っ組み合いを始め、
    そしてビデオを模倣して絡み合うようになる展開。
    結局、ここでクリーがふいに口にするセリフが
    意味深なタイトルになってるとこも本当にイケてる。

    シェリルは私の頭の中で完全にエイミー・アダムスだった。
    たぶん「メッセージ」の印象かな。

    シェリルが自己完結してて閉じてる故に
    押しの強いクリーやフィリップスに対して受動的であることが
    結果的に頭のおかしい展開を作り出

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    2021年12月13日
  • 最初の悪い男

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    予備知識なしで読んだ。自分が普段わりと静かな作品を読むので、最初は面食らった。少年漫画さながらのバトルシーン。途中一瞬任侠感のある言い回しも出てきて、海外小説で任侠って、と笑えた。
    それにシェリルの妄想の産物、クベルコ・ボンティなる奇妙な赤ん坊。千と千尋の神隠しの坊みたいで、登場するたびに坊がしゃべってるように思えてならない。
    シェリルの奮闘は滑稽でエキサイティングで勢いでどんどん読み進められる。怒涛の出産シーンにはハラハラした。
    ジャックには深い愛情を注いでいるがほとんど自分の内で対話しており現実には話しかけていなかった、とシェリルが気づいたとき、読者である私も、シェリルの内側(ほとんど妄想

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    2021年10月13日
  • 最初の悪い男

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    映画「君と僕の虹色の世界」「The Future」そして、短編集「いちばんここに似合う人」、ドキュメンタリー「あなたを選んでくれるもの」で、ちょっとイタイ・なんかズレてるこじらせアート女子による、抜群のセンスを見せてくれたミランダ・ジュライの待望の長編小説です。

    や、もうこれ、文句なしの傑作で、そのこじらせと妄想が100倍にスケールアップしていて、私は女子ではないんですが、なんかおんなじようなこと考えてる人いるのか!と感情移入しすぎてページ進まないので困りました。松岡茉優の「勝手に震えてろ」も名作でしたがこじらせと妄想はミランダが圧倒的に上です。容赦なくこじらせてます。世界の40代女子のこじ

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    2019年11月05日
  • 最初の悪い男

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    訳者があとがきで主人公のことを「繊細ぶってる割に他人の気持ちに鈍い」と評していて、膝を打つ手が止まらない。いるいる。わかる。

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    2019年06月16日
  • 最初の悪い男

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    とてもよかった。自分のルールをガン無視してくる他人と関わるのはしんどいし腹も立つけど関係性は変わっていくし考え方も広がるし自分はもっと遠くまで歩けるようになる、したいと思ってもできなかったことへの勇気も湧いてくる。少しずつ自分を愛せるようになる。

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    2019年06月16日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    Amazing! と言いたくなった。笑えて切なくてホロッと最後は泣きそうになるエンディング。ページターナーでした。43歳女性が66歳シングル男性に密かに恋してる所から始まるけど日本の恋愛市場ではオワコンの年齢だ。その主人公シェリルの人生がそこからあれよあれよと、ここどこ?私誰?な感じでスピーディーにモノクロからカラフル人生に変わっていく。一番印象に残ったのはやはりsexual fantsies性的妄想やその描写があからさまなんだけど、ちっとも下品ではないとこ。「おりもの」だなと分かるって新鮮だった。おっぱいが垂れてるとか陰毛に白髪とかウケるけどいくつになっても恋してるっていいなと思う。タイトル

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    2019年05月09日
  • 最初の悪い男

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    これまでの人生で当たり前のように内在化してきた自分自身の「価値観」や「倫理観」が思いがけない方向からぶんぶんと揺さぶられる。散々振り回されてへとへとになるのに読後感は人と人が愛しあうことへの祝福に満ちている。不思議な一冊。

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    2019年02月15日
  • 最初の悪い男

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    こんなにヘンテコでエキセントリックでユーモアに溢れた作品ってほかにある?

    中年女と若い女が殴り合ったかと思えば、愛し合ってみたり、子育てしてみたり。
    ほんとに意味がわからない展開ばかりなんだけど、不思議と嫌悪感はゼロ。むしろ次はどうなるの?とページをめくる手が止まらない。

    え、これってアリ?そんな問いはシェリルには愚問。
    ぜんぶ、アリ。なんでも、アリ。

    信じられないことが起きるのが、ミランダ・ジュライの小説なんだとおもう。

    本の後ろに書いてあるコメントにすごくいいのがあるので、それを載せておしまい!

    『私たちの愛し愛される能力について、誰にもできない形で教えてくれる。』

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    2019年02月09日
  • 最初の悪い男

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    「最初の悪い男」(ミランダ・ジュライ)

    「例えばシェリルの家の壁から、世界地図が外れなかったとしたら。」


    この物語の主人公、シェリルは43歳独身女性。職場ではある程度の地位を得て、快適な一人暮らしを謳歌している。

    本当の自分とか、生きる意味とか、無くても生きていくことはできる。煩わしさを排除して、毎日なにかを少し我慢しながら。

    空想の世界では饒舌なシェリル。
    人の良い感じがするけれど、その世界では誰かを踏みにじってしまうこともある。

    それはそれで、ひとつの人生。誰にも当てはまる人生。
    自分を感じずとも、生きることはできる。

    だけど。

    世界地図は外れる。ミランダの描く世界はひとと

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    2019年01月27日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    めっちゃネタバレです。

    翻訳小説ひさしぶりに読んだけど、読みやすかったなあ。岸本さんの訳、すごく身近な言葉でいい…。「肩がバキバキ」とか「ぜんぜんオッケーです」とかそういう微妙にリアルな言い回し。岸本さんのエッセイも大好きなのでたぶん自分的に肌に合ってるのかも。

    んで、これ最初孤独な独身中年女性の狂気、みたいな感じで進んでいくのかとちょっと警戒した。いや杞憂でした。
    クリーと同居しはじめて、傍若無人に搾取されるだけだったのが反撃をはじめて、バトルになり、だんだんその関係性が変わって来る、そのあたりでもうぐいぐい話の中に引っ張り込まれる。
    主人公がややこしい妄想にとりつかれて、ファック、とし

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    2019年01月25日
  • 最初の悪い男

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    読み終わって、叫び出しそうになった。
    でも、何に? ー なにかに。
    イタくてアツクて、色んなものが刺さってくるんだけど、
    金色の光のようなものがそこにちゃんとあって、
    私たちはぼろぼろにはならずにいられる。

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    2018年12月02日
  • いちばんここに似合う人

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    他人の生きざまを知るということが、これほど自分を、そして自分と関わってくれるすべての人を救ってくれるとは。孤独に、けれど「何か」を追い求めるそれぞれの主人公が、目の前を通り過ぎていく。私には彼らが何をしたいのか、何が目的なのか分かっている。自分のことは分からないくせに。
    それでも、そのヒントを垣間見た気がする。今日も、いちばん「ここ」に似合う人として、生きていこうと思う。

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    2015年11月25日
  • いちばんここに似合う人

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    ​プロット、表現、文の瑞々しさが素敵。
    そして、ここでその言葉をこう並べるんだ、こう入れてくるんだ、みたいな楽しさ。
    内容は、孤独で、愛が欲しくて、大半の人からはちょっと引かれてしまうであろう人たちのお話。
    だけど結局みんなこんなもんでしょ。みんな痛々しい大人だ。誰だって誰かに引く権利なんてないのだ。

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    2014年10月19日
  • いちばんここに似合う人

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    読んでるうちにどんどん感情が湧き出ててきて心が引き裂かれる思いがした。でも読み終わった後に「でもあまりに寂しい。確かにこれが人間だが、私はこれだけの人間を見たくない。」もうお腹いっぱいしばらく結構。と感じたのは何故か?
    何故ならこれは私たちが目にしたくない部分だからだと感じた。ここに私自身見ないふりしていた「痛み」があったから。私は、Mr.ピープスにいたあの女の子であると同時に、そんな世界はまるでないかのように暮らす男でもあるのだ。
    見ないふりはもうやめようかなあ。例え頭痛が絶えなくても、この痛みは私のものなんだから。

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    2014年08月22日
  • いちばんここに似合う人

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    理不尽でとりとめのない、およそ自分の現実からは離れたストーリーなのにああそうそうと思うところがたくさんあった。読んだ自分のその時の感情も反映されて、印象深い一冊になった。

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    2014年01月18日
  • 最初の悪い男

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    個性の強い主人公と妄想と現実のシームレス加減に始めはついていくのがやっとだったけれど、読む手は止まらず、いつのまにか主人公を心から応援していた。美しい文章がいくつも転がっていて、文字を拾うだけでもキュンとした。

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    2025年11月16日
  • いちばんここに似合う人

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    世間一般の普通から少しズレた人たちの孤独が描かれていて、そこなら抜け出したいんだけど、結局は孤独な場所に戻ってくる。みたいなお話が多かった。

    映画も凄いけど、小説も凄かったなー。才能豊かな人だなー、と感心。

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    2025年04月14日
  • いちばんここに似合う人

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    作品紹介・あらすじ

    水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(「水泳チーム」)。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で頭がはちきれそうな中年女(「マジェスティ」)。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人(「妹」)-。孤独な魂たちが束の間放つ生の火花を、切なく鮮やかに写し取る、16の物語。カンヌ映画祭で新人賞を受賞した女性監督による、初めての小説集。フランク・オコナー国際短篇賞受賞作。

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    けったいな一冊、って印象。奇談、というわけでもなく、前衛的ってわけでもなく、虚実入り混じった印象でもなく。荒唐無稽な話でもなく、あくまでも現実に即した話なのだけれ

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    2024年09月22日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    すごストーリーだ…

    いろんな人間のいろんな面に笑わないで向き合うことが得意なのか…?

    フィクションだからアレなんだけど、みんな外面普通でも案外己の「システム」を大事にしながらズレながらヒステリー球かかえて生きてるんだろうな~というちょっとした救いみたいなものをかんじたり

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    2023年07月13日