ミランダ・ジュライのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こんなに笑えて、こんなに寂しく苦しい物語は初めて
ミランダ・ジュライの短篇は、出来る事なら気づかないふりをしていたいような、心の奥底の孤独感や悲しさを、笑いながら軽やかに、残酷なくらい鋭く、容赦なく掘り出していく。
とぼけているような、ユーモアたっぷりの軽やかな語り。でも絶望的に悲しいのだ。
独り言のような面白い独特の文章なので、原文が気になってそちらも読んでみた。ストレートで乱暴な性描写や表現も、よりサラッと乾いた印象。語りも、よりクールでシュールな肌触りがする。全編を通して、訳文のほうが女性的な感じかな。どちらもいいので、どちらもお勧め。
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Posted by ブクログ
これもまた奇書。
前半は空回りが激しいイタイ中年女性のひとりコメディ。
しかし、中盤以降物語の性質が一気にかわる。
本当に同じ主人公なんだろうか、同じ物語なんだろうかと不思議な感覚になる。
中学生が一気に大人になる様を見ているようだ。
孤独、親、妊娠と出産、子育て、そして死の物語なんだろうとは思う。
しかしこの物語に重みはなく、どこか軽薄なところが好みが分かれるところなんだろうか。
中盤、物語の転換場面で思わず、えっ、と声が出てしまったけれど、その他の部分で面白みはあまりないかもしれない。
その他、胡散臭いセラピーやら主人公が勤務する存在意義不明の財団(税金控除対策なんだろうけど