ミランダ・ジュライのレビュー一覧

  • 最初の悪い男

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    ある種妄想の世界に生きる43歳の女シェリルと、その前に現れる最強最悪の「現実」クリー。よくある女性2人の分かり合いの物語ではなくて、変化、変化、変化。2人の関係はひたすらに変化し続ける。避ける、闘う、愛し合う、あらゆる剥き出しの感情の表出だ。そして見えていないものが見える。職場の人物。セラピスト。恋愛。あまりにも入り組んでいて話の流れとして読みやすいとはいえないけれど、最初に感じたあまりの嘘くささ(現実との乖離)から、最後には滅茶苦茶な現実が輝く。エピローグの輝かしさ。
    主人公にどことなく共感してしまう。ぜんぜん違う性格だし考え方も違うけれど、その人生回避の姿勢に。しかし彼女はぐちゃぐちゃではありながら走り抜けた。素敵だ。

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    2019年06月14日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    netflixのドラマのようにゴクゴクと読んでいけちゃう喉ごしでありながら、しっかりと人間のアブない深淵を覗かせてもくれる一冊。笑い、泣き、慄きました。

    個人的に一番キてるな〜と思ったのは、シェリルが玄関でカタツムリ百匹ぶちまけながら自慰にふけってしまうシーン。その後人間同士の関係は驚くべき変化を遂げていくのに、カタツムリは後半に至ってもまだ屋内を這っていたりする。また、クリーが去った後もしばらく彼女の搾乳したミルクがジャックに与えられ続ける描写などもあって、一瞬で変化する物事とマイペースに連続性を保った物事との対比が面白く、もの悲しい。

    奇妙な筋立てにリアリティーを与える細かな描写もいちいち印象に残った。「いまやわたしたちはいっしょに救急車に乗り、内側からサイレンを聞いた仲だった」とか、「これは政府が国じゅうの出産中の女たちのために配布した道具だ」とか、本当にそういう経験した人からしか出て来なそうな表現で感心してしまう(馬鹿みたいな感想ですが)。

    子育て中の身にとっては、夜中の授乳時に自分の人生の可能性について思いを馳せてしまうシーンが、男であっても共感せずにはいられない。訳者あとがきによると本作は妊娠中から出産の三年後まで執筆されていたようだから、これらのシーンの異様な説得力にも納得できる。

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    2019年05月28日
  • 最初の悪い男

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    43歳独身妄想女シェリルの家に、上司の娘クリーが転がりこんできたことで起きた人生の奇跡。
    精神的に余裕がないと辛い。人間ってどうしてこうも残酷で単純な生き物で、また美しいのだろう。
    シェリルの妄想はリアルだ。欲求や理想をこれでもかと見せつけ、私の脳内にまで踏み込んでくる。
    サプライズでシェリルと読者を困惑させる。守るべきもののおかげで、なんとか前へ進むのだが。

    幸福とは変化なのか?理想の追求なのか?
    この結末は正しい。そう納得するしかないのは私の器の問題。

    タイトルの意味を理解した時、やはり正しいと再認識するだろう。

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    2019年05月04日
  • 最初の悪い男

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    ミランダ・ジュライは、「人生はビギナーズ」の監督マイクイルズの妻。彼女の初長編であるこの作品は、中年女性シェリルの元に飛び込んできた、上司の娘、20歳のクリーとの物語。傍若無人なクリーとの関係は、二転三転して予測がつかない。かなりファンキーな展開かつ、シェリルの空想話が混ざってくるので、かなり独特な読後感。何が言いたいんだか、よくわからないが、気の利いたエピローグでなんとなくすっきりする。

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    2019年03月16日
  • 最初の悪い男

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    人生とは肉弾戦だったと、こんなにはっきり突きつけられて清々しい。
    意表を突くタイトルも巧妙な角度から作品を浮き上がらせる象徴性で、手練れの技につくづく感じ入った。この言葉だけで、血気溢れるこの物語のことを、私たちはすぐに思い出せるだろう。

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    2019年02月24日
  • いちばんここに似合う人

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    登場人物たちの孤独に揉まれて飲み込まれて息苦しいのに不快じゃない不思議な感覚。特に「モン・プレジール」と「あざ」が印象に残った。

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    2018年11月25日
  • いちばんここに似合う人

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    ずっとじわじわと感じていたのは恐怖だった。
    今わたしは主人公たちの孤独を想像出来ないほど子供でもなく、人生楽しいから大丈夫!と笑い飛ばせるほど「将来」の近くにもいない。
    大人になっていくということが、今の孤独をより深めていくことだとしたら?
    そんな恐怖で、読むペースはいつもより遅かったように思う(純粋に表現が好きで読み込んでいたこともある)。


    読み終わった今、どんな話か一言で、と言われたら
    「泣き疲れて眠るような」と答えたい。
    救いはないとしても、明日が来て何が変わる訳でもないとしても、今夜はとりあえず、おやすみ。
    そんな小説だと思った。

    朝寝坊して、致命的ではないけど初歩的で鈍臭いミスをして、3人で話していたら自分がふと発した一言にほかの2人が黙り込んでしまって、スーパーで半額の弁当を取ったら知らないおばさんに舌打ちされて、しかもそれはそんなに好きでもない惣菜で、家族に電話したら誰も出なくて、友達とのLINEはすべて私が最後で止まっていて、そんなことが積み重なって、とどめに足の小指を椅子にぶつけて、どうしようもなくやるせなくなった将来のわたしへ。
    これをもう一度読んでください。

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    2023年04月18日
  • いちばんここに似合う人

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    ネタバレ

    面白かったです。人生に行き詰っている人が主人公。
    性的描写が多かったですね。エロティックではなく
    他にどうしようもなくそこに行きついてしまったような
    エンディングのお話たちでした。

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    2017年06月18日
  • いちばんここに似合う人

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    ちょっと奇妙な日常を舞台にした16編の短編集。
    人はあまりに長く孤独でいるとおかしなことをしてしまう。トンチンカンな挙動をしたり、そうでなければ思いに捕らわれて固まってしまったり。そんな日々の些細なことを連ねて物語の骨格ができている。個々の出来事はたいしたことではないけれど、反応としての行動から、本人にも無自覚に心の動きが語られていく。どんなふうに物語をまとめ上げているのか不思議に思える作家の技。ああ、あるあるこういうこと……と共感するところ大なのだけれど、いかに孤独すぎる人の挙動を熟知しているかがバレるので、人に読んだ読んだと言うのは恥ずかしかったりする。
    しかし、孤独な人は絶望の淵に沈んでいるわけではない。川底を歩いている。時には差し込む光に手を振ったり、スキップしたりすることだってあるーーという感じがした。

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    2016年08月17日
  • いちばんここに似合う人

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     設定や状況がへんてこで奇妙な短編集。人の嫌なところが辛辣に書かれていたりしてぞくっとすることもあったけど、作品全体に漂うどうしようもない孤独感に、とても切なくなった。だけど切ないだけではなく、文章に滑稽さやユーモアがあったので楽しく読める。この作品が作者の初めての小説集らしいのだけど、次作以降も読みたい。特に印象に残ったのは、「何も必要としない何か」「妹」。

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    2015年12月02日
  • いちばんここに似合う人

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    こんなに笑えて、こんなに寂しく苦しい物語は初めて
    ミランダ・ジュライの短篇は、出来る事なら気づかないふりをしていたいような、心の奥底の孤独感や悲しさを、笑いながら軽やかに、残酷なくらい鋭く、容赦なく掘り出していく。
    とぼけているような、ユーモアたっぷりの軽やかな語り。でも絶望的に悲しいのだ。

    独り言のような面白い独特の文章なので、原文が気になってそちらも読んでみた。ストレートで乱暴な性描写や表現も、よりサラッと乾いた印象。語りも、よりクールでシュールな肌触りがする。全編を通して、訳文のほうが女性的な感じかな。どちらもいいので、どちらもお勧め。

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    2015年08月07日
  • いちばんここに似合う人

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    ここに出てくる人はみんなどうしょうもなく変な人。
    でもね、不器用でも変人でもみんな生きているのよ。
    確実に、圧倒的にここに出てくる人は
    あなたであり私である。
    くそったれの人生だけど駆け抜けてみようよ。
    もう一度ゆっくり読みたい一冊。

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    2015年05月26日
  • 最初の悪い男

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    『はいつくばって』が印象深かったので本作も読んでみた。
    キッチリ派のシェリルは自らの「システム」にこだわって生きている。そんな彼女の生活に黒船の如き美人で脚クサ女のクリーが居候して事件が続き、あげくクリーの出産でシェリルは母親役をするはめに。
    なんともはや、どいつもこいつもと思ってしまう状態になってもシェリルを応援したくなる。

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    2026年10月25日
  • 最初の悪い男

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    「また一つ、寂しい生き物がせいいっぱい自分を組み立てようとしている」

    自分なりのルールを定めて、独り生きている女性
    闖入者の出現で生活が大きく変わる
    妄想と現実がないまぜになった日々
    その中に、女性が抱く人恋しさも感じさせられた

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    2026年10月24日
  • はいつくばって

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    大好きなミランダ・ジュライの9年振りの新作!大いなる期待を胸に読み始めたが、これまでの作品、3作を読んだときの感動は無かった。
    遠い遠いところで起きているノンフィクション(としては書かれてはいないがそういう感覚)、入り込めるほどには迫らない(ほぼ同年代の女性として読んでも)。
    過激な描写、リアルな描写が続くほどに、こちら側は冷えていく感覚があってずっと傍観者だった。にもかかわらず読み物としてはとても面白いので星3つ。

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    2026年10月07日
  • いちばんここに似合う人

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    ネタバレ

    なんだろう、全部が寂しいような。
    1番残っているのは、妹を紹介するといいながら実際にはいなくて、新しい世界に………っていうやつ。あとは何も必要としない何か。物凄く落ち込んでしまった。
    ほとんどが、自分が突っ立って誰かの背中を見つめているような感覚になった。
    また、読んでいて頭に入って来ないのもあったし、なんだこれは!(笑)って笑えるのもあった。引き続きミランダ・ジュライ作品を読んでみたい、「はいつくばって」を買う予定。

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    2026年09月09日
  • いちばんここに似合う人

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    Aマッソ加納さんが推していたので読んでみました。
    女性の心情はよく私には理解できない気がします、
    ミランダは映画も撮っていて、確かに映像化することではっきりと内容が伝わるような気がします。
    場面の切替りが早くて、何度か読み直してなるほどっ
    て感じでした。
    わたしも孤独は好きじゃないから、気持ちはわかるんですがねぇ。

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    2026年08月06日
  • いちばんここに似合う人

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    ネタバレ

    不思議な余韻が残る。ずっと前にあるフランス映画を観た後にも、首をひねりつつ、同じような気分になった気がする。
    孤独で不器用な人達の短編で、孤独が癒やされる訳でもないが、一瞬のきらめきと切なさをぶつけてくるような。好きとか面白いとかの表現には当てはまらないが、なんだかとても印象に残る感じ。
    私にとっては何より印象に残ったのが、訳者あとがきに書かれている、車の上の、ビニール袋に入った金魚のエピソード。そのイメージは強烈で、たびたび思い出してしまいそうだ。

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    2026年07月26日
  • いちばんここに似合う人

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    ネタバレ

    朝吹真理子さんとかが本の中で大島弓子が好きな人はミランダジュライが好きそうと言ってて読んだ

    タイトルが全てであとは物語をつけるだけって感じが似てる…かも?
    いやいや、マジェスティひどかったよその通りすぎるもん

    孤独って時間を持て余したり手持ち無沙汰だったりすることだなーと思う

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    2024年03月05日
  • いちばんここに似合う人

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    私の中にもあなたの中にもある今の世の中が展開されている。現代の人々はひたすら孤独なのだ。たとえ家族がいても、恋人がいても。

    この本が古典となって読まれる時、例えば100年後、1000年後にもしまだ世界があれば、この本は時代を、今を生きる人々の心情を理解する良いテキストになりそう。

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    2023年10月21日