ミランダ・ジュライのレビュー一覧

  • はいつくばって

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    ・あらすじから想定されるちょっとコミカルな筋。その先からはちょっと予想外の展開をして、最終的には静かな感動(達成感?)に辿り着く。小説を旅になぞらえる比喩があったりするけれど、まぁまぁ長いこの小説を読み終えたその読後感はまさにそれだなぁ、と思った。
    ・自分は男なので、この女性の更年期問題(それだけじゃないけど)に感情移入を完全に出来たかは、あやしい。ただ、「老い」の問題、それに伴う生物的、社会的、経済的な変化という点として見るならば、完璧でないながらも、重なる所は多い。
    ・その上でのある種エキセントリックな、そして滑稽な主人公の行動、その果てにあったちょびっとの癒しにはグッときてしまった。
    ・旅のたとえをしてしまったけど、あと読みながら、特に後半部分は、最近読んだ東畑さんのカウンセリングの本、まさにカウンセリングの道程の様な話だな、と思ったりした。

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    2026年10月05日
  • はいつくばって

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    ネタバレ

    人生をローラーコースターに例えるのは安直だが、じゃあ登り切った頂点は、あなたにとって、いつなのか?
    そして、そこからの落下は、恐怖?それともスリルに満ちた体験?

    やっかいなことに、このメタファーは、滑り落ちた先で、これにてお終い!さようなら、ともいかないのだ。
    完全停止して下車するその日まで、僕らに待っているのは再び車両を自力で押し上げていく作業だ。もう以前ほど楽々と高くへ昇ることはできなかったとしても。

    ミランダ・ジュライの、“はいつくばって”は、彼女の、彼女たちの二周目のローラーコースターだ。
    もちろん同じ敷かれた軌道には戻らない。
    コースアウトした先にレールがあるかも分からない。


    ふと気づけば無頓着だった若さ/性的な魅力は失われる手前。若い恋人に焦って執着してもモノにできない。幸せな家庭生活は、妻と母を無条件に請け負うことの言い換えだとも気づいている。

    それってミッドライフ・クライシスでしょ、通り過ぎ去れば笑い話だよ、なんて世間の知恵みたいなことを彼女は当然言わない。
    これって何?わたしは何処へ向かえばいいの?
    まっしぐらに全力で落下した後に、冒険と探究が再び始まる。

    つまり本当の問題は、更年期の乗り切り方のハウトゥーなんかじゃないのだ。
    “わたし”がハッキリと気づいてしまったこと。
    それは、ホルモンにコントロールされた身体と欲望が求めるままに人生を生きることではない。
    かといって、旧式であれ進歩的であれ、頭と理性で考えた人生を生きることでもない。

    誰も所有せず/誰にも所有されない、“遍歴する魂”の赴くままに、生きること。
    例え大切な人を傷つけ、損なってしまうことが見えていても、自分の心を誤魔化さずに生きること。

    それは自由であること。

    これは高らかな宣言ではない。
    本作中で示された家族の形のように、紆余曲折の末にパートナーもまた新しいガールフレンドを見つけて、対等な関係性が築かれるといった、物語的エンディングが待っていると期待するのは難しい。
    それでも、墜落の痛みに怯えずに飛ぶのだ。
    ゴミ袋に身を包んで窓枠を乗り越えるのか? No!


    赤裸々で、生身で、弱さをあらわにしながら這いつくばって崖っぷちを前進する彼女は、タフだ。
    “いちばんここに似合う人”の、世界に対して私をハグしてと、泣きべそと共に訴えていた彼女たちはもういない。
    作中で語られる通り、四つん這いの体勢は、“ちょっとやそっとじゃ倒せない”。

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    2026年09月26日
  • 最初の悪い男

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    読んでる途中は、なんだこの話?って思いながら読んでたけど、読み終わってしばらく経ったいま、あれ?もしかしてあの本気めっちゃおもしろかったかも!ってじわじわくる。
    そしてさすがの岸本佐知子さん訳!

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    2026年09月16日
  • はいつくばって

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    45歳の(わたし)は大陸横断中断を端に人生、家庭、更年期の危機に面してしまう。その間いろんな事件が続くが、アメリカ人の多様な性表現、友人とのオープンな意見交換、芯の強さ、迅速果敢な行動など感心することばかり。抜群におもしろい物語でした。

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    2026年09月13日
  • いちばんここに似合う人

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    16編からなる短編集。
    様々なキャラクターの内面に触れることができ、ちょっと自分と似てるかも、と共感できるキャラクターや考えもしなかった不思議な感情に出会える作品。

    誰にも理解してもらえないような性格や感情って、結局自分一人で抱え込んでしまう。
    そんなものを「はい。これちがう」と切り捨てず、一時だけでも受け入れてくれ、孤独の殻に小さな穴を開けてくれるようなストーリ。
    そんなあなたを肯定してくれ、あからさまでない優しさを感じる作品でちょっと好きかもしれない。
    著者の他の作品も読んでみようと思う。

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    2026年05月27日
  • いちばんここに似合う人

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    ネタバレ

    「その人」が面白かった。人生で起きた出来事が全てテストで、それに合格したことを知る話。3ページくらいのとても短い物語なのに、設定の面白さだけではなくて、気が緩んでしまう感覚や、一方でふと我に返ってこれまでの生活に戻りたくなる気持ちの揺らぎなど、人の矛盾した気持ちがギュッと表現されているように感じた。

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    2026年03月21日
  • いちばんここに似合う人

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    加納愛子さんのおすすめで読みました。とても面白かった!ややアダルトな描写も多々あるのでそこだけは自分的な評価として星4で…。子供にはおすすめしません。

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    2026年03月06日
  • 最初の悪い男

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    8章までは妄想が続き気色が悪い。
    9章からは現実が押し寄せてくる。現実は不思議と気持ち悪くない。
    13章からは、嫌な予感がしてくる。

    赤ちゃんと淡々と日常をこなすシェリルは、地に足がついていき、世界を俯瞰し、他者を赦していく。最初は、すごくキモくて、なかなか進まず、読み終えられるか不安になったけど、本当に愛の物語に発展して、余韻は最高だった。

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    2026年01月11日
  • 最初の悪い男

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    個性の強い主人公と妄想と現実のシームレス加減に始めはついていくのがやっとだったけれど、読む手は止まらず、いつのまにか主人公を心から応援していた。美しい文章がいくつも転がっていて、文字を拾うだけでもキュンとした。

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    2025年11月16日
  • いちばんここに似合う人

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    世間一般の普通から少しズレた人たちの孤独が描かれていて、そこなら抜け出したいんだけど、結局は孤独な場所に戻ってくる。みたいなお話が多かった。

    映画も凄いけど、小説も凄かったなー。才能豊かな人だなー、と感心。

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    2025年04月14日
  • いちばんここに似合う人

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    作品紹介・あらすじ

    水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(「水泳チーム」)。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で頭がはちきれそうな中年女(「マジェスティ」)。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人(「妹」)-。孤独な魂たちが束の間放つ生の火花を、切なく鮮やかに写し取る、16の物語。カンヌ映画祭で新人賞を受賞した女性監督による、初めての小説集。フランク・オコナー国際短篇賞受賞作。

    *****

    けったいな一冊、って印象。奇談、というわけでもなく、前衛的ってわけでもなく、虚実入り混じった印象でもなく。荒唐無稽な話でもなく、あくまでも現実に即した話なのだけれど、ちょっとどこか変。最初はあまりシックリこなくて「あれ、失敗だったかな」と感じたのだけれど、読んでいくうちにドンドンとこの底なし沼みたいなけったいな世界にズブズブと浸ってしまった。

    僕はあまり読書体験が豊富な方ではないので、断言はできないけれど、この短篇集に収録されているものと似たような作品を書いている人を知らない。唯一無二という意味でかなりユニークだと思う。仮に「小説の書き方」みたいなマニュアルがあったとしたら、そのマニュアルを完全に度外視して自由奔放に書き連ね、でも作者自身はそれを全く自覚していない、そんな感じ。読み手側からしたら、好き嫌いが明確に分かれるんだろうな、と思う。

    僕は気にならなかったのだけれど、レズビアンが結構な頻度で登場するし、時にストレートな性表現がでてくるので、そういうのが苦手は人にはちょっと辛いかも。

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    2024年09月22日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    すごストーリーだ…

    いろんな人間のいろんな面に笑わないで向き合うことが得意なのか…?

    フィクションだからアレなんだけど、みんな外面普通でも案外己の「システム」を大事にしながらズレながらヒステリー球かかえて生きてるんだろうな~というちょっとした救いみたいなものをかんじたり

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    2023年07月13日
  • いちばんここに似合う人

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    孤独は孤独なりに繋がろうと、不器用に生きる人たち。この本が人気ってことは不器用に生きていて慰めを必要としている人が多いってことだ。この事実が、私をまた慰めてくれる。私はこの辺のバランスをうまくとれる方だと思うし慣れてしまったからさほどこの本を必要としていない。でも、この本を読むべき人はもっと多くいるはずだ。諦めたからこその光。

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    2023年03月19日
  • いちばんここに似合う人

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    孤独で優しく不穏な短編集。何と表現したらよいか迷う短編ばかりですが不器用で純粋な登場人物たちにはどこか共感してしまいます。時折挿入される愛のシーンも寂しい気持ちになります。

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    2023年01月04日
  • 最初の悪い男

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    43歳独身女性の妄想強めの現実世界。
    20歳の居候が入り込んできて、日常がどんどん変わってしまう。
    妄想がリアルだけど、現実がそれを超えて広がっていく。

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    2023年01月03日
  • いちばんここに似合う人

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    80歳を過ぎた老人に海もプールもない土地で泳ぎを教えた経験を語る女性の話とか、あり得ないようでいていや、あるのかもしれんな…と思わせるようなユーモアと魅力があって、息抜きに読むにはちょうどいい。比較するにはポップ過ぎるけど『ワインズバーグ・オハイオ』を思い出した。

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    2022年04月15日
  • 最初の悪い男

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    一番ここに似合う人、あなたを選んでくれたものに続いて。こんなに1人の人の著書を読むのは久々。人があえて文字にしたり口にしたりしないような人間のどろっとした事や世界の一部を冷静かつプッと笑っちゃうような表現でひとつの作品にしちゃうのがこの人のすごいところ。動物の鳴き声が「たすけて」に聴こえてもその動物にとっては全く違う意味かもしれないし、とか。しょーーもないんだけど確かに真理だと思わせられる面白い表現がいっぱい。端的に書こうと思えば全然書けそうなことを良い意味でダラダラ書いてて、でもそのどうでもよさに登場人物たちの生活を感じる。短編もドキュメンタリーも面白かったけど長編は読み終わってこのミランダジュライワールドの人達とお別れするのが寂しくなった。

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    2021年09月24日
  • いちばんここに似合う人

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    読書会の課題図書。
    ジャームッシュの初期の映画を見ているような。
    エイドリアン・トミネの「サマーブロンド」とか、映画で言うと「ゴーストワールド」を彷彿とさせる。
    一時期の村上春樹さんもちょっとこういう感じだった。
    レーモンド・カーヴァーを初めて村上さんの訳で読んだときと似た感覚。
    だが、それから21世紀になり、よりより閉鎖的な気分になってるんだなあ、と。
    その中でも泥の中の蓮、という気分にさせてくれるものもあれば、そうでもないものも…。

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    2021年02月28日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    同年代の独女には劇薬だ。
    こうも赤裸々に語られると、どうにもいたたまれない、それでも読むのを止められない。

    今の変わり映えしない生活は居心地良くはあるけど、少し窮屈で退屈。
    このまま老いていくのかと思うと、このままで良いのかと不安にもなってくる。
    そろそろ何か新しいことを始める時なのかもしれない。

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    2020年03月22日
  • いちばんここに似合う人

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    面白かったです。
    ミランダ・ジュライは初めて読みました。岸本佐知子さんの訳も読んでみたかったです。
    人々の関わりが濃く描かれていますが、ひどく孤独を感じました。濃密であればあるほど、独りで立っていました。
    この感覚は親しく思います。楽しく会話してても、ひとり、ということをまざまざと突き付けられることはよくあります。
    「何も必要としない何か」がすごく好きでした。
    これからも読んでいきたい作家さんです。
    岸本さんはエッセイを面白く読んでいたばかりでしたが、訳書も文章が生き生きとしていて好きです。

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    2019年10月25日