ミランダ・ジュライのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一番ここに似合う人、あなたを選んでくれたものに続いて。こんなに1人の人の著書を読むのは久々。人があえて文字にしたり口にしたりしないような人間のどろっとした事や世界の一部を冷静かつプッと笑っちゃうような表現でひとつの作品にしちゃうのがこの人のすごいところ。動物の鳴き声が「たすけて」に聴こえてもその動物にとっては全く違う意味かもしれないし、とか。しょーーもないんだけど確かに真理だと思わせられる面白い表現がいっぱい。端的に書こうと思えば全然書けそうなことを良い意味でダラダラ書いてて、でもそのどうでもよさに登場人物たちの生活を感じる。短編もドキュメンタリーも面白かったけど長編は読み終わってこのミランダ
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Posted by ブクログ
ある種妄想の世界に生きる43歳の女シェリルと、その前に現れる最強最悪の「現実」クリー。よくある女性2人の分かり合いの物語ではなくて、変化、変化、変化。2人の関係はひたすらに変化し続ける。避ける、闘う、愛し合う、あらゆる剥き出しの感情の表出だ。そして見えていないものが見える。職場の人物。セラピスト。恋愛。あまりにも入り組んでいて話の流れとして読みやすいとはいえないけれど、最初に感じたあまりの嘘くささ(現実との乖離)から、最後には滅茶苦茶な現実が輝く。エピローグの輝かしさ。
主人公にどことなく共感してしまう。ぜんぜん違う性格だし考え方も違うけれど、その人生回避の姿勢に。しかし彼女はぐちゃぐちゃでは -
Posted by ブクログ
ネタバレnetflixのドラマのようにゴクゴクと読んでいけちゃう喉ごしでありながら、しっかりと人間のアブない深淵を覗かせてもくれる一冊。笑い、泣き、慄きました。
個人的に一番キてるな〜と思ったのは、シェリルが玄関でカタツムリ百匹ぶちまけながら自慰にふけってしまうシーン。その後人間同士の関係は驚くべき変化を遂げていくのに、カタツムリは後半に至ってもまだ屋内を這っていたりする。また、クリーが去った後もしばらく彼女の搾乳したミルクがジャックに与えられ続ける描写などもあって、一瞬で変化する物事とマイペースに連続性を保った物事との対比が面白く、もの悲しい。
奇妙な筋立てにリアリティーを与える細かな描写もいち -
Posted by ブクログ
ずっとじわじわと感じていたのは恐怖だった。
今わたしは主人公たちの孤独を想像出来ないほど子供でもなく、人生楽しいから大丈夫!と笑い飛ばせるほど「将来」の近くにもいない。
大人になっていくということが、今の孤独をより深めていくことだとしたら?
そんな恐怖で、読むペースはいつもより遅かったように思う(純粋に表現が好きで読み込んでいたこともある)。
読み終わった今、どんな話か一言で、と言われたら
「泣き疲れて眠るような」と答えたい。
救いはないとしても、明日が来て何が変わる訳でもないとしても、今夜はとりあえず、おやすみ。
そんな小説だと思った。
朝寝坊して、致命的ではないけど初歩的で鈍臭いミ -
Posted by ブクログ
ちょっと奇妙な日常を舞台にした16編の短編集。
人はあまりに長く孤独でいるとおかしなことをしてしまう。トンチンカンな挙動をしたり、そうでなければ思いに捕らわれて固まってしまったり。そんな日々の些細なことを連ねて物語の骨格ができている。個々の出来事はたいしたことではないけれど、反応としての行動から、本人にも無自覚に心の動きが語られていく。どんなふうに物語をまとめ上げているのか不思議に思える作家の技。ああ、あるあるこういうこと……と共感するところ大なのだけれど、いかに孤独すぎる人の挙動を熟知しているかがバレるので、人に読んだ読んだと言うのは恥ずかしかったりする。
しかし、孤独な人は絶望の淵に沈んで