シェリー・ケーガンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
講義調でやや冗長ながらも、死と徹底的に向き合う全750ページ超は、人生を再考する恰好の機会と視点を与えてくれる。
死といかに向き合うべきかは、すなわちどう生きるべきかと同義であり、ゆえに死とうまく向き合うことは、うまく人生を生きるために欠かせないことなんだと改めて。剥奪説の考察など、なるほどと膝を打つ論考も随所に。
"人生は、何もしないには長過ぎるが、何かをするには短すぎるーーあまり時間はない。人生は、二、三度のやり直しをするには十分に長いが、その機会はそれほど多くない。だから私たちは注意を払わなければならない。人生で何をするべきか、人生をどう満たすべきなのか、何を目指すべきなのか -
Posted by ブクログ
善や悪、生きるとはなにか、幸福とは?といった大きなテーマなると、どうしても多面的なコメントになりがちです。
しかし、この本は違いました。
「死んだら、来世はない。すべて終わりである」と
自身の意見で断ずる切れ味の良さ。また、そのような反発を招くような発言でいて、現代一部のコメンテーターから感じるような性格の悪さを感じない言い回しが気持ちいい。小気味よく聴き込んでしまいました。
死という一見ネガティブになりがちな話題を哲学的に、客観的に考えさせてくれます。
ちょうど読み終わった時分、私の祖母が亡くなった一周忌がもう間近です。
彼女の死はなんだったのか?
私は悲しむべきなのか、彼女がもう苦 -
Posted by ブクログ
生命とは何か。生きるとは何か。それらの問いと表裏一体の、「死」とは何かという問い。知的生命体がこの問題を扱う以上、それは生命としての機能停止という事象よりも踏み込んだ考察が必要になる。
「死」についての考察もさることながら、考えるための前提の組み方、読み解き方のプロセスは哲学への取り組み方をわかりやすく示してくれる。こういった「考える力」へのまなざしこそ本書のポイントであろう。
本書の難点は以下の通り。日本語版では死に対する評価に焦点を当てているが、なぜ前半の形而上学的主題を省略してしまったのか。その部分がないため功利主義的視点、道徳的観点、神学的観点などいずれの視点からもいまひとつ説得力を感 -
Posted by ブクログ
死についての話題になるといつも、私はどうしても抽象的な議論しかできず最終的には考えることを放棄してしまっていた。この本は、そんな私に死について論理的に考えるきっかけを与えてくれた。もちろん筆者の理論を完全に理解しきるのは非常に難しい(私も全てを理解したとは言い難い)が、死という抽象的な概念を論理的に解き明かそうとする哲学的態度を知る入門としてはうってつけの本だろう。
ただ、「死は本当に一貫の終わりである」という物理主義の立場を根本的な前提としてこの本は展開していくのだが、なぜそう言い切るのかを論じた前半部分がカットされているのが残念だった。(日本語縮約版だから仕方ないけど…) -
Posted by ブクログ
人は死ぬことを信じてない→一度急死に一生を味わった人が仕事を辞めたりするということは本当の意味で死を信じてない
死はわるいことか?→ 死んだ人に会えない他者にとっては悪い。
本人とっては?→存在しなくなることは苦痛は伴わない。何も起こらない。しかし相対的に存在できなくなる、幸せな体験をできなくなる。という意味で悪い。
永遠の生はいいものでもない→面白いことは永遠には続かない。永遠の生をもったとしても、飽きる、忘れる、別の人物になってしまう。
最善の生→満足するまで生きられること
6章 唯一本質的に良いもの→快感
悪いもの→痛み
用心する→自分の設定している目標は適