瀧浪貞子のレビュー一覧

  • 聖武天皇―「天平の皇帝」とその時代―

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    本書ではこれまで誤解されてきた聖武天皇の知られざる姿を知ることができます。

    「ひ弱な、優柔不断な天皇とのイメージが強く、光明皇后や藤原仲麻呂の傀儡であったという聖武像」

    このようなレッテルが貼られていたという聖武天皇ということですが、ただ、正直申しますと私はそのようなイメージすらなくもっとシンプルに「仏教信仰が篤く、奈良の大仏を建立した天皇」というイメージしかありませんでした。聖武天皇という存在に対し、信仰的な面から考えても政治的な側面をイメージすることがなかったというのが正直なところでした。なので「ひ弱、優柔不断、傀儡」というレッテルも今こうして日本史を学び直して初めて知ったくらいです。

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    2024年12月18日
  • 光明皇后 平城京にかけた夢と祈り

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    聖武天皇の妻である光明皇后の生涯と時代背景を学べるおすすめの参考書です。
    従来の説で語られがちだった政治的野心の強い光明皇后像ははたして本当に正しかったのかということを本書では見ていきます。
    同じく瀧浪貞子氏によって書かれた『聖武天皇』とセットで読めばより相乗効果がある一冊です。

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    2024年10月15日
  • 桓武天皇 決断する君主

    初めてこの著書を知りました。

    「長屋王残照記」や「ざんねんな歴史人物 それでも名を残す人々」への投稿レビューで四条天皇の「あまりにも突然すぎてあまりにも幼すぎる崩御」について述べましたが、この際に約2週間に亘って「天皇空位」の状態が続いたのは奈良時代に聖武天皇の皇女の称徳天皇が崩御してから天智天皇の皇孫で志貴皇子の子の光仁天皇が即位するまでに約1ヶ月間に亘って天皇空位の状態が続いて以来の出来事でした。この光仁天皇の即位を転機に天武天皇の血筋が次第に皇位継承から排除されていきますが、この光仁天皇の皇后でしかも聖武天皇の皇女の「井上内親王」と彼女の息子の「他戸親王」がその典型的な例ですね。その結果、光仁天皇の子で天武天皇の血を

    #タメになる #ドキドキハラハラ

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    2024年05月20日
  • 持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」

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     持統天皇の生涯を新たな視点も交えて書かれている。持統天皇は父、中大兄皇子や母方の蘇我氏が持っていた深謀遠慮、機を見るに敏、競争相手に対する容赦ない仕打ちなどを受け継いだ女性である。壬申の乱に勝ち抜き、自らの血筋を皇位に即けるべく、さまざまな策を弄して権力の座を保持し続けてきたのである。譲位制度や、若年即位、不可解な「不改常典」、吉野行幸など理を通すよりは情で突破したという感がある。ただ天智、天武と通う野望の強い女帝であったことが本書を通してうかがえる。
     女性天皇の是非については今日的問題にもなっている。その際によく持ち出されるのは古代の女帝は男系が途切れそうなときの時間稼ぎであり、実権はさ

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    2019年12月23日
  • 持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」

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    この本は凄い!
    詳しくて、文章が読みやすい
    知りたい事が全てわかった。
    所々で、「わたくしの見るところ」と言って、私見を述べている。1300〜1400年もの昔、その歴史を解釈し、様々な推定が出来るところに深みがあって面白いなと思った。
    20代の若さで処罰されてしまう有間や大友には、哀しさを感じ、いたたまれない気持ちでいっぱいになった。

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    2024年07月31日
  • 持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」

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    先に読んだ「壬申の乱」との大きな違いは、持統天皇の役割を重視している点だろうか。後の皇位継承問題への影響も大きかったとの評価。万葉集編纂に関する記述など興味深い点も多かった。

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    2020年02月13日
  • 光明皇后 平城京にかけた夢と祈り

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     著者の講演を聴き、そして同郷の二年先輩という親近感もあり読んだ本です。聖武天皇・光明皇后のことは少し歴史の教科書をかじったくらいであまり認識はなかったのですが、この本を読んで、二人は同い年で、兄妹のように育ったということを初めてしりました。
     そして、藤原不比等、藤原氏、橘氏、大伴氏などなどの権力抗争、仏教と古代国家の関係など、学ぶことが多い本でした。
     あとがきにあるのですが、古代史研究における奈良朝から平安朝への移行、孝謙=称徳女帝の父聖武天皇、そして、孝謙、聖武にとって切っても切り離せない光明皇后のこと、著者が長年取り組んできたことの一定のまとめがこの本のようである。
     これをきっかけ

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    2018年11月04日
  • 光明皇后 平城京にかけた夢と祈り

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    聖武天皇の妻で、孝謙天皇の母。藤原不比等の娘。
    60年を生き抜くことは大変なタスクだったと思う。
    聖武天皇と幼い頃から不比等邸で共に育ち、お互いをよく理解し、大切に思った良きパートナーだったという、著者のあたたかい視点から描かれており、古代に思いを馳せながら心地良く読み通せた。

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    2018年01月18日
  • 藤原摂関家の誕生 皇位継承と貴族社会

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    ネタバレ

    <目次>
    序章   伊予親王事件~摂関家への扉
    第1章  桓武天皇の“遺言”~皇権の安定化
    第2章  平城天皇の迷い~嫡系継承の放棄
    第3章  藤原内麻呂の手腕と苦悩~覇権への道
    第4章  真夏と冬嗣~兄弟の明暗
    第5章  藤原北家の行く末~内麻呂から冬嗣へ
    終章   藤原摂関家の誕生=南円堂信仰

    <内容>
    平安初期から8世紀前半にかけての政治史を、藤原氏と天皇家にしぼってまとめたもの。まあ資料が限定されるからしょうがないのだが、ややこじつけと思われる箇所も。「私はこう思うに違いないと考える」だけではダメだろう。もうすこし傍証が欲しい。

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    2025年10月03日
  • 桓武天皇 決断する君主

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    ネタバレ

    桓武天皇の血筋について瀧浪先生の考察が面白い
    確かに吉野の盟約に参加した天智系の皇子も、等
    しく天武帝の子だと誓約したのだ
    『朕が男等、各異腹にして生れたり。
    然れども今一母同産の如く慈まむ』
    そして死を迎えるにあたり、天智(特に聖武帝)
    へ思いを馳せた(でも先生の問題意識に理解が…)

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    2023年10月09日
  • 持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」

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    持統天皇の一代記なのですが、この本で書かれている通り持統帝の血統に対するこだわりは通説であると思うものの、「私は」で考えを書くところが多いこともあって筆者の私見を通説に対抗して記述しているように見えるのが残念かなと。先日テレビで筆者の方を見たときは持説に固執するような話し方ではなかったですので、書き方の問題だとは思うのですが……

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    2023年05月11日
  • 光明皇后 平城京にかけた夢と祈り

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    ネタバレ

    20220503 -0518 丁度奈良旅行へ行くので、どっぷり浸ろうと持参。光明皇后については、どちらかというと夫の聖武天皇を支えてというか凌駕するような男勝りの藤原家の皇后、というイメージが強い(漫画や小説などでもそんな感じ)。本書では夫(天皇家)と実家(藤原氏)の狭間に立って調整を図りながら苦悶する女性、という感じ。聖武天皇が意外に(失礼!)独裁的な王権をふるう権力者、という側面があったことを歴史書や遺物等から掘り起こしていて、そこは新鮮な書き方だった。著者は光明皇后に対する思い入れが深いみたいで、やや主観的な書きぶりになっているところがちょっと残念ww。

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    2022年06月09日
  • 持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」

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    持統天皇の生涯をたどった最新の新書。壬申の乱における持統天皇(鸕野皇女)の果たした役割を高く評価していますが、鸕野の働き掛けにより大海人が計画的に事を運び、新羅征討のための兵をそっくり自軍として圧倒的有利に戦いを進めたとする倉本一宏氏の説には否定的です。また、7世紀の女帝の役割やその条件については独自の見解を示されており、女帝の実子は立太子できないとの説には「本当にそうなのかなぁ」と思いました。他の文献も読みながら、この本に立ち返りたいと思います。

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    2021年02月25日
  • 光明皇后 平城京にかけた夢と祈り

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    聖武天皇の皇后である藤原光明子の一生を辿る一冊。論証のしようがない心情を元にした仮説が多いのはどうなんだろう…仏教的視点からの論述は色々と興味深い点も多かった。

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    2020年08月25日
  • 持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」

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    皇位継承の論理(どういう理屈で誰が選ばれるかの方法)についてはいくつかの説があって、著者の瀧浪氏の考えもこのなかで示されている。
    持統の人生の勝負どころ(壬申の乱、大津皇子の変、珂瑠皇子立太子)が皇位継承にからむもので、本著もそこに割く割合が大きいため、前提となる著者の考えに納得できないとその後の展開も読んでてよくわからなくなる。
    もちろん、全体が理解できなければ無意味なんてことはなく、部分的にでもなるほどと思わされるところはある。

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    2020年01月07日
  • 光明皇后 平城京にかけた夢と祈り

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    長屋王の神仙思想は知らなかった
    左道じゃん!
    臣下が天皇の長命を祈り写経してもいいものだろうか?
    本当に邪な気持ちがなかったのかな?

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    2019年04月29日