【感想・ネタバレ】持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」のレビュー

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Posted by ブクログ 2019年12月23日

 持統天皇の生涯を新たな視点も交えて書かれている。持統天皇は父、中大兄皇子や母方の蘇我氏が持っていた深謀遠慮、機を見るに敏、競争相手に対する容赦ない仕打ちなどを受け継いだ女性である。壬申の乱に勝ち抜き、自らの血筋を皇位に即けるべく、さまざまな策を弄して権力の座を保持し続けてきたのである。譲位制度や、...続きを読む若年即位、不可解な「不改常典」、吉野行幸など理を通すよりは情で突破したという感がある。ただ天智、天武と通う野望の強い女帝であったことが本書を通してうかがえる。
 女性天皇の是非については今日的問題にもなっている。その際によく持ち出されるのは古代の女帝は男系が途切れそうなときの時間稼ぎであり、実権はさほどなかったという論である。持統もまた文武天皇即位までのつなぎであったことは確かであるが、単なる時代の傍観者ではなく、積極的に政権に携わった持統天皇のような存在がいたということは忘れてはなるまい。

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Posted by ブクログ 2020年02月13日

先に読んだ「壬申の乱」との大きな違いは、持統天皇の役割を重視している点だろうか。後の皇位継承問題への影響も大きかったとの評価。万葉集編纂に関する記述など興味深い点も多かった。

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Posted by ブクログ 2023年05月11日

持統天皇の一代記なのですが、この本で書かれている通り持統帝の血統に対するこだわりは通説であると思うものの、「私は」で考えを書くところが多いこともあって筆者の私見を通説に対抗して記述しているように見えるのが残念かなと。先日テレビで筆者の方を見たときは持説に固執するような話し方ではなかったですので、書き...続きを読む方の問題だとは思うのですが……

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Posted by ブクログ 2021年02月25日

持統天皇の生涯をたどった最新の新書。壬申の乱における持統天皇(鸕野皇女)の果たした役割を高く評価していますが、鸕野の働き掛けにより大海人が計画的に事を運び、新羅征討のための兵をそっくり自軍として圧倒的有利に戦いを進めたとする倉本一宏氏の説には否定的です。また、7世紀の女帝の役割やその条件については独...続きを読む自の見解を示されており、女帝の実子は立太子できないとの説には「本当にそうなのかなぁ」と思いました。他の文献も読みながら、この本に立ち返りたいと思います。

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Posted by ブクログ 2020年01月07日

皇位継承の論理(どういう理屈で誰が選ばれるかの方法)についてはいくつかの説があって、著者の瀧浪氏の考えもこのなかで示されている。
持統の人生の勝負どころ(壬申の乱、大津皇子の変、珂瑠皇子立太子)が皇位継承にからむもので、本著もそこに割く割合が大きいため、前提となる著者の考えに納得できないとその後の展...続きを読む開も読んでてよくわからなくなる。
もちろん、全体が理解できなければ無意味なんてことはなく、部分的にでもなるほどと思わされるところはある。

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