冨原眞弓のレビュー一覧
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"戦争という非日常が日常に入りこんだ衝撃で、「仲のよい芸術家の家族」という美しいファサードは吹っ飛んで、ガラクタや瓦礫があらわになった。だからヤンソンは、記憶のなかの子ども時代を創造的に再構築した。それがムーミン世界だったのだ。"
面白かった……そして何より今の時代に読めて良かった。
ファインアートを志しながら、挿絵や風刺画の世界で評価を得た画家がなぜムーミンを書いたのか。
何よりも、トーベ・ヤンソンという人はどんな芸術家、彼女の母語で言うのなら「コンストレル」だったのか。
芸術一家に生まれた少女が、両親から薫陶を受けながらもオリジナリティを獲得し表現の世界に飛び込む。し -
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人生で最良の本は?と問われたらこれを挙げる。
シモーヌ・ヴェイユを日本人に伝えられる人がいたとしたら冨原先生しかいなかった。日本でのヴェイユ研究は一旦は止まらざるを得ないだろう。
大学院に行って最初に借りた本だった。当時は中古のみ6000円台〜と学生にはなかなか手が出なかった。私は本書をリュックに入れて時間を見つけては読んだ。著者が亡くなったことがきっかけなのかはわからないが、いまは再販されているようで1800円ほどで買えるようだ。
私の人生という川があるなら、その河床をつくるもののひとつはシモーヌ・ヴェイユの存在、思考だ。しかしこれはあくまで冨原先生を通してである。冨原先生がいなければ私 -
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2025.7.26
ヴェイユの強さ、与えられる優しさ
離さない光
美とは何か
これを理解するにはまだ及ばない
エネルギーの実体変化は自分の判断基準に取り入れようと思うぐらい感動した
ヴェイユにとっての美は何か。美によって神との接触が可能?我々が実在と接触できる数少ない媒介が「美」なのか。では美はなぜその位置を与えられたのか。神の「罠」。
ギリシア彫刻はヴェイユからすれば美。ではなぜギリシア彫刻を見るだけでは足りないのか?集団から個別へ、そして普遍へ。ギリシア彫刻は既に普遍的美としての位置付けがなされているという認識?だとしたらヴェイユは美の体験においては個別から普遍への段階を踏むことを求め -
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本棚に置きたい一冊
トーベ・ヤンソンさんの世界が大好きです。
以前何かで、ムーミン全集をお勧めされており、拝読。
ムーミンといえば、高校生のころ。
今からもう22年も前のことになるのか。
アニメにはまり、そしたら大好きな友人もはまって、今思えばそれも嬉しかったなぁ。
あの頃はまだ、市内に出てもムーミンのグッズは少なかったけど、今はムーミングッズがこんなに増えました。
かわいいだけではない、トーベ・ヤンソンさん描く物語。
序文では、ちょうど戦争があっていた時に、
風刺画を描く時に署名がわりに使っていた、
怒った顔の生きものを主人公にしてムーミントロールという名をつけたとのこと。
かわいい登 -
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下巻は第3部「根づき」の方法についての記述となります。上巻が「根こぎ」の悲惨な状態についての記述であったのに対して、下巻はいかにして人間が(特にフランス人を念頭においていますが)ふたたび根を張ることができるか、そして魂の糧を得ることができるか、についてのヴェイユの提案・主張が書かれていることになります。
主張は正直難解に感じましたし、一言で説明せよと言われると非常に難しいのですが、ポイントとしては人間の生命維持に直結する労働に焦点をあてていることでしょう。またヴェイユの主張で面白いと感じたのは、思考は万物を動かしている必然性すらも支配できる、というコメントです。つまり世の中で起こっていること -
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フランスの哲学者で、第二次世界大戦時に亡命先の英国で34歳という若さでなくなったヴェイユの代表作の一つです。上巻では人間の魂に必要なものは何かをリストアップし、そのなかでも特に著者が重要と考えている「根を持つこと」についての論が始まります。植物にとって根が養分を吸収する重要な役割を果たしているように、人間もなんらかの根を持たなければ魂が死んでしまう。そして根から無理やり引き剥がされた状態、つまり「根こぎ」の恐ろしい影響について上巻では詳しく論じていますが、その中心的話題は祖国の喪失です。フランスはナチスドイツに占領されフランス人は「根こぎ」の状態になりますが、ヴェイユはいかにしてフランス人の魂
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ネタバレ『ボーダー 二つの世界』というスウェーデン映画を見て、
「トロールの話って他にどんなものがあるんだろう?」と気になり、
検索した結果出てきたのが『小さなトロールと大きな洪水』(トーベ・ヤンソン)。
今更思い出したけど…トロールって、『ハリーポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』のイメージ強くて、
まさかムーミン出てくるとは思わなかった!!!!!
「トロール」とは一体何者なのか、本作を読み終えてから調べるか……と思っていたら書いてあったので抜粋。
【「トロール」というのは、北欧の神話や民話に出てくる妖精や小鬼のことで、北欧の人ならだれでも知っています。】
小鬼と妖精が一緒にされてい -
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マア1割くらいしか理解できてないかもしれないけど…
・卑俗な動機は簡単にエネルギーになる
・自分の中の獣を馴致すること(不可能なものに達するには可能なことを積み重ね遣り遂げる必要がある)
・常に思考をやめない。思考の居場所のないところには正義も思慮もないから。(見えないものはない、というかんがえをやめる)
結構自分自身、己がつよいみたいなところがあって、いろんな自分の周りのことに執着したり、日々のことに意味あんの?とかおもったりしてサボったり、ということがあるけど、そういうのって傲慢〜〜〜ってことなのかもしれない。どうしても、私は世界のほんの一部(ぜんぶ)にすぎず、ダルマ/必然に隷従して -
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根をもつこと、というこの題名から何を想像するだろう。ヴェイユという独特な哲学者についてあらかじめ知っていなければ手に取ることもないのではないだろうか。ここにいう「根」とは、周囲の集団や環境から喜びや生きがいを汲みとる人のあり方といったものといえようか。根をもつことをヴェイユはこう定義する、「根をもつこと、それはおそらく人間の魂のもっとも重要な欲求であると同時に、もっとも無視されている欲求である。また、最も定義のむずかしい欲求のひとつでもある。人間は、過去のある種の富や未来へのある種の予感を生き生きといだいて存続する集団に、自然なかたちで参与することで、根をもつ。」(上巻p64)。
人は根を -
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上巻は、ヴェイユが私的憲法草案を著すに際した基本理念(服従、名誉、秩序、言論の自由など)から始まり、労働者、農民、国民の、中世から続き第二次世界大戦敗戦に至るまでの「根こぎ」の過程と、根を取り戻すための実際的な要領を提案している。
下巻は丸一冊分「根づき」について。
敗戦という絶好のチャンスに、いかにしてフランス人に真理を重んじる霊感(これは魂とかそういう意味)を復活させるか。
真理と科学・労働が現状いかに乖離しているか、その滑稽さなどをかなり辛辣に綴っている。
”いまこの瞬間つぎの二つの運命からの二者択一を迫ってみよう~”の下りは、ヴェイユの真理に対する崇敬の度合いと厳しさが一番よく出ている -
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ムーミン物語を読むのは、実はこれが初めて。
本作は、ムーミン物語の第一作。
戦時中の1939年に、子供達のために
トーべが風刺画を描く際に、サイン代わりに
使っていた怒った顔の生き物をムーミントロールと名付けて主人公に構想、1945年に物語化。
当時トーベのフィンランドは、ドイツ軍の侵入
ソ連の空爆を受ける。
物語、最初はパパが不在で、ムーミンが、
ママと二人で、暖かくて住みやすい場所を探して、暗い森の中を旅する。
家族がばらばら、絵の挿絵もどことなく暗く、
戦争の影響を受けていると読むと、
最後にムーミンパパと再会できた時は、
心から安堵の気持ちがした。 -
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子供の時にテレビアニメで放送されていたムーミン。この本はなんと、1945年に出版された「ムーミン」の記念すべき1作目!ストーリーは、行方不明となったムーミンパパをムーミンとムーミンママが探しに行くという感じ。100頁ちょっとなので1時間も掛からず読めちゃうんですが、「哲学的」というと凄く大袈裟なのですが、「何とも言えない深さ」を感じてしまいました。というのは、埼玉県飯能市にあるムーミンパークに行った際に作者であるトーベ・ヤンソンさんの生立ちを知ったからだったり、久しく童話を読んでいなかったせいかと思うんですが。。。気になる方は読んでみて下さい♪