高校三年生の高橋秀は、成績優秀でテニス部のエースでもある高校三年生。
そんな彼の目下の悩みは、どうやら同性にしか性的興奮を覚えないらしいこと――。
何人もの異性に告白されるも心を揺さぶられることなく、それどころか、たまたま同級生が持ってきた男同士の絡みが乗っているエロ本をついつい食い入るように見つめてしまう。
そんな秀の行動をあろうことか、『遊んでいる』同級生・東洋平に気づかれてしまう。
思いつめ、学校を休んでしまった秀の下を東は訪ねてくると、あろうことか「本当にゲイなのか証明してみせろ」と秀を挑発する。
これまで悩んでいたことを鼻で笑われたことに怒りを覚えた秀はその挑発に乗ってしまうが、東のものに触れ、東に触れられると身体から湧き上がる快感に溺れてしまう。
その後、東からは「つきあおうぜ」と告白されるが、今までの東の女性遍歴を知る秀は、東をどうしても信用できず、「セックスフレンドから」という東の要求を呑むことにする。
身体だけの関係を続け、初めての快感に溺れる秀だったが、幼馴染みの山岡大輔にその関係を知られてしまい――。
という感じの話でした。
結局、秀は山岡に無理やり犯されちゃって、そのことでようやく自分の気持ちを自覚する――とう話でした。
なんというか、高校生であるという秀の気持ちがとてもよくわかる話で。
秀は、真面目なごくごく普通の高校生なので、なかなか自分が男しか愛せないんだってことを認めるられるわけじゃなく、ましてやそんな相手なんてそうそういない、と思い込んで悶々とする日々を送っている。
よく、自分はそうなんだ、とわかった瞬間からぐれちゃったりぶっとんじゃったりして、人生経験が華々しくなってしまう「受け」の子がいるんですが、そうじゃないところがリアルだなー……と思いました。
個人的に、どっちかという真面目側の人間だったので、秀のいう「一人でふらふらそういう街に出ていってどうやって遊べばいいのか、さっぱりわからない」という気持ちはすっごくよくわかるのです。
そんなもの遊びなれているやつが行くから、そこそこちゃんと形になるわけであって、遊びなれてない人間はしり込みしてとてもじゃないけど、飛び込んでいけないものなんですよね。
そういう意味では、とってもリアルな話だなと思って、すごく共感できました。
最後はもちろん、「遊んでいる」ように見えて(実際遊んでいるのだけれども)実はものすごく優しい東と秀がきちんとくっついてハッピーエンド。
おまけとして、秀と東が大学に行ったその後の話もきちんと書いてあります。
こういう穏やかな話っていいですよね。
ちょっと内にこもるような焦燥感をあおるような話が好きな方にはオススメです。