ジャン=クリストフ・グランジェのレビュー一覧
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ジャン=クリストフ・グランジェ『ミゼレーレ 下』創元推理文庫。
下巻に突入。型破りのフランチ警察ミステリーである。何しろ、捜査権を持たない62歳の元刑事とヘロイン依存症で休職中の若手刑事がコンビを組み、謎のベールに包まれた巨悪に挑むのだ。
久し振りにグランジェ劇場を堪能した。
アルメニア使徒教会で聖歌隊指揮者でオルガン奏者のウィルヘル・ゴーツが謎の凶器で両耳の鼓膜を破られ、殺害された事件を切っ掛けに、同様の殺人事件が連鎖していく。周囲に血文字で書かれた聖歌『ミゼレーレ』の歌詞。
捜査権のない元刑事のカスダンとヘロイン依存症で休職中の刑事ヴォロキンにより明らかになる聖歌隊の少年たちの失 -
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ジャン=クリストフ・グランジェ『ミゼレーレ 上』創元推理文庫。
何年振りに文庫化されたグランジェのミステリー小説。
その昔、海外翻訳物の連続殺人鬼ミステリー小説ばかり読んでいた時期がある。扶桑社海外ミステリーが創刊され、勢いのあった時代である。グランジェもその時に読んだ作家の1人であった。その時は、後に映画化された『クリムゾン・リバー』と『コウノトリの道』を読んだ。2作とも非常に面白く、その後『ヴィドック』と『狼の帝国』も読んだ。
それから何と長い時間が経過したのだろうか……
さて、本作の上巻であるが、やはりグランジェだった。何とも重厚な雰囲気の中で奇怪な殺人事件が描かれる。謎が謎を呼 -
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ネタバレ2025年の12、13冊目は、フランスの誇るジャン=クリストフ・グランジェの「ミゼレーレ」です。
タイトルの「ミゼレーレ」は、イタリアの作曲家グレゴリオ・アレグリが、旧約聖書詩篇第51篇を元に作曲した合唱曲です。この合唱曲が、当然ながら全編を通して大きな鍵となって来ます。アルメニア使徒教会で聖歌隊の指揮者が殺害されます。更に関連したと見られる殺人事件が続けて起きます。最初は、グランジェお得意のバロック風ミステリーの体で展開して行きますが、徐々にカルト宗教に絡んだテロ話に集約して行きます。(オウム真理教も言及されています)そして最後は、要塞化されたような宗教施設に乗り込み、まるでC.J.ボックス -
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「我らは支配者にして奴隷
われらはあまねくありて、いずこにもなし。
我らは測量士
我らは緋色の川(クリムゾン・リバー)を制す」
この、なんとも意味の掴めない呪文のような言葉が、この物語の全貌……。
ニエマンスとカリム、二人の刑事はそれぞれの事件を追っていくうちに、大きな謎の淵へ導かれていく。
2000年にフランスで映画化された。
主役のジャン・レノはトヨタのCMでドラえもん、
相方ヴァンサン・カッセルもオランジーナのCMで小峠と共演、作者ジャン=クリストフ・グランジェの妻は日本人と、結構日本には馴染み深い。
物語はノワールの香りを漂わせながら、深い謎は徐々に姿をあらわしていくいく……。 -
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上下巻合わせて。
パリの教会で、聖歌隊指揮者兼オルガン奏者が殺される。遺体の両耳の鼓膜は破られ、周囲に血痕があった。あまり大きくない足跡も。
凶器は見つからなかったが、この教会に通っていたアルメニア出身の元警部リオネル・カスダンは、これは事故や病死ではなく、殺しだと直感した。そして退職後の身でありながら、この事件を追いかけることにする。
被害者は両耳の間を貫通するように細長いもので刺されたと考えられた。そのような殺害法を実行するには強い力でかつ正確に急所を狙わなければならないだろう。
一方、被害者の内耳にはいかなる微細な金属片も残されていなかった。凶器はどのようなものなのか?
被害者は聖歌隊