カート・ヴォネガット・ジュニアのレビュー一覧

  • スローターハウス5
    SF小説と戦争ノンフィクション小説が融合したような作品。時間旅行と戦争実録が絡み合う。
    ドレスデン爆撃については、全く知らなかったので、衝撃的だった。米兵の捕虜生活も壮絶で、作者の実体験を元に描かれたからこそ、具体的だ。
    「そういうものだ」…多用されるこの言葉に諦めを感じさせる。
    ビリーの虚無的な人...続きを読む
  • タイタンの妖女
    普段、SFを全く読まない私が読んだ『タイタンの妖女』
    この小説は冒頭から「実体化現象」、「時間等曲率漏斗」など固有の名称が出てくるため、初見のものはグッと堪えて読み進める必要がある。
    裏表紙に書いてあるのでネタバレではないが、「主人公が火星へ行く」と説明されてから実際に行くまでの話がとても長く、「い...続きを読む
  • タイタンの妖女
    カート・ヴォネガットの文体は、表紙の和田誠さんのイラストのイメージそのままだった。全体的にコミカルだけど、精読するほどはぐらかされてしまう。掴もうとするほどヌルッとウナギのようにすり抜ける感じ。この表現、どこまで意味があるのだろうか?コレ、必要?と感じる未回収な言葉を乱発しつつも、登場人物たちの意味...続きを読む
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    ジャンル不明。
    お金と愛と狂気の物語。
    SF要素としては、架空のSF小説のエピソードが紹介されたりはする。
    基本的に、ストーリーやエピソードは意味不明だが、読後感は非常に良い。
    おそらく、社会風刺になっているのだろう。
    ヴォネガットは考えさせられる作品が多い。
  • タイタンの妖女
    太田さんがあんまりにも面白いと言うので読んでみた。
    途中までは続きが気になる感じで読んでたけど、後半は少し読むのが億劫になってしまった。
    昔の翻訳の仕方のせいなのか?文章が少し分かりづらいように感じた。現代版の翻訳が出ていたら読みやすくなっているのか?
    星新一とかに似てるのかな。SFと皮肉が混ざって...続きを読む
  • タイタンの妖女
    SF界では有名?なこの作品、学生の時に友人に勧められていたのだが、手が伸びずに縁がないまま*年。気が向いたので読んでみることにした。
    この本、なかなか読み進められない。大抵の本は最初が進まなくてもある程度進むと勢いで読んでしまうのだが、その勢いが出るところがない。読み進めても着地点が見えてこない。毎...続きを読む
  • スローターハウス5
    読書会課題本。奇想天外な展開と言えば、確かにそうだけれども、戦争によって多くのものを失う悲しみが、ひしひしと感ぜられる内容だった。時々挟まれるユーモアや繰り返される「そんなものだ」という台詞に、諦めのような感情が伝わってくる。戦争について色々と考えさせられた。
  • チャンピオンたちの朝食
    当時のアメリカへの批判が込められているらしいが、残念ながら知識不足のせいかあまりピンとこなかった。あと特にわからない点としては、ラストのイラストはどう捉えればよいのだろう。まえがきにもあるように、この作品でトラウトやローズウォーターなどの過去作登場人物たちを放り出してしまうわけだが、この先ヴォネガッ...続きを読む
  • プレイヤー・ピアノ
    ある種のディストピア小説ではある。だがこの著者の手にかかると、どうもシリアスな感じにはならないようだ。ほとんど全てを手に入れることができる立場でありながら、ここではない場所の暮らしに憧れるポール・プロデュース博士の選択は果たして。皮肉ともいえるラストが印象を残す作品。
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    大金持ちもまともな精神状態ではやっていけないっていう話。

    超富裕層の26人が世界人口の半分の総資産と同額の資産を保有していたり、上位1%が富の82%を独占しているというのを聞くと、このシステムもおかしいし、それを享受している超富裕層も狂っているんだろうな、と。

    そしてそういう事に違和感を感じなく...続きを読む
  • スローターハウス5
    カートヴォネガットジュニア
    スローターハウス5
    カバー 和田誠

    面白さはないが、死に対して鈍感にならざるえない戦争の雰囲気は伝わる

    戦争の中の死を語った自伝的小説。時間旅行や異星人との会話などSF要素を組み込んでいるのは SF世界が本来あるべき世界という意味か?

    多くの人の戦死が 語られた後、...続きを読む
  • チャンピオンたちの朝食
    初ヴォネガット。何だろうこのとっ散らかった文章は(困惑)ストーリーがあるにはあるが、途中で関係のあるような無いような話が様々な角度(しかも急角度)から入り込んでくる。当時のアメリカへ対する皮肉や批判をたっぷり込めた物語だ。終いには著者自身が登場して「私は創造主だ」と主人公と絡む始末。心に残った言葉は...続きを読む
  • プレイヤー・ピアノ
    ヴォネガットの処女長編。
    機械を壊す革命が成功したイメージでいたけれども、読み直してみて、そうではないことを知った。

    ページ数は多いけれども、長さは感じさせない。
    以降の作品に比べれば、時間も場所も、オーソドックスに展開するけれども、読み手をつかまえてはなさないストーリテーラーとしての手腕は、最初...続きを読む
  • スローターハウス5
    カート・ヴォネガット 、学生時代何冊か読みました。独特のブラックなユーモアと風刺と、物語としての面白さ。
    当時からヴォネガットの最高傑作は「スローターハウス 5」と言われていたのですが、なぜか読む機会を逸していました。
    ただ、ちょっと期待しすぎたみたい。
  • スローターハウス5
    こんなふうにユーモアたっぷりに批判的な主張をかける人って、すごい頭がいいんだろうな。ドレスデンの爆撃がどれほどひどかったのか知らないので実感として受け止めることはできなかったけれど、戦争というもの、またそれも含めての人生、人の運命というものに対しての諦念混じりの憤りが描かれていたように思えた。
    実際...続きを読む
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
    この作家は、中学か高校ぐらいに「チャンピオンの朝食」を読んで以来だ。1965年に書かれた小説。進歩主義が本当に進歩的と思われていた時代の古臭さもあるが、最後のキルゴア・トラウトの述懐「人間を人間だから大切にする」には、現代にこそ通ずるものがある。
  • プレイヤー・ピアノ
    舞台は第三次世界大戦後のアメリカ。大半の人々はテクノロジーに仕事を奪われ、少数のengineers & managersが富を得る形へと変わっていっていた。そんな物語の主人公は、東海岸に位置する架空の都市、Iliumの大企業Ilium Worksのマネージャー、 Paul Proteus。妻、Ani...続きを読む
  • 母なる夜
    名作だがこれは自伝である
    表紙   7点和田 誠
    展開   6点1961年著作
    文章   6点
    内容 600点
    合計 619点
  • チャンピオンたちの朝食
    横道に逸れまくる話、文章の一部として組み込まれた挿絵、話の中にまで登場する作者

    こういったユニークな要素を織り交ぜながら、(ブラック)ユーモアたっぷりの語り口で2人の中年男性に関する物語が綴られていきます。

    独特の世界観に慣れてからは、物語に引き込まれてすごく面白かったです。ただ、ラストが少...続きを読む
  • スローターハウス5

    ドレスデン爆撃を経験した著者の半自伝的小説との事ですが、その意図に気付くまでは苦しめられました。
    痙攣的時間旅行者なる男の物語で、過去未来を往来しつつ戦争捕虜や宇宙人の誘拐という体験を語るのですが、読み始めは混乱するばかり。
    しかし次第に、辛い体験も「そういうものだ」と多くを語らない様子や、宇宙...続きを読む