カート・ヴォネガット・ジュニアのレビュー一覧

  • スローターハウス5

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    著者の戦争体験をベースに書かれた本書。

    構成のアイディアが秀逸で、場面がコロコロ切り替わるため、戦争という重い緊張感に浸ることなく軽やかに内容を楽しめた。

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    2025年02月07日
  • スローターハウス5

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    『So it goes.(そういうものだ)』の連発に嫌気が差した。せめて『Let it be.(あるがままに、そのままに)』にしてくれ!(笑)

    爆撃自体による被害は広島・長崎の原爆や東京大空襲を上回ると言われるドレスデン爆撃を中心にした物語。事実をそのまま小説にしたのでは余りにも悲惨な話になってしまうので、今までの作者の作品群を絡めた、ちょっとコミカルなSF仕立ての物語になっている。ただ、どうなのか(!?) 舞台が目まぐるしく変わるので、自分には読み辛い小説だった。

    巻末の解説にもあるが、放射能による後遺症は被爆者のみならず、その子孫にも及ぶ事もある。被害の大小を比べるものではないが「

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    2024年12月10日
  • タイタンの妖女

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     本作は解説にあるように時系列が散らばっていたり、話の途中で場面が急に変わったりと、全体としてまとまりのない印象を持つかもしれない。また、ある場面に出くわし、謎の展開に面食らい、困惑するかもしれない。しかし、本作はそのような不可解な描写とそのときの受け取り方が大事だという。

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    2024年10月20日
  • タイタンの妖女

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    ネタバレ

    ワイドスクリーン・バロックとな。
    こないだ読んだSFもこんな感じだったからその分類かな。

    マラカイコンスタントと言うイケイケ金持ちプレイボーイのスペースワイドな一生。面白いとか思える余裕がないくらい全く筋が読めない。なんだけど、散りばめられたキーワードはきっちりと回収して終わる。 

    何を読まされたんだ?
    と呆然とする読み心地。

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    2024年10月15日
  • タイタンの妖女

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    SF界を代表する作家の一人、カート・ヴォネガット(・ジュニア)の代表作の一つ。ずっと積まれていたのをようやく崩すことに。

    ヴォネガット作品は『スローターハウス5』しか読んでいなかったが、読んで分かるヴォネガット流SF。過去、現在、未来を同時に観測する力、それによって頻繁に転換するシーン、トラルファマドール星人...etc。

    波動存在となったウィンストン・ナイルス・ラムフォード、地球・火星・水星・土星の衛星(タイタン)を巡るマラカイ・コンスタント(=アンク)、ラムフォードの元妻ビアトリス、彼女とマラカイとの間に生まれた子クロノ、トラルファマドール星人サロらの立ち位置、関係性、目的等を整理出来

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    2024年09月22日
  • スローターハウス5

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    四次元的に時間が入り乱れる奇妙な構成、淡白な登場人物、個人にはどうしようもない巨大過ぎる戦争。
    無慈悲に襲いかかる死、希望、絶望、運命の全ては始めから決まっていたもの。So it goes. そういうものだ。
    この強烈な皮肉は戦争の当事者しか描けないと思った。

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    2024年05月23日
  • スローターハウス5

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    古典的なSFで、著者のヴォネガッドの実際の戦争体験が元になっているということだが、自分にその手の歴史的な知識がないため内容が良く理解できない。

    ラスト近くの有名な一節だが、なぜ主人公がそう思うに至ったかが上手く飲み込めない。

    自分にとっては読み進めるのが難しい難解な部類の本だった。映画化もされているということなので、映像で見れば多少はイメージが湧くか?

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    2024年05月11日
  • タイタンの妖女

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    今時の「見事な伏線回収!」とか「今年一番泣ける小説!」「衝撃のラストにあなたは震える」などおよそそういった小説たちに最近どっぷり浸かっていた自分にとってはなんじゃこりゃ?と、どう解釈していいのか、どう感情移入していいのやらよく分からず眉間にシワを寄せながら読んでました。ただ読んでる途中で太田光さんが書いてたあとがきをふと読んだら格段に読みやすくなった。この小説は訳わからない、ただ訳わからないままでいいじゃないか。そう思って読むとなんだか素敵な物語に思えてきた。万人にはおすすめできないが、万人に読んでほしい小説。かな(笑)

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    2024年04月28日
  • スローターハウス5

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    SF小説と戦争ノンフィクション小説が融合したような作品。時間旅行と戦争実録が絡み合う。
    ドレスデン爆撃については、全く知らなかったので、衝撃的だった。米兵の捕虜生活も壮絶で、作者の実体験を元に描かれたからこそ、具体的だ。
    「そういうものだ」…多用されるこの言葉に諦めを感じさせる。
    ビリーの虚無的な人生は戦争体験によるものなのか。
    ヴォネガットがこの作品を描いてから何十年経つのだろう。いまだに戦争は無くならない。
    愚かな行為を繰り返す地球人をトラルファマドール星人はどう見ているのだろうか。

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    2023年12月23日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    ジャンル不明。
    お金と愛と狂気の物語。
    SF要素としては、架空のSF小説のエピソードが紹介されたりはする。
    基本的に、ストーリーやエピソードは意味不明だが、読後感は非常に良い。
    おそらく、社会風刺になっているのだろう。
    ヴォネガットは考えさせられる作品が多い。

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    2023年04月22日
  • スローターハウス5

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    読書会課題本。奇想天外な展開と言えば、確かにそうだけれども、戦争によって多くのものを失う悲しみが、ひしひしと感ぜられる内容だった。時々挟まれるユーモアや繰り返される「そんなものだ」という台詞に、諦めのような感情が伝わってくる。戦争について色々と考えさせられた。

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    2021年10月21日
  • プレイヤー・ピアノ

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    ある種のディストピア小説ではある。だがこの著者の手にかかると、どうもシリアスな感じにはならないようだ。ほとんど全てを手に入れることができる立場でありながら、ここではない場所の暮らしに憧れるポール・プロデュース博士の選択は果たして。皮肉ともいえるラストが印象を残す作品。

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    2021年04月04日
  • チャンピオンたちの朝食

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    当時のアメリカへの批判が込められているらしいが、残念ながら知識不足のせいかあまりピンとこなかった。あと特にわからない点としては、ラストのイラストはどう捉えればよいのだろう。まえがきにもあるように、この作品でトラウトやローズウォーターなどの過去作登場人物たちを放り出してしまうわけだが、この先ヴォネガットがどこへ向かっていくのかが気になる。

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    2021年04月04日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    大金持ちもまともな精神状態ではやっていけないっていう話。

    超富裕層の26人が世界人口の半分の総資産と同額の資産を保有していたり、上位1%が富の82%を独占しているというのを聞くと、このシステムもおかしいし、それを享受している超富裕層も狂っているんだろうな、と。

    そしてそういう事に違和感を感じなくなってきている我々も気が違ってきているじゃないか、と思う。

    日本語訳は1982年発行なので仕方ない部分もあるけど、「エンガチョ」や、その類いの言葉で冷めてしまう。

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    2021年09月17日
  • チャンピオンたちの朝食

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    初ヴォネガット。何だろうこのとっ散らかった文章は(困惑)ストーリーがあるにはあるが、途中で関係のあるような無いような話が様々な角度(しかも急角度)から入り込んでくる。当時のアメリカへ対する皮肉や批判をたっぷり込めた物語だ。終いには著者自身が登場して「私は創造主だ」と主人公と絡む始末。心に残った言葉は「ほかの作家たちには、混沌の中に秩序を持ちこませておけ。わたしは逆に、秩序の中へ混沌を持ちこもう。」頻繁に挿し込まれている著者の描いた挿絵はなかなか味があっていい。いずれにしても、私には早かったようだ。ちょっとどこかに本作の解説がないか探してみよう。

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    2020年07月11日
  • プレイヤー・ピアノ

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    ヴォネガットの処女長編。
    機械を壊す革命が成功したイメージでいたけれども、読み直してみて、そうではないことを知った。

    ページ数は多いけれども、長さは感じさせない。
    以降の作品に比べれば、時間も場所も、オーソドックスに展開するけれども、読み手をつかまえてはなさないストーリテーラーとしての手腕は、最初のこの作品からもある程度うかがえると思う。

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    2020年07月07日
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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    この作家は、中学か高校ぐらいに「チャンピオンの朝食」を読んで以来だ。1965年に書かれた小説。進歩主義が本当に進歩的と思われていた時代の古臭さもあるが、最後のキルゴア・トラウトの述懐「人間を人間だから大切にする」には、現代にこそ通ずるものがある。

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    2018年11月05日
  • プレイヤー・ピアノ

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    舞台は第三次世界大戦後のアメリカ。大半の人々はテクノロジーに仕事を奪われ、少数のengineers & managersが富を得る形へと変わっていっていた。そんな物語の主人公は、東海岸に位置する架空の都市、Iliumの大企業Ilium Worksのマネージャー、 Paul Proteus。妻、Anitaと何1つ不自由のない暮らしを送っていた。しかし橋を渡ればそこに住むのは仕事もなく、社会から見放された大勢の人々。明らかな格差と人間の存在意義を問う姿勢が皮肉にも今の世界と通用する。

    Vonnegutのデビュー作でもあり、のちの作品の原点とも言える。物語は定番のディストピアを題材としてい

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    2016年08月08日
  • 母なる夜

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    名作だがこれは自伝である
    表紙   7点和田 誠
    展開   6点1961年著作
    文章   6点
    内容 600点
    合計 619点

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    2016年02月26日
  • チャンピオンたちの朝食

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    ネタバレ

    横道に逸れまくる話、文章の一部として組み込まれた挿絵、話の中にまで登場する作者

    こういったユニークな要素を織り交ぜながら、(ブラック)ユーモアたっぷりの語り口で2人の中年男性に関する物語が綴られていきます。

    独特の世界観に慣れてからは、物語に引き込まれてすごく面白かったです。ただ、ラストが少し腑に落ちませんでした。

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    2015年10月06日