カート・ヴォネガット・ジュニアのレビュー一覧
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ネタバレSFというより本気の戦争小説でした。
翻訳なので実際の文章はわからないけど、ただ少なくともこの文章は読みやすくて良かったです。さりげなく散りばめられた目を引く文章の数々。ヴォネガットの場合は、美しいとか迫力がある系よりも含蓄に富んだ文章で、言葉のゆるい空気以上に直接的に語りかけてくる。異星人、時間跳躍、第三者視点(人称)。体裁だけ見たら特殊でいざ思い起こすと複雑多岐に渡る内容なのに、それを簡潔に読ませようとする作者の力量が凄い。現実の物事を語る上で非現実の目が巧く作用しておりSFだから伝わるモノもあることを思い知らされた。加えて全体的にブラックユーモアのある文体が悲壮感を増します。
主人公の -
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『タイタンの妖女』に引き続き、ヴォネガット二作目。こちらも私にたいへん刺さる作品で、これは作家読みするやつだな...という気持ち。笑い(というか朗らかさともいうべきか)もありながら、戦争をこう切り取るのかと、面白かった。実際に体験した人の感覚としてこういうのもあるのだろうというのが、しっとり伝わってきた。人生は不条理であることを、柔らかく受け止めるというか。そういうものなんだろうなあと、ひしひし。広島の記述には、む、と思ったけど、そこは訳者あとがきでケアされているので最後まで読んで落ち着いたし、やはり反射的にむと思う自分がいるんだなと認知したのもなかなかの体験だった。
そして私は最後の一文を、 -
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ネタバレ1952年に書かれた近未来小説。
現代を言い当てているようなところだとか、
現代からつながっていく近未来を感じさせるところもあります。
全体としてはレトロな未来ですけどね。
たとえば、個人のもつIDカードがパンチカードだったりする古さがあるし、
半導体はでてこなくて、真空管がでてきます。
駒を動かす盤ゲーム(チェスみたいなものかな?)
で人間を負かすための機械がつくられたり、
機械に仕事をとってかわられてリストラされたり、
格差のある階級社会になっていたり、
21世紀を予見している(洞察している)ところがでてくる。
内容そのものもとてもおもしろいです。
また、
AとBという対立があって、
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読んでいて、どうすればいいのかわからなくなって、馬鹿みたいにぼろぼろぼろぼろ泣いてしまった。
ヴォネガットの作品はこれが初読だが、読む前からからそうなる予感はしていた。きっと泣いてしまうし、きっと辛いだろうと。その通りだった。
「カート・ヴォネガット・ジュニアの『ローズウォーターさん~』は、この作家が世界に宛てた、一番新しい、一冊の怒りのラブ・レターである」(ジュディス・メディル)
怒りのラブ・レター。まさしく。
これは愛についての物語である。そして金についての物語である。
一人の男が限りない愛と、限りなく限りないくらいの金を、その身に背負って、生きる話である。
誰を救えばいいのか、とい -
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*えり*
富と愛をひとびとに分け与えようとする、とある大富豪と、
彼を取り巻く人々の物語。
ローズウォーターさんに助けを求める人々は、
多くが金銭を求める人々ですが、
中にはほんのささやかな愛情だけを求めている人もいます。
ローズウォーターさんはその全てに応えようとします。
彼に何が起こってそのような行動をとるに至ったのか?
また、彼の行動によって、周囲に何が起こったのか?
「無償の愛」は、限りない困難に満ちています。
果たしてそれは実現可能なのか?実現するには、一体何が必要なのか?
「人間を人間だから大切にする」ということは、シンプルですが気付きにくい事です。
笑いと悲しみと真実が -
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ネタバレ『
「俺は神様に一度きいてみたいと思ってるんだ。この下界じゃとうとうわからずじまいだったことを」
「というと、どんなこと?」
そうたずねながら、ホステスは彼の体をベルトで固定する。
「いったいぜんたい、人間はなんのためにいるんだろう?」
』
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『
「() ちょっと耳の痛いことを言わせてもらいましょう。お気に入ろうが入るまいが、ずばりこうです―あなたの財産は、あなたの目から見たご自分と、他人の目から見たあなたに関する、最も重要でかつ唯一の決定的要素である、ということ。金を持っているか