カート・ヴォネガット・ジュニアのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者自身が戦時中に体験した「ドレスデン無差別爆撃」を基に書かれた、半自伝的長編小説。
SF小説であるが、昨今の小説でよくある近未来的な機械や怪獣が出てくるわけではなく、主人公の設定にSF要素が盛り込まれている。
作中に引用されている「ニーバーの祈り」からこの小説を知った。
久しぶりに読み返したくなり、再読。
異星人に誘拐されてから、主人公のビリーは自分の意思とは無関係に時間を行き来する「けいれん的時間旅行者」となった。
これによって、ビリーは地球人には考えつかない、いくつかの学びを得る。
例えば、
・今死んでいる者は過去の瞬間では生きており、その瞬間は常に存在し続ける
・未来の瞬間も過去と -
Posted by ブクログ
この世には運のいい人間と運のわるい人間とがいる。それは偶然性であり、たまたまだ。
人生に目的などない。あるとしたら、自分の中にある真実に気づくことだ。
人生の意味を自分の中に見つけ出す方法を知っている。これは運がいいことだ。
これまでの人生でやった善いことを、たったひとつでいいから話せること。幸運といってもいいだろう。
今ある幸せに気づけること。まずはそこからだ。
運が悪いってのは、"ひとつながりのアクシデントの犠牲になった"ってだけのことだ。
そんなときは、"徹底的に無関心な神"の教会で祈ることだ。
自分の中にある真実に気づけないと、果て -
Posted by ブクログ
かなり面白かった。
まず本の中に本が登場する入れ子構造が凄く印象に残った。
また情景描写も美しいし、頻出するラテン語や英語も文学的で翻訳小説読んでるなーって感じで楽しかった。
火星の記憶除去手術とアンテナは恐ろしかったし、「レンテッド・アテント・アテント・アテント」のリズムで行進操縦されるのが印象的で面白い。
水星ではハーモニウムという美しい生き物の描写も良くて、アンクの生き方とボァズの生き方について考えさせられた。
全体を通して、ラムフォードの苦しさとか上位存在に捨て駒にされる虚しさとか凄く感じられた。
また、作者はキリスト教が大嫌いなんだなと思ったが、私もその気持ちに共感できる部分があり、