佐々木正人のレビュー一覧
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ネタバレアフォーダンスは、
・環境が動物に提供するもの。身の周りに潜む「意味」であり、「行為」の資源となる。
・たとえば、地面は立つことをアフォードし、水は泳ぐことをアフォードする
アフォードされるものは、環境の中に無限に存在する。大気、海、地面の3つは、気体、液体、固体に対応する。大気は海と異なり、生物に多様な体を許した。だから、地面に接地する仕方はかなり多くある。
環境の複雑さに「なじむ」ように知覚の器官をつくった。ギブソンは、「器官の関係がつくる情報「「情報同士の関係による情報」を見ていた。「共変」と呼ぶ。システムのすることは他のシステムにあって変化。ここでいうシステムは、全体としては「知覚システム」で、個別は大きく5つ。
1)「基礎的定位のシステム」2)「視るシステム」3)「聴くシステム」4)「味わい・嗅ぐシステム」5)「接触のシステム」
生物は、自分の行為が変えた環境を見ながら柔軟に行為を連結して「最後の見え」にまでたどりつく。
・・・例:手の微少行為。「躊躇」「軌道の変化」「無意味な接触」「手の形の変化」
・・・・・・・・・
アフォーダンスの話の要諦は、スピノザ的世界観にあると言えるかもしれない。
・意味は脳にはない
・身体と環境の境目がない
・自己は世界ごとに現れる
というポイントに加えて、「我々のしていることに正しいも誤りもない」というあたりがスピノザ的なのだ。 -
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2023.05.01
「行為のあるところには、かならず行為を取り囲むことがある。
まわりがあって生きもののふるまいがある。」
環境が、動物の行為にどう影響を与えるか、
環境にはどんな意味が潜むのか、
行為を司る知性とは何なのか、を探る本。
エピローグで引用されている、田中小実昌さんの文章に共感する。
確かに、中学生くらいで初めて遠出した時の違和感と緊張感と高揚感はこんな感じだったかもしれない。
私がいようがいまいが、世界はそこにある。
私がいようがいまいが、世界は動いている。
生きもののふるまいは、世界が動かしている。
生きものがふるまえば、世界も変化していく。
世界が違って見えてきて、私は今日も散歩が楽しい。
ヒトの赤ちゃんの手も、キャベツの根や幼根もぐるぐる回っている。
みんな世界を探っている。
あと、ダーウィンの凄まじい実験と観察のエピソードと、その本質を見つめる力には敬服する。。 -
Posted by ブクログ
「アフォーダンス」について予備知識がなかった私は、この本を書店で見つけたとき、人体のイラストの表紙のせいもあって、どんなダンスだろうか、アフォ(=アホ)のダンス…?などと想像してしまいました(本当です)。しかし、「アフォーダンス」は、ダンスではありませんでした。
それは、ある生物を取り巻く状況がその生物に与える情報や刺激のことです。たとえば、大地は私たちに立つことをアフォードし、椅子は座ることをアフォードする。私たちが森林に分け入って感じる清々しさは、森林が私たちに「清々しさ」という感触をアフォードした、となります。
このようなアフォーダンスの考え方を敷衍(「ふえん」…他のことにもひろげて当てはめること)すれば、人間の感情や性格も、私たちの内部にあるのではなく、外部からアフォードされてはじめて生じるものだ、と考えられます。とすれば、私たちが悩むとき、その悩みは、普通考えられているように私たちの内部で生じるのではなく、外的に与えられたものであり、したがって、その悩みを自分から切り離すことは、私たちが思い込んでいるよりもずっと容易だ、と言えます。
生態心理学と言われる「アフォーダンス」の考え方は、禅で言う「無心」という境地に、科学的な心理学の方向からアプローチしている、と言えるのではないでしょうか。
『〈心〉はからだの外にある―「エコロジカルな私」の哲学』(河野哲也、NHKブックス)も、「心」が実は、自分の外の「環境」と影響し合うものであることを理解し易く説明してくれています。(K)
紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2009年4月号掲載 -
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ネタバレp32 知覚とは、変化に埋め込まれている普遍を知ることなのだ。
p60 アフォーダンスは、環境が動物に与え、提供している意味や価値である。
p72 アフォーダンスは事物の物理的な性質ではない。それは動物にとっての環境の性質である。アフォーダンスは、知覚者の欲求や動機、あるいは主観が構成するようなものではない。それは、環境の中に実在する行為の資源である。
p73 同じものを見ても、人によって異なるアフォーダンスが知覚される。だから環境に中のすべてのものに、アフォーダンスは無限に存在していることになる。
p76 アフォーダンスを特定する情報をピックアップするために更新し続ける身体の動きを、ギブソンは知覚システムとよんだ。
p96 環境の中の情報は無限である。それを探索する知覚システムの組織も生涯変化し続ける。知覚システムは、どのような環境と接触してきたかによって異なる個性的なものであり、情報の豊富さに対応するように分化し続けることで固有性をもつ。しかし、個性があるだけではない。包囲する情報は誰にでもアクセスできる可能性を持っているので、どの知覚システムにも共通性がある。知識を蓄えるのではなく環境に触れて、身体の振る舞いをより洗練したものにし、さらに多くの奥深い環境の意味に触れることができるようにしてゆくこと。それが発達することの意味である。
自己効力感とアフォーダンスって関係ないのかな? -
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ネタバレ●前提知識
・ギブソン心理学→生態心理学
・フレーム問題@ロボット
「ある行為に関連すること」と、「ある行為に関連しないこと」を、
効率的に見分けるにはどうすればよいのか?
・ゲッシュタルト
↓
「感覚要素の総和以上のもの、総和とは異なったもの」
★行為
「行為は跡を残している。」・・・生き物のすることは、それを可能にしているところがある。そして、それを可能にしている変化の仕方がある。
行為は、”まわり”があって初めて成立する、逆に、”まわり”はその行為によって存在することになる。
1.生きものの行為
2.その周囲
→この二つで一つのこと
行為に目的があるなどと考えるのは、ぼくらがよくしてしまうあやまり
↓
自然がすることは、ぼくら人間が「意図」とか「目的」とよんでいることを越えている
↓
(自然は)つねに、無目的無効法に変化しているという進化論のモチーフ
行為は、まだはっきりとしていない意味を確かに知っている。
知覚が先で、説明は後からやってくる。
ぼくらが行為から観察できること
・「はじめ」
・「おわり」
・「はじめからおわりの変化」
↓
意図ですべて説明し得ない、というメンタリティが必要
行為すること=知覚すること→”みえ”の変化=知覚システムの稼働
●意味とは、アフォーダンスとは
★意味
意味=行為だけが発見することのできる意味
↓
1.環境にあって僕らを取り囲んでいる多様な意味
2.辞書にのっていない、名前のついていない、行為だけが知っている意味
↓
行為は、その意味を、環境の中で探し当てる
1.2.はつまり、
「環境にあって、行為が発見している意味」
「環境が、動物に提供するもの、用意したり、備えたりするもの」
→アフォーダンス
↓
これらは、ぼくら動物の行為の「リソース(資源)」になる。
↓
動物の行為は、
・アフォーダンスを利用することで、可能になり
・アフォーダンスを利用することで、進化した
★アフォーダンス
アフォーダンス=環境が、動物に提供する「価値」のこと。
アフォーダンスとは、
・刺激でなく情報
・知覚者が、「獲得」し、「発見する」もの
・主観ではなく、環境に存在、しかし知覚できるようになるまで、環境との交渉が必要で時間を要する→知覚システムのUpdate
●知覚システム
知覚システムには
・接触システム
・視るシステム
・聴くシステム
>認知の領域
知覚=感覚刺激以外の知覚の原因→「環境」というマクロな視点?
●環境と自己
★環境
>傾きや変形(カタチではなく)
>>「動き」とか「姿勢」が関わる
「知覚の刺激」の本質
環境の中で、動き回って、何かを見ようとする観察者が、その全身の動きとともに発見するもの
↓
(そこにある要素)
1.異質性
光とか
2.不変項→変われば変わるほど、「変わらない」ことがわかるもの
・構造不変項
対象が恒常的に保たれている状態
・変形不変項
ブルートファクツと変化したもの
>この二つをしっかりとみることが大切
>環境においては、
「持続」と「変化」、これが「情報」となる
+
「自己」という情報
「発達するといこと」
↓
知識を「蓄える」のではなく、「身体」の振る舞いをより複雑に、洗練されたものにしていくこと。
★環境と自己
↓
切り離せないかたちで存在
>探されるアフォーダンス→アフォーダンスを探る行為
●リアリティーのデザイン
何をアフォードしているのかが、よく「見えるように」しておくこと
↓
1.「モノ」ではなく、「リアリティー」を、
2.「カタチ」ではなく、「アフォーダンス」を、
デザインするべき
↓
(それらをデザインするためには・・・)
↓
1.道具やシステムが利用されるまさにその現場で、設計やアイデアが発見されること
2.「カタチ」の専門家ではなく、道具を介したときに、人々の「知覚と行為」にどのような変化が起こるのかについて、しっかりと観察できるフィールド・ワーカーである必要→リアルを捕獲する力 -
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岩波のブックレットの方も、直球勝負でインパクトがあったが、この本は別の意味で、インパクトがあった。それはダーウィンの生物をありのままに観察する、その虚心坦懐さである。ダーウィンとギブソンが重なるとは!!!である。
以下、気になった記述。
・行為は何もない「空間」ではなく、アフォーダンスの充満しているところ、すなわち「環境」でおこなわれている。
・(ベルンシュタインの「協調」をうけて、)1980年代以降の運動研究のモデルは「指令からシステムへ」という方向へと大きくシフトしつつある。
・ダーウィンが見たかったことは二つのこと。一つは植物にも動物にもあるはじまりの「ありのままの運動」、そしてそれがその後にたどらざるをえない変化の運命。
・ギゼリンの「ブルート・ファクツ」
・なぜ行為の発達を見るときにブルート・ファクツからはじめなければなないのか。その理由の一つは、はじまり(オリジナル)の動きから観察を開始しないと、結果から動きに起こっていることを説明してしまうという誤りを犯す可能性があるからだ。(悪い例:ピアジェの赤ちゃんのリーチング)
・ダーウィンのメッセージ:ぼくらが行為(生き物)に観察できることは「はじまり」と「まわり」と「始まりからの変化」しかない。
・知覚情報には自分以外の「外部」についての情報と、自分の身体についての情報という、二つのことが、切り離せないかたちで存在している。
・身体は環境と多重に接触している。
・世界には知覚システムをこえた複雑な情報がある。
・(解説)ブルート・ファクツから見ると、SSTがなぜ失敗するかの考察が面白い。 -
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アフォーダンス理論の紹介で知られる認知科学者・佐々木正人氏による、スポーツ選手へのインタビュー集。各競技のトップ選手だからこそ見えてくる・でなければ経験のできない認知のありさま探るということがテーマとしてあります。アスリートがとらえる感覚の世界を「こういうことですか?」とうまく言葉にしてゆく佐々木氏のサポートがすばらしく、そこにある「生成」になんども鳥肌が立ちました。あとがきにもありますけど、スポーツを勝敗とか成功挫折といった物語に回収せずに、アスリートの身体能力に近づくことで読み解くという「新たなスポーツ言語」を創りだそうという試みが、掲載誌「VS.」(光文社)の休刊により途絶えてしまったのはとても残念ですね・・・。ちなみに、表題にある「シャトル」とはスペースシャトルのことではありません。
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精神と物質と生命をつなぐ
21世紀の新しい科学の基礎
アフォーダンス理論。
ギブソンが提唱した生態心理学の中心をなす概念。
その水脈はダーウィンの進化論にあるという。
この理論によると、
・遺伝か環境かでは人の発達を説明できない
・身体と周りの世界には境がない
・身体は1つではなく多数持っている
ということ。
人間についての常識を覆されるアイディアが満載の一冊。
ps
サンゴ礁の心理学
サンゴ礁とヒトの心には、共通点があるって知ってましたか?それは、その姿を見たいなら、環境の方に目を向けないといけないということです。
サンゴ礁には、3つの形があるそうで。なんでこの3つになるのか長年の謎だったそう。でも、その謎をダーウィンが解き明かした。それが沈下説。サンゴが生き延びるには透明度が高い浅瀬(50m以下)が必要で、場所はかぎられる。なのに、3つも形があるのはなぜか?そのサンゴを支える地盤が沈んだけど、サンゴが成長するスピードよりも遅く沈んだからだ!これがダーウィンの発見でした。
つまり3つのサンゴ礁の形は、沈む地盤という環境合わせて変わってきた姿だったんです。環境に目を向けないとわからない秘密だったんですね。
さて、ヒトの心はどうでしょう。心は環境に合わせて行為を生み出し、痕跡を残します。サンゴと同じで主体が生き延びるためです。心が生きているサンゴだとするなら、心の痕跡は死んで成長の支えになったサンゴです。サンゴが痕跡をかすがいに環境と繋がっているように、心も行為の痕跡をかすがいに環境と繋がっている。環境と心と行為と痕跡は、サンゴ礁のように全て一続きのものである、というのが(比喩的な)サンゴ礁の心理学なのでしょう。(本書では人間よりもミミズに着目して、ダーウィンがこの心と環境の繋がりに着目したことが取り上げられます。本書はその後継でもあるのです。)
街中には、ヒトの心がサンゴ礁のように残した痕跡で溢れています。通路の角のペンキが禿げていること、階段の同じ場所に黒い筋があること。ちょっと考えてみると、痕跡がはっきり残るのって面白いですよね。別々の生き物なのに、みんなが同じ行為をしているということだから。これは本書ではブルートファクツと言われているもので、植物のタネみたいに人が持って生まれてくる原初の能力。それが環境からの影響で一定の形に収められるから、大きな痕跡になる。大量のサンゴ礁がグレートバリアリーフを作ったような、大量の人が作った大痕跡と言えるかもしれません。(植物にもブルートファクツがあって、葉っぱも茎も回転してるらしいです。これも観察によってダーウィンが見つけたとのこと。凄すぎ)
サンゴ礁のようにヒトの世界を眺めて心の痕跡を探す、そんな新しい楽しみをくれた本です。 -
Posted by ブクログ
p.30「生きものの行為とその周囲とはどうやら二つで一つのことなのである。」
p.132「脳とはおそらく、環境の「絵のようなイメージ」を浮かべるところではなくて、環境と持続して接触する全身のシステムの一部なのである。脳にあるのは世界の「地図」ではなくて、世界との関係を調節する働きの一部なのである。」
読みやすい。アフォーダンスという概念が初めて分かった気がする。「生きもの」と「世界」がどのような「感覚」と「行為」でつながっているかについて、とにかく抽象的になりやすい説明を、できる限り具体的な例に落とし込んで解説している。
世界は、想像以上にシンプルでいて、想像以上に複雑で、つまりあるがままの姿なのです。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
スポーツを論じるには二つの語り方がある。
一つはアスリートの身体に焦点を当て、どのスポーツにも通じるようなボディとマインドのコントロールを中心に語る方法。
今までのスポーツの論じられ方と言えば、大部分がこれだった。
もう一つは、アスリートの身体を取り巻く「環境」に焦点を当てる語り方。
例えば、陸上選手にしか語れない「地面」、水泳選手にしか語れない「水」を中心化する語り方である。
本書では「スポーツの環境」に焦点を当て、生態心理学で「アフォーダンス」と呼ばれる「環境」の意味に、第一人者である著者が、北京五輪に出場する“オグシオ”潮田をはじめアスリート16人のインタビューを通じて肉薄する。
[ 目次 ]
エリア―身体の延長しているところ、一瞬で知覚する広さ(潮田玲子・バドミントン―空間を20分割して、シャトルを打つ! 名波浩・サッカー―ゴールへの完璧なパスコースが光り輝く 松下浩二・卓球―騙しあいの格闘技…卓球競技の本質)
地面―疾走を支える外部エンジン(朝原宣治・100m陸上―100mを10秒台で走るとはどういうことか 鈴木亜久里・F1―F1ドライバーが見ている時速300kmの世界 堀井学・スピードスケート―スケート選手は氷をどう捉えているのか 皆川賢太郎・アルペンスキー―ポールは“縦への落下”でクリアする)
空気―情報の埋め込まれた周囲(鹿島丈博・体操―宙返り、離れ技、高難度…体操競技の本質 澤野大地・棒高跳び―コンディションのいい日はポールが柔らかい 船木和喜・スキー・ジャンプ―ジャンプは、飛ばずに「風」に乗る)
水―硬軟、形、千変万化の環境(寺内健・飛び板飛び込み―踏み切った瞬間、「入水ルート」が見えてくる 武田大作・ボート競技―水と喧嘩せずにボートに従う 武田美保・シンクロナイズド・スイミング―水面の硬さは、演技によって障子紙にもシルクにもなる)
力―「隙」、「道」…直感で把握するタイミング(吉田沙保里・レスリング―“隙間”ではなく隙“動き”。そこがタックルの「入り口」 野村忠宏・柔道―相手の股下に背負い投げへの「道」が見える 友綱親方・相撲―大相撲で闘うとはどういうことか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]