佐々木正人のレビュー一覧
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ネタバレアフォーダンスは、
・環境が動物に提供するもの。身の周りに潜む「意味」であり、「行為」の資源となる。
・たとえば、地面は立つことをアフォードし、水は泳ぐことをアフォードする
アフォードされるものは、環境の中に無限に存在する。大気、海、地面の3つは、気体、液体、固体に対応する。大気は海と異なり、生物に多様な体を許した。だから、地面に接地する仕方はかなり多くある。
環境の複雑さに「なじむ」ように知覚の器官をつくった。ギブソンは、「器官の関係がつくる情報「「情報同士の関係による情報」を見ていた。「共変」と呼ぶ。システムのすることは他のシステムにあって変化。ここでいうシステムは、全体としては「知覚 -
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2023.05.01
「行為のあるところには、かならず行為を取り囲むことがある。
まわりがあって生きもののふるまいがある。」
環境が、動物の行為にどう影響を与えるか、
環境にはどんな意味が潜むのか、
行為を司る知性とは何なのか、を探る本。
エピローグで引用されている、田中小実昌さんの文章に共感する。
確かに、中学生くらいで初めて遠出した時の違和感と緊張感と高揚感はこんな感じだったかもしれない。
私がいようがいまいが、世界はそこにある。
私がいようがいまいが、世界は動いている。
生きもののふるまいは、世界が動かしている。
生きものがふるまえば、世界も変化していく。
世界が違って見えてきて -
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「アフォーダンス」について予備知識がなかった私は、この本を書店で見つけたとき、人体のイラストの表紙のせいもあって、どんなダンスだろうか、アフォ(=アホ)のダンス…?などと想像してしまいました(本当です)。しかし、「アフォーダンス」は、ダンスではありませんでした。
それは、ある生物を取り巻く状況がその生物に与える情報や刺激のことです。たとえば、大地は私たちに立つことをアフォードし、椅子は座ることをアフォードする。私たちが森林に分け入って感じる清々しさは、森林が私たちに「清々しさ」という感触をアフォードした、となります。
このようなアフォーダンスの考え方を敷衍(「ふえん」…他のことにもひろげて当て -
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ネタバレp32 知覚とは、変化に埋め込まれている普遍を知ることなのだ。
p60 アフォーダンスは、環境が動物に与え、提供している意味や価値である。
p72 アフォーダンスは事物の物理的な性質ではない。それは動物にとっての環境の性質である。アフォーダンスは、知覚者の欲求や動機、あるいは主観が構成するようなものではない。それは、環境の中に実在する行為の資源である。
p73 同じものを見ても、人によって異なるアフォーダンスが知覚される。だから環境に中のすべてのものに、アフォーダンスは無限に存在していることになる。
p76 アフォーダンスを特定する情報をピックアップするために更新し続ける身体の動きを、 -
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ネタバレ●前提知識
・ギブソン心理学→生態心理学
・フレーム問題@ロボット
「ある行為に関連すること」と、「ある行為に関連しないこと」を、
効率的に見分けるにはどうすればよいのか?
・ゲッシュタルト
↓
「感覚要素の総和以上のもの、総和とは異なったもの」
★行為
「行為は跡を残している。」・・・生き物のすることは、それを可能にしているところがある。そして、それを可能にしている変化の仕方がある。
行為は、”まわり”があって初めて成立する、逆に、”まわり”はその行為によって存在することになる。
1.生きものの行為
2.その周囲
→この二つで一つのこと
行為に目的があるなどと考えるのは、ぼくらがよくし -
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岩波のブックレットの方も、直球勝負でインパクトがあったが、この本は別の意味で、インパクトがあった。それはダーウィンの生物をありのままに観察する、その虚心坦懐さである。ダーウィンとギブソンが重なるとは!!!である。
以下、気になった記述。
・行為は何もない「空間」ではなく、アフォーダンスの充満しているところ、すなわち「環境」でおこなわれている。
・(ベルンシュタインの「協調」をうけて、)1980年代以降の運動研究のモデルは「指令からシステムへ」という方向へと大きくシフトしつつある。
・ダーウィンが見たかったことは二つのこと。一つは植物にも動物にもあるはじまりの「ありのままの運動」、そしてそれが -
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p.30「生きものの行為とその周囲とはどうやら二つで一つのことなのである。」
p.132「脳とはおそらく、環境の「絵のようなイメージ」を浮かべるところではなくて、環境と持続して接触する全身のシステムの一部なのである。脳にあるのは世界の「地図」ではなくて、世界との関係を調節する働きの一部なのである。」
読みやすい。アフォーダンスという概念が初めて分かった気がする。「生きもの」と「世界」がどのような「感覚」と「行為」でつながっているかについて、とにかく抽象的になりやすい説明を、できる限り具体的な例に落とし込んで解説している。
世界は、想像以上にシンプルでいて、想像以上に複雑で、つまりあるがままの