【感想・ネタバレ】アフォーダンス入門 知性はどこに生まれるかのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年05月10日

2023.05.01

「行為のあるところには、かならず行為を取り囲むことがある。
まわりがあって生きもののふるまいがある。」

環境が、動物の行為にどう影響を与えるか、
環境にはどんな意味が潜むのか、
行為を司る知性とは何なのか、を探る本。

エピローグで引用されている、田中小実昌さんの文章に共感...続きを読むする。
確かに、中学生くらいで初めて遠出した時の違和感と緊張感と高揚感はこんな感じだったかもしれない。

私がいようがいまいが、世界はそこにある。
私がいようがいまいが、世界は動いている。
生きもののふるまいは、世界が動かしている。
生きものがふるまえば、世界も変化していく。
世界が違って見えてきて、私は今日も散歩が楽しい。

ヒトの赤ちゃんの手も、キャベツの根や幼根もぐるぐる回っている。
みんな世界を探っている。

あと、ダーウィンの凄まじい実験と観察のエピソードと、その本質を見つめる力には敬服する。。

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Posted by ブクログ 2022年10月06日

「アフォーダンス」について予備知識がなかった私は、この本を書店で見つけたとき、人体のイラストの表紙のせいもあって、どんなダンスだろうか、アフォ(=アホ)のダンス…?などと想像してしまいました(本当です)。しかし、「アフォーダンス」は、ダンスではありませんでした。
それは、ある生物を取り巻く状況がその...続きを読む生物に与える情報や刺激のことです。たとえば、大地は私たちに立つことをアフォードし、椅子は座ることをアフォードする。私たちが森林に分け入って感じる清々しさは、森林が私たちに「清々しさ」という感触をアフォードした、となります。
このようなアフォーダンスの考え方を敷衍(「ふえん」…他のことにもひろげて当てはめること)すれば、人間の感情や性格も、私たちの内部にあるのではなく、外部からアフォードされてはじめて生じるものだ、と考えられます。とすれば、私たちが悩むとき、その悩みは、普通考えられているように私たちの内部で生じるのではなく、外的に与えられたものであり、したがって、その悩みを自分から切り離すことは、私たちが思い込んでいるよりもずっと容易だ、と言えます。
生態心理学と言われる「アフォーダンス」の考え方は、禅で言う「無心」という境地に、科学的な心理学の方向からアプローチしている、と言えるのではないでしょうか。
『〈心〉はからだの外にある―「エコロジカルな私」の哲学』(河野哲也、NHKブックス)も、「心」が実は、自分の外の「環境」と影響し合うものであることを理解し易く説明してくれています。(K)
紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2009年4月号掲載

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年12月21日

●前提知識
・ギブソン心理学→生態心理学
・フレーム問題@ロボット
「ある行為に関連すること」と、「ある行為に関連しないこと」を、
効率的に見分けるにはどうすればよいのか?
・ゲッシュタルト

「感覚要素の総和以上のもの、総和とは異なったもの」

★行為
「行為は跡を残している。」・・・生き物のす...続きを読むることは、それを可能にしているところがある。そして、それを可能にしている変化の仕方がある。

行為は、”まわり”があって初めて成立する、逆に、”まわり”はその行為によって存在することになる。
1.生きものの行為
2.その周囲
→この二つで一つのこと

行為に目的があるなどと考えるのは、ぼくらがよくしてしまうあやまり

自然がすることは、ぼくら人間が「意図」とか「目的」とよんでいることを越えている

(自然は)つねに、無目的無効法に変化しているという進化論のモチーフ

行為は、まだはっきりとしていない意味を確かに知っている。
知覚が先で、説明は後からやってくる。

ぼくらが行為から観察できること
・「はじめ」
・「おわり」
・「はじめからおわりの変化」

意図ですべて説明し得ない、というメンタリティが必要

行為すること=知覚すること→”みえ”の変化=知覚システムの稼働

●意味とは、アフォーダンスとは
★意味
意味=行為だけが発見することのできる意味

1.環境にあって僕らを取り囲んでいる多様な意味
2.辞書にのっていない、名前のついていない、行為だけが知っている意味

行為は、その意味を、環境の中で探し当てる

1.2.はつまり、
「環境にあって、行為が発見している意味」
「環境が、動物に提供するもの、用意したり、備えたりするもの」
→アフォーダンス

これらは、ぼくら動物の行為の「リソース(資源)」になる。

動物の行為は、
・アフォーダンスを利用することで、可能になり
・アフォーダンスを利用することで、進化した

★アフォーダンス
アフォーダンス=環境が、動物に提供する「価値」のこと。
アフォーダンスとは、
・刺激でなく情報
・知覚者が、「獲得」し、「発見する」もの
・主観ではなく、環境に存在、しかし知覚できるようになるまで、環境との交渉が必要で時間を要する→知覚システムのUpdate


●知覚システム
知覚システムには
・接触システム
・視るシステム
・聴くシステム

>認知の領域

知覚=感覚刺激以外の知覚の原因→「環境」というマクロな視点?

●環境と自己
★環境
>傾きや変形(カタチではなく)
>>「動き」とか「姿勢」が関わる

「知覚の刺激」の本質
環境の中で、動き回って、何かを見ようとする観察者が、その全身の動きとともに発見するもの

(そこにある要素)
1.異質性
 光とか
2.不変項→変われば変わるほど、「変わらない」ことがわかるもの
・構造不変項
 対象が恒常的に保たれている状態
・変形不変項

ブルートファクツと変化したもの
>この二つをしっかりとみることが大切


>環境においては、
「持続」と「変化」、これが「情報」となる

「自己」という情報

「発達するといこと」

知識を「蓄える」のではなく、「身体」の振る舞いをより複雑に、洗練されたものにしていくこと。

★環境と自己

切り離せないかたちで存在

>探されるアフォーダンス→アフォーダンスを探る行為


●リアリティーのデザイン
何をアフォードしているのかが、よく「見えるように」しておくこと

1.「モノ」ではなく、「リアリティー」を、
2.「カタチ」ではなく、「アフォーダンス」を、
デザインするべき

(それらをデザインするためには・・・)

1.道具やシステムが利用されるまさにその現場で、設計やアイデアが発見されること
2.「カタチ」の専門家ではなく、道具を介したときに、人々の「知覚と行為」にどのような変化が起こるのかについて、しっかりと観察できるフィールド・ワーカーである必要→リアルを捕獲する力

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Posted by ブクログ 2013年02月25日

アフォーダンス理論は思っていたよりもすんなりと理解できたが奥深くて興味を持ってよめた。具体例、とくにダーウィンのサンゴ礁、ミミズの研究についてが面白かった。

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Posted by ブクログ 2011年04月04日

岩波のブックレットの方も、直球勝負でインパクトがあったが、この本は別の意味で、インパクトがあった。それはダーウィンの生物をありのままに観察する、その虚心坦懐さである。ダーウィンとギブソンが重なるとは!!!である。

以下、気になった記述。
・行為は何もない「空間」ではなく、アフォーダンスの充満してい...続きを読むるところ、すなわち「環境」でおこなわれている。
・(ベルンシュタインの「協調」をうけて、)1980年代以降の運動研究のモデルは「指令からシステムへ」という方向へと大きくシフトしつつある。
・ダーウィンが見たかったことは二つのこと。一つは植物にも動物にもあるはじまりの「ありのままの運動」、そしてそれがその後にたどらざるをえない変化の運命。
・ギゼリンの「ブルート・ファクツ」
・なぜ行為の発達を見るときにブルート・ファクツからはじめなければなないのか。その理由の一つは、はじまり(オリジナル)の動きから観察を開始しないと、結果から動きに起こっていることを説明してしまうという誤りを犯す可能性があるからだ。(悪い例:ピアジェの赤ちゃんのリーチング)
・ダーウィンのメッセージ:ぼくらが行為(生き物)に観察できることは「はじまり」と「まわり」と「始まりからの変化」しかない。
・知覚情報には自分以外の「外部」についての情報と、自分の身体についての情報という、二つのことが、切り離せないかたちで存在している。
・身体は環境と多重に接触している。
・世界には知覚システムをこえた複雑な情報がある。
・(解説)ブルート・ファクツから見ると、SSTがなぜ失敗するかの考察が面白い。

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

アフォーダンスとは・・ある特定の生物にとって、その環境が持つ意味、役割、機能のことであろうか。植物のツルが螺旋を描くこと、ミミズが土壌を盛り上げて地表の物を埋めていくことは、それぞれが目的意識を持って行動しているわけではないが、シンプルな生物の動作パターンが環境のアフォーダンスと相互作用を起こし、結...続きを読む果として種々の状況にその生物を適応させる。そこには因果律や目的論によるシンプルな内的システム構造は無く、ただあるのは主体と環境を合わせた全体システムの中での交信である。そこに知性を見るのかどうか・・?

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Posted by ブクログ 2016年04月12日

p.30「生きものの行為とその周囲とはどうやら二つで一つのことなのである。」
p.132「脳とはおそらく、環境の「絵のようなイメージ」を浮かべるところではなくて、環境と持続して接触する全身のシステムの一部なのである。脳にあるのは世界の「地図」ではなくて、世界との関係を調節する働きの一部なのである。」...続きを読む

読みやすい。アフォーダンスという概念が初めて分かった気がする。「生きもの」と「世界」がどのような「感覚」と「行為」でつながっているかについて、とにかく抽象的になりやすい説明を、できる限り具体的な例に落とし込んで解説している。
世界は、想像以上にシンプルでいて、想像以上に複雑で、つまりあるがままの姿なのです。

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Posted by ブクログ 2011年05月06日

アメリカの心理学者ジェームス•ギブソンが造った造語、アフォーダンス。『環境が動物に提供するもの』をダーウィンの研究等を紹介しながら平易な言葉で紹介した本。人間を含む全ての生き物のまだまだ知らなかった一面に面白さを感じた!

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Posted by ブクログ 2011年02月12日

最初延々とサンゴの話が続いて心配になった。その後も更にミミズの話が長々つづくけど、読み終わればちゃんとアハ感がある面白い本。

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Posted by ブクログ 2010年08月06日

環境とは単なる容れ物にあらず。生物の行動を様々にアシストし、生物は自己と外界の境界に己の取りうる次の一手を模索していく、そんな双方向コミュニケーションを提供する場、それが環境であり、そうして環境が生物の行動に提供する意味群をアフォーダンスという。僕らが普段取る行動は自律的なものではなく、不断に環境に...続きを読む促されていると考えてみるとき、知性は個体に内在するものではなく、個体と環境との協働から生まれるものということができる。ということは、僕らを包むこの世界それ自体が、僕らを含む一つの巨大な群体と捉えられる……ってこと?

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Posted by ブクログ 2010年01月26日

ものすごく読みやすい。といってさくっと分かる概念でもないのだが。アフォーダンスとリソースと認知、それと足場がけをこれから考えてみるかな〜。まずは「あそび」が大切、と思った。

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Posted by ブクログ 2022年01月21日

アフォーダンスとは何かという議論に徹している。その先の話がもっとほしかった。
その意味では同じ筆者の「レイアウトの法則」のほうか面白かった

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Posted by ブクログ 2019年04月03日

著者の岩波科学ライブラリーの『アフォーダンス』も良かったが、こちらもおもしろかった。

エドワード・リード『アフォーダンスの心理学―生態心理学への道』を読む前の準備運動として読んだのだが、それなりの難題感は得られた。

意図性をさぐるための書。

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Posted by ブクログ 2018年11月24日

何の本なんすかこれ?ってくらい、とっちらかってて、真面目に読むとイラつく
アフォーダンスは本で読んだことなかったので読んでみたけど、本を間違えた
ダーウィンのミミズの本が美しく、読みたくなったのが1番の収穫
アフォーダンスはギブソン読んで勉強しよう

どうも、この本のアフォーダンスは、読んでて怪しい...続きを読むと思ってしまったので

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年06月03日

日常の視点が変わる目からウロコ本。

アフォーダンスとはafford:与える、提供するの名詞系。例えば、なぜ人間が立っているか。それは地面には人間を立たせるというアフォーダンスがあるから。また、なぜ人間が歩けるか。それは地面には人間を歩かせるアフォーダンスがあるから。という感じか。要するに、生物の行...続きを読む為は意思や本能や反射で生じるのではなく、常に環境との相互作用で発生し続けるということ。

本書は、このアフォーダンスについて生物学や心理学といった分野の実験から紹介していく。

専門が環境で、研究がシステムだったのでとっつきやすい考え方だった。だけどまだ思考の道具としては使えないのでいろいろ考える必要があるようだ。いろいろ応用ができそうな考え方なのでものにしておきたい。

例えばどんな応用ができるだろう。人と人のやり取りで考えると、相手の行動が相手の意思に起因するのではなく、自分の意見や社会情勢の持つアフォーダンスと複雑に絡まりながら為されるとすることができる。そう考えれば、相手の行動が決まりきったものではないことが分かる。

アフォーダンスの考えを利用すると、環境問題とはアフォーダンスが変化したり、それ自体を持てなくなる状態になってしまうことでシステムに影響を及ぼすことになるのかな。こうすると、環境問題の解決策は、1.アフォーダンスが正しく提供できるようにすること、2.他のもので代替する、3.変わったアフォーダンスに適応する、というとこ。うん、それっぽい。しかしシステム的に捉えるのと

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Posted by ブクログ 2012年08月11日

アフォーダンスとは、「環境が動物に提供するもの、用意したり備えたりするもの」であり、わたしたちの行為を導くリソースである──ちょっとわかりづらいこの理論を、ダーウィンが明らかにした動植物の生態などの実例を交えながら説明した入門書。
アフォーダンス云々以上に、ミミズの生態の話─一年間に1エーカー当たり...続きを読む1000トンの土をかきまぜている!─とかの話に心を奪われてしまいましたが、あたらしいものの見方を提供してくれるいいきっかけの一冊だと思います。

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Posted by ブクログ 2011年12月03日

デザインとかに興味を持ち始めてから、
ずっと気になっていた「アフォーダンス」についての入門ということで読んだ。

今は、
「モノなどから、人間が見出す価値」という意味で使われている(と思う)が、

本来は、
「環境に実在する動物(有機体)がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意...続きを読む味/価値」
という意味なので、

生物の本の感じがし、高校以来生物にトンと疎かったので、しんどかった。

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Posted by ブクログ 2009年12月29日

2009.06 アフォーダンスに興味を持ち、まずは入門書ということで読んでみた。アフォーダンスの考え方がざっくりつかめたが、やっぱり難しい。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

宮沢章夫氏の日記で知ったアフォーダンスだったが、いい気になって小難しい本を買って読んだら全く理解ができなかった。サブナードの福武書店で偶然見かけたので本書を手に取って読んでみることにした。
アフォーダンスを一言でまとめるなら「環境が与えるもの」ということで構わないのだろうが、その言葉の意味するところ...続きを読むの模糊とした感じは何だろう。顔は判っているのに名前の思い出せない役者。十年前に転居した時の電話番号。マンションが建つ前にそこにあった筈の建物。そんな不確かさでアフォーダンスが存在している。
確かに存在した筈の過去と違いアフォーダンスはそこかしこにあり続ける。作者が語るようにアフォーダンスを言葉で表現するのは難しい。
机に腰を下ろした途端に机は我々に座ることをアフォードするのだ。やはりよく判らない。

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