あらすじ
アフォーダンスとは環境が動物に提供するもの。身の周りに潜む「意味」であり行為の「資源」となるものである。地面は立つことをアフォードし、水は泳ぐことをアフォードする。世界に内属する人間は外界からどんな意味を探り出すのか。そして知性とは何なのか。20世紀後半に生態心理学者ギブソンが提唱し衝撃を与えた革命的理論を易しく紹介する。(講談社学術文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
アフォーダンスは、
・環境が動物に提供するもの。身の周りに潜む「意味」であり、「行為」の資源となる。
・たとえば、地面は立つことをアフォードし、水は泳ぐことをアフォードする
アフォードされるものは、環境の中に無限に存在する。大気、海、地面の3つは、気体、液体、固体に対応する。大気は海と異なり、生物に多様な体を許した。だから、地面に接地する仕方はかなり多くある。
環境の複雑さに「なじむ」ように知覚の器官をつくった。ギブソンは、「器官の関係がつくる情報「「情報同士の関係による情報」を見ていた。「共変」と呼ぶ。システムのすることは他のシステムにあって変化。ここでいうシステムは、全体としては「知覚システム」で、個別は大きく5つ。
1)「基礎的定位のシステム」2)「視るシステム」3)「聴くシステム」4)「味わい・嗅ぐシステム」5)「接触のシステム」
生物は、自分の行為が変えた環境を見ながら柔軟に行為を連結して「最後の見え」にまでたどりつく。
・・・例:手の微少行為。「躊躇」「軌道の変化」「無意味な接触」「手の形の変化」
・・・・・・・・・
アフォーダンスの話の要諦は、スピノザ的世界観にあると言えるかもしれない。
・意味は脳にはない
・身体と環境の境目がない
・自己は世界ごとに現れる
というポイントに加えて、「我々のしていることに正しいも誤りもない」というあたりがスピノザ的なのだ。
Posted by ブクログ
●前提知識
・ギブソン心理学→生態心理学
・フレーム問題@ロボット
「ある行為に関連すること」と、「ある行為に関連しないこと」を、
効率的に見分けるにはどうすればよいのか?
・ゲッシュタルト
↓
「感覚要素の総和以上のもの、総和とは異なったもの」
★行為
「行為は跡を残している。」・・・生き物のすることは、それを可能にしているところがある。そして、それを可能にしている変化の仕方がある。
行為は、”まわり”があって初めて成立する、逆に、”まわり”はその行為によって存在することになる。
1.生きものの行為
2.その周囲
→この二つで一つのこと
行為に目的があるなどと考えるのは、ぼくらがよくしてしまうあやまり
↓
自然がすることは、ぼくら人間が「意図」とか「目的」とよんでいることを越えている
↓
(自然は)つねに、無目的無効法に変化しているという進化論のモチーフ
行為は、まだはっきりとしていない意味を確かに知っている。
知覚が先で、説明は後からやってくる。
ぼくらが行為から観察できること
・「はじめ」
・「おわり」
・「はじめからおわりの変化」
↓
意図ですべて説明し得ない、というメンタリティが必要
行為すること=知覚すること→”みえ”の変化=知覚システムの稼働
●意味とは、アフォーダンスとは
★意味
意味=行為だけが発見することのできる意味
↓
1.環境にあって僕らを取り囲んでいる多様な意味
2.辞書にのっていない、名前のついていない、行為だけが知っている意味
↓
行為は、その意味を、環境の中で探し当てる
1.2.はつまり、
「環境にあって、行為が発見している意味」
「環境が、動物に提供するもの、用意したり、備えたりするもの」
→アフォーダンス
↓
これらは、ぼくら動物の行為の「リソース(資源)」になる。
↓
動物の行為は、
・アフォーダンスを利用することで、可能になり
・アフォーダンスを利用することで、進化した
★アフォーダンス
アフォーダンス=環境が、動物に提供する「価値」のこと。
アフォーダンスとは、
・刺激でなく情報
・知覚者が、「獲得」し、「発見する」もの
・主観ではなく、環境に存在、しかし知覚できるようになるまで、環境との交渉が必要で時間を要する→知覚システムのUpdate
●知覚システム
知覚システムには
・接触システム
・視るシステム
・聴くシステム
>認知の領域
知覚=感覚刺激以外の知覚の原因→「環境」というマクロな視点?
●環境と自己
★環境
>傾きや変形(カタチではなく)
>>「動き」とか「姿勢」が関わる
「知覚の刺激」の本質
環境の中で、動き回って、何かを見ようとする観察者が、その全身の動きとともに発見するもの
↓
(そこにある要素)
1.異質性
光とか
2.不変項→変われば変わるほど、「変わらない」ことがわかるもの
・構造不変項
対象が恒常的に保たれている状態
・変形不変項
ブルートファクツと変化したもの
>この二つをしっかりとみることが大切
>環境においては、
「持続」と「変化」、これが「情報」となる
+
「自己」という情報
「発達するといこと」
↓
知識を「蓄える」のではなく、「身体」の振る舞いをより複雑に、洗練されたものにしていくこと。
★環境と自己
↓
切り離せないかたちで存在
>探されるアフォーダンス→アフォーダンスを探る行為
●リアリティーのデザイン
何をアフォードしているのかが、よく「見えるように」しておくこと
↓
1.「モノ」ではなく、「リアリティー」を、
2.「カタチ」ではなく、「アフォーダンス」を、
デザインするべき
↓
(それらをデザインするためには・・・)
↓
1.道具やシステムが利用されるまさにその現場で、設計やアイデアが発見されること
2.「カタチ」の専門家ではなく、道具を介したときに、人々の「知覚と行為」にどのような変化が起こるのかについて、しっかりと観察できるフィールド・ワーカーである必要→リアルを捕獲する力
Posted by ブクログ
日常の視点が変わる目からウロコ本。
アフォーダンスとはafford:与える、提供するの名詞系。例えば、なぜ人間が立っているか。それは地面には人間を立たせるというアフォーダンスがあるから。また、なぜ人間が歩けるか。それは地面には人間を歩かせるアフォーダンスがあるから。という感じか。要するに、生物の行為は意思や本能や反射で生じるのではなく、常に環境との相互作用で発生し続けるということ。
本書は、このアフォーダンスについて生物学や心理学といった分野の実験から紹介していく。
専門が環境で、研究がシステムだったのでとっつきやすい考え方だった。だけどまだ思考の道具としては使えないのでいろいろ考える必要があるようだ。いろいろ応用ができそうな考え方なのでものにしておきたい。
例えばどんな応用ができるだろう。人と人のやり取りで考えると、相手の行動が相手の意思に起因するのではなく、自分の意見や社会情勢の持つアフォーダンスと複雑に絡まりながら為されるとすることができる。そう考えれば、相手の行動が決まりきったものではないことが分かる。
アフォーダンスの考えを利用すると、環境問題とはアフォーダンスが変化したり、それ自体を持てなくなる状態になってしまうことでシステムに影響を及ぼすことになるのかな。こうすると、環境問題の解決策は、1.アフォーダンスが正しく提供できるようにすること、2.他のもので代替する、3.変わったアフォーダンスに適応する、というとこ。うん、それっぽい。しかしシステム的に捉えるのと