しめさば先生、ご乱心の巻か…?
著者ご自身があとがきで「こんなバカな小説を真面目に制作するという経験は」と記されている通り、なんでこんな事になって…と思いながら読み始めてみましたが、序盤で駄目かと諦念しつつ、中盤で意外と内容あるかもと感心しつつ、やっぱり駄作かと思わされながらも、最後まで読み切れば舌触りは若干不快ながらも悪くない後味が残る作品でした。
「世界のため」勇者パーティーの聖魔術師として尽くしてきたアベル。
その最中、世界を救うため勇者パーティーを脱退し、「サキュバス四十八手」を国王に勅命されるアベル。
サキュバス四十八手の儀式には、"皇子"と"巫女"が必要になり、それぞれに特別な条件が課せられていて…
"巫女"はサキュバスなのに"処女性"を重んじられる血筋。
その為に育てられ、それを成さぬことは許されない存在。
しかし、当人であるスズカにはその事を知らされずに箱入娘として育てられたため、故郷の江呂島で大勢の同胞が亡くなった事も疫病とためと教えられ、先代皇子の精液を冷凍保存していた『土着至高天満宮』の貯蔵が数百年の時を経て尽きたからと知るのもずっと後になり…。
儀式を行う能力を持ち、その責務を負いながら、何も出来なかった事に後悔しつつ…。
また、厳密には未だサキュバスでないスズカは、その儀式に身を委ねる事に逡巡しつつも世界(同胞)のため…
"皇子"は魔力の量と質を求められ、具体的にその指針は…(自主規制)…。
アベルは「気持ち悪いくらいに多量に長く射精する」とスズカに言われる程の…(自主規制)…。
当初疑われるしかなかったその儀式も、第三手までで
1.治癒・解毒・解呪の効果のある温泉を、地殻変動で湧出させる。
2.復興を妨げていた局地的大雨に二年ぶりの天候変化をもたらす。
3.膠着状態であった北東戦線の魔王軍砦を崖崩れで倒壊せしめる。
といった福音をもたらし、否定を出来ないものとなりながら…
「ふざけないでよ。セックスで世界救えるわけないじゃんッ!!」
弓術師トゥルカの怒りは当然かと思われ…
また、魔王セツナの「……セックスなどで、世界を破壊させてなるものか」も
第三手までを行うのに二週間足らずの短期間だったとは言え、6ヶ月以内に四十八手を完遂しなければならない期限条件は単純計算でも結構厳しいような…
且つ儀式の前提条件も既にインフレ気味で、仮に四十八手目まで行けたとしても、その時には実現不可能な前提条件になってしまうんじゃ…?