柿沼陽平のレビュー一覧
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大変興味深い本であった。著者も述べているように、類例のない歴史書である。中国秦漢時代の無名の民を対象にして、衣食住ほか全ての日常生活を1日24時間に沿って叙述した本は、西洋ローマ帝国に関しては類書はあるが、中国歴史書には無いという。
私自身の問題意識から言えば、日本の弥生時代後期の人々が中国に旅したならばどのような衝撃を覚えるのか?という事を想像させるものであった。つまり、57年に奴国の使者が洛陽に赴いて後漢の初代皇帝である光武帝から印綬を授けられた時(倭奴国王印)。また、107年の帥升らが160人の奴隷を安帝に献上した時。そして、239年、卑弥呼が魏に朝貢して「親魏倭王」が刻まれた金印と銅 -
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ネタバレまずは出典の書物の多さに脱帽。さすが10年分。確かに庶民の生活をつぶさに書き記した歴史書などあまりなかったかもしれない。
呉と越が敵対しているときに献上されたという西施という美女の話からでてくるフェイスパウダーの話に驚く。戦国時代あたりからフェイスパウダーあったのか。
カイコの触角のような眉が理想とされた話。ちょっと怖い…
劉邦の酒飲みの話が多かったのもびっくり。
大酒飲みが16リットルも酒を飲んだって…急性アルコール中毒にならないのか。しかし一気飲みで亡くなった人もいた、ということなので急性アルコール中毒自体はあったのだろう。
口臭をきにしていて、皇帝から苦い薬を賜った、何の失策をしたの -
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秦や漢の時代といえば、春秋戦国時代や三国時代と並んで、日本でも割と知られている時代だ。
最近は映画や漫画の舞台にもなっている。
けれど、当時の人たちがどんなものを食べ、どんな風に寝起きし、働いていたかと言われると…ぼんやりとした像しか浮かばない。
本書は、現代から秦漢時代の中国にタイムスリップした人が見聞きする一日を紹介するという、はじけた設定をとっている。
「えっ? あのお堅い中公新書が?」という衝撃はありつつ、そこは好奇心に従って本書を読んでみた。
官人の勤めぶり、農村の農作業のしかた。
この辺りは部分的にはイメージはあったが…。
女性のお化粧。
太眉が流行れば、額の半分くらいの描き -
購入済み
労作と言おうか力業と言おうか、広範な資料および史料から日々の生活に関わる部分を抜き出して並べるのは大変だったろうと推察される。
単なる雑知識の寄せ集めになりかねないところ、24時間を描くという形にしたことで読みやすくなっている。 -
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三国志に登場する劉備といえば民おもいの名君で、諸葛亮は天才軍師・・・ところが最新の研究では、こうした「常識」に疑問が生じている。本書では単なる物語ではなく、史実にもとづき、さらには彼らのカネの動きを追うことで、英雄たちの実像にせまる。あなたの知らない三国志がここにある。(2018年刊)
・序 章 三国志の世界へ
・第一章 落日の漢帝国
・第二章 劉備の生い立ち
・第三章 群雄割拠
・第四章 諸葛亮の登場
・第五章 蜀漢建国への道
・第六章 漢中王から皇帝へ
・第七章 南征
・第八章 北伐
・終 章 大義と犠牲
・あとがき
副題にひかれて購入。面白く読む。
カネの