【感想・ネタバレ】劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』のレビュー

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Posted by ブクログ

経済を軸に見た三国志。劉備と諸葛亮に焦点を当て、その実像に文献史料のみならず出土史料等の数多くの史料から迫っている。古い研究から直近の研究までが参考にされていて、端々に誰の何年の研究に基づいてそう言えるのか典拠が示されているのも良い。こうした新しい劉備・諸葛亮像で物語を描いても画になる気がした。ただ著者も認める通り当時の人口・個数統計は不正確で、戸籍に乗らない人口が相当数あったことは事実である。そういう人口が国力に何も影響を与えなかったとは思えないので、今少し掘り下げる必要はありそうだと思う。

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2021年12月26日

Posted by ブクログ

三国志のメイン登場人物である劉備と諸葛亮を物語的な英雄としてではなく、国家と経済の運営者として分析する。

三国志の良心として語られる劉備だが、実際は聖人君子どころか、資金難に追いかけられ、関羽や張飛などの部下にも満足な報奨を払えない。その土地の有力者に借金を重ねて、なんとかやりくり。ときには諸葛亮が連帯保証人になることもあった。

苦労を重ねて蜀の国を立ち上げるが、これだって、劉璋から土地・財産を詐欺まがいで奪い取ったものだ。当然、皇帝になったのも魏に対抗して、漢王朝の復活を目指したものではない。部下たちに官位を与えることが大きな理由だ。

と、まるでアコギな中小企業経営者のような行動。要するに地方のチンピラ劉備が仲間を義兄弟とし、家柄がよくて顔の広い諸葛亮と出会ったことで運命が大転換したというのが、著者の語る身もふたもない真相だ。

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2018年07月27日

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経済面から見た劉備と諸葛亮の三国志。

これまであまり語られてなかった荊州時代の話などは非常に勉強になった。

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2022年08月07日

Posted by ブクログ

 三国志に登場する劉備といえば民おもいの名君で、諸葛亮は天才軍師・・・ところが最新の研究では、こうした「常識」に疑問が生じている。本書では単なる物語ではなく、史実にもとづき、さらには彼らのカネの動きを追うことで、英雄たちの実像にせまる。あなたの知らない三国志がここにある。(2018年刊)
・序 章 三国志の世界へ
・第一章 落日の漢帝国
・第二章 劉備の生い立ち
・第三章 群雄割拠
・第四章 諸葛亮の登場
・第五章 蜀漢建国への道
・第六章 漢中王から皇帝へ
・第七章 南征
・第八章 北伐
・終 章 大義と犠牲
・あとがき 

副題にひかれて購入。面白く読む。
カネの動きを追うとあり、そこに焦点をあてて触れているものの、記述に深み(例えばデータの充実など)を欠くが、わかりやすさを重視した文春新書らしいスタイルと言える。(あるいは、史料上の制約かもしれないが)
演義的な、劉備と諸葛亮の人物像を見直す内容となっているが、劉備について、その出自、人物像など目新しく感じた。(反面、諸葛亮は、他書でも、取り上げられることが多い分、目新しさは感じない。)
興味深かったのは、軍功報償のため、成都入城後、入手した財を大盤振る舞いしたという話p153。結果、政権運営に困る事態となる。
また、王や皇帝になった時のこと、臣下がより高い地位に登るため、君主が王になることを望むというのは目から鱗であった。(昇進すれば、給料も上がる。)
残念なのは、図版が前後して見難いところ、忘れた頃に、前の図が参照されており、図のいくつと表示されているが、ページも振って欲しいところである。
なにはともあれ、新進気鋭の学者による著作が、お手軽に読めるのは嬉しい。

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2018年06月23日

Posted by ブクログ

著者の古代中国の本が面白かったし、カネ勘定からの三国志とあったので期待したが、あまり新しい知見はなかった。
劉備が信義を看板にしているがそうでないことは周知だと思っていたが。
諸葛亮の野心家説も、わざわざ劉備のところに行く時点で明らか。董卓と袁術の見方は勉強になった。
資料の無い時代だが、推論でももっといきいきと諸葛亮が戦費に苦しんでいる様子などが書かれていればと残念。

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2023年01月31日

Posted by ブクログ

三国志好きだったため、リアルな面がどんな風だったのか興味があって読んだ。魏や蜀の経済面について書かれている。民衆が苦労しただろうということもよくわかる。漢の全盛期の1割程度に人口が減っていた。疲弊しただろう。英雄同士の血湧き肉躍る戦いの根っこには、民衆がいた。個人的には長坂橋の戦いについて、疑問があった。劉備になぜあんなに民衆がついていったのかと。子供のころは、劉備に人徳があったからついていったと思っていた。だけど、今は、もしかしたら、魏軍に対する盾として、劉備が利用したのではないかと邪推してしまう。

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2018年05月31日

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