佐々木克のレビュー一覧
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幕末の歴史について、著者自身の研究成果を踏まえながらわかりやすく解説している本です。
「尊攘派」対「佐幕派」という図式で語られがちな幕末の歴史ですが、著者は「攘夷」ということばにさまざまな意味が含まれていたことを指摘しています。そのうえで、ペリー・ショックによって巨大な軍事力を見せつけられた日本が、挙国一致で困難に立ち向かわなければならないことを自覚し、「破約攘夷」という課題をどのようにして果たすのかという問いをめぐってさまざまな考えかたが交錯する、幕末から明治維新にかけての動乱の模様がえがき出されています。
「あとがき」に「本書は欧米列強にたいして手も足も出すことができなかった軍事的弱小 -
Posted by ブクログ
明治の近代化を「官僚」という視点を軸に書かれている。
日本の近代化を果たすのに大きな役割を担った近代官僚制。その発生には岩倉使節団に随員した大久保が見た、イギリスの官僚制度があり、さらにはドイツ宰相・ビスマルクの政治手腕にあったとしている。
また、明六政変を経て、殖産興業に重きをなす内務省設立、大久保の内務卿就任が近代官僚制の一つのポイントとされている(著者自身は、大久保政権は内務卿就任の翌年からと別書に記載)。
大久保は、自らが活躍した「創業期」(1868〜77)、次の10年を「建設期」(1878〜87)としている。
この「建設期」として、伊藤の立憲制の模索があてられている。
この時期 -
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明治維新三傑の一人、内務卿・大久保利通の周囲の人々に対して当時の『報知新聞』記者がインタビューを行った記事をまとめたものであり、大久保卿の仕事ぶりや私生活の様子を垣間見ることができる(もっとも、当時のものをなるべくそのまま掲載しようとしているので、時折訂正等が入り、迂遠な感じがすることはある)。
大久保卿というと、「有司専制」との批判を想起される人もいるだろうが、私生活面では子供とたわむれている光景などが描き出されており、また、仕事面では木戸孝允の仕事ぶり(人の考えを聞いてそれに必ず一つ二つ付け加える)とコントラストをなす大久保卿の仕事のスタイル(人の考えを聞いて、熟考すべき点がないかを確認し