【感想・ネタバレ】大久保利通のレビュー

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Posted by ブクログ

大久保公のことを知る皆さんが、大久保公のことを語ったインタビュー集。褒めまくってるのでとても楽しい。明治43年から44年にかけて、記者がインタビューを行い、当時の新聞に連載したものを収録したもの。現代かな遣いにしてあり、読みやすい。偉人伝を読むような堅苦しさは無く、ただひたすら「推しのスペシャルエピソード集」として読んだ。大久保利通公の下で働いた方々が「威厳があって怖かった」的なことを口々に言うなか、終盤で登場する妹さん達と姪御さんが「冗談のうまい人だった」等のギャップエピソードを披露してるのが楽しい。

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2023年10月16日

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こういうのが、まさに、貴重な本と呼べるもの。
偉人・変人・冷酷扱いされる大久保が、実際はどんな人物であったか、実際に彼を知る人々の声によって生き生きと語られている。

とにかく威厳があった、まじめであった、西郷が死んだときは泣いていた、子どもたちに自分の靴を脱がせて楽しんでいた、子どものときは桜島の火口で遊んでいた、等々、家族や側近が語られる。

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2020年08月02日

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現代における大久保利通研究の第一人者・元京都大学教授の佐々木克氏が、大久保にまつわる様々な文献や実際の対談で話された内容をまとめあげた素晴らしい一冊。百年近く前の文献や語り手の記録の場合もあるため、必ずしも正しい情報とは限らないが、大久保利通を知る上では欠かせない一冊だろう。何度も読み返している。

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2015年09月27日

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世間に蔓延った大久保利通像は側面でかしかない。
この書籍は人間というものは側面の集合体であることを知らしめてくれる。
それにしても、その世間に蔓延った大久保の側面が冷徹であったからこそ、大久保という一人の人間に奥行きを持たせてくれている点は、ストーリー性など皆無なはずなのに、ドラマチックだ。

勘違いしてほしくないのは、昨今充満する啓発本の類とは真逆にカテゴライズされるものだ。
しかしながら、大久保の近しい面々によって形成される大久保の奥行きに触れると、自ずと襟を正された心地になる。
本を読む、とは本来こういうことなのではないだろうか。

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2012年10月07日

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周囲の人が語る「大久保」。
周りから語られて初めて真の大久保に触れることができる…そんな気がするのは大久保が大久保たる所以な気がする。

冷徹非道とみられた彼の信念と、明治という時代の立て直しにすべてを投資した彼からふいに見て取れる素顔。

一国の主たるや、こうあるべき…政治家大久保の真の部分が詰まっている。

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2010年08月10日

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明治に生きた人々の大久保たいする証言を集めたもの。大久保が周囲からどう思われていたかがわかります(爆)
思わず笑ってしまうエピソード有。
おススメです。

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2009年10月04日

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おそらく近代日本で最も偉大な政治家。

どこまでも現実を直視し、現実の中から思考し、社会を漸進させていく本物の保守。
その粘り強さ、誠実さ、判断力に、驚きを通り越して畏怖する。
当然のように彼は、汚職や色欲などと程遠い人格者でもあったのだ。

彼にとってはおそらくイデオロギーなどは問題ではなかっただろう。
主義主張などは、意匠でしかない。
日本国という幼子の魂と肉体を、どう涵養するか。
それだけしか頭になかった。

このような歴史的大人物があの混乱期に生まれ出たことは、日本の幸運であった。
全政治家、必読の書。

以下印象に残った点。
・話を総合するに、西郷との友情はどうも本当のようだ。西郷のことをわかるのは俺だけだ、といずれ本を書くつもりだった。あれだけ冷静沈着な大久保が、西郷立つの報を最後まで信じなかった。そして大久保が幼少期以外で涙を流したのは、西南戦争で西郷が起ったのがほんとうだ、と知った時だけであった。泣いてないという声もあるが、「いよいよ西郷と別れねばならない」と感慨深くつぶやいていたという(松平正直)。
・怒る訳では無いが笑うこともない。みなが怖がっていた、威厳がすさまじいというのも誰もが言う。大久保没後、伊藤の代となって一気に内務省の風紀は乱れた。(ただし伊藤は気さくだった)
・木戸が病床にある時、大久保が見舞いに来ると横になって雑談していた伊藤博文らは驚いて飛び上がり、にわかに襟を正して座を整えた。伊藤は大久保の声を聞くだけで震え上がっていた。
・木戸と大久保ふたりなくして、維新後の国づくりはならなかった。ふたりとも薩長びいきと世に取られないように細心の注意を払った。また、お互いがお互いを気遣い続けて、絶妙な関係を維持した。
・藩閥に一切とらわれることなく、可愛がっていた部下に不正があると一気に切っていた。
・上司としては、方針を描いたのちは信頼する人間にすべてを任せる。「私一個に使われるとか、薩長に使われるとか思わずに、国家の仕事をするというつもりで自ら任じてやってくれ。万事仕事は君たちに負かすから力一杯やれその代わり責任は俺が引き受けてやる」。
・政策としては、人民の財産生命の保護が最も大切で(警察)、あわせて民業発達を促進していった。だから東大農学部をつくったり、牧場を興したり、
・清廉潔白、死んだときに残っていたのは75円。借金2万。
・無用な話はよほど変わったことがあってすら話さなかった。
・反対のときは「もっと考えたらよかろう」。賛成のときは「よろしい」。その後の対応はきわめて俊敏・端的。普段は無口きわまる。
・子供は大変に好きであった。土曜の夕飯は必ず家族で食べていた。子ども(大久保利武)は怒られた覚えがなく、笑い顔だけ覚えているという。額縁に、楽志一家春!
・部下にも敬語、さん付け。
・林董の言葉がいい。「明治年間の唯一の大宰相」「一切の責任を自分で引き受けて、難きは自ら任じ、易きは人にさせる」「事務などを以て大久保を論じては大変な間違いだ。裁決流るるが如しとかなんとかいうのは、やり手とか才子とかいうもので、畢竟それは刀筆の吏である。大久保はそんなものを遠く超越しておる。あれはただその人そのものが国家の柱石であったのだ」「(大久保の)威重は、あの人の至誠国に尽くす心、己を虚しくして国のためにした、あの人格の力だ」
・胆力も相当なもので、佐賀の乱の際には弾丸が降る中を平気な顔して歩いていた。足元や耳を弾がかすめているが、びくともしなかった。それを力んで見せてるわけでもなく、まったく平素の通りだった。
・胆力は外交時にも発揮され、北京談判ではノラリクラリの清政府に対してロジックと急所をつき、一向に動じない姿勢だったからこそ成功した。激昂も凹みもしない。余裕綽々だった。帰国後、明治帝から恩賜があったが、辞退した(ゆるされなかったが)。
・殖産興業を興すに大変な業績があった。その知見は深く、専門家顔負けだった。
・幕末の薩摩藩では家老よりも西郷・大久保の方が人望と権力があった。大久保は薩摩藩史上最速で出世した。
・少年の頃から周りの人間に一目置かれ、親でさえその言葉をよく聞いていた。親類に病あるものいれば献身的に看護をし続けた。
・大久保の若い時分、占い師が手相を視て、たいそう驚き「こんな手相は初めて視る、天下を取る。こんな手相のあとは誰も視られない」と言ったとか

・これは大久保ではないが、黒田清隆が女房を蹴り殺した件に触れられている章で、その後不可解にも「誤りがあった」として撤回されているのが闇が深い。
・また、記憶違いがかなり多く、採録記事のあとに、これは誤りである、と正されている。当たり前だが、校閲機能がしっかり働いていることに感心するのと同時に、人間の回顧録は半信半疑で見るくらいがいいと感じる。
・西郷は島流しにあうまでは、上野の像とは似ても似つかない。痩せぎすだった。
・「樹木のないのが文明じゃそうな。妙な文明もあるものじゃ」(高島鞆之助:明治になり町並みの樹を伐採されたことに対して)

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2023年06月13日

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生前の大久保利通に接した事のある人物達の証言集。
明治時代に報知新聞にて連載されていたようです。
いろんな視点から見られた大久保利通を知る事ができて興味深いです。
あくまでも他者から見た大久保利通なのですが、一端に触れる事はできたかなと思います。
本書には記者の誤りや証言者の記憶違い等もあり、読む時に注意は必要かもしれません。

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2021年08月28日

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ネタバレ

大久保利通がどのような人物だったかをインタビュー形式で当時を知る人々へ取材した内容をまとめた本。
大久保利通がなにをしたか、ではなく、どのような人物だったのかが、この本から想像出来、非常に面白い。
この本を読んでわかるのは、「非常に無口」「怖い(喋らない上、威風もあるので、たちが悪い)」「西郷隆盛との関係は凡人には想像できない程、強いもの」といった点だ。そんな中に家族とのふれあいなど、微笑ましいエピソードもある。勿論、亡くなった偉人、しかもその周辺の人々なので、そんな悪いことが書かれることはない。が、実は禿を気にしていたなどといった本人知ったら怒るんじゃないかしら、という細かい話まで満載。

木戸孝允との違い、木戸孝允は議論しながら自分の方針を織り交ぜるに対して、大久保は承認したら口を出さず、ただ責任を取る、という手法。非常に興味深く、どちらが優れているというわけでもないが、性格なのだなと思う

西郷隆盛のことを分かるのは自分だけ、という言葉を子供に残し、それを文章にするつもりだったが、暗殺されてしまった。それを語る次男の姿が目に浮かぶ

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2017年11月25日

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ネタバレ

私が大久保に心臓鷲掴みにされた1冊(笑)。本書は明治43年十月から新聞に連載された、当時存命していた大久保関係者による回顧を復刻、収録し、大久保大好きっ子(笑)の佐々木先生が監修解説を加えたもの。この手軽さ、この値段でこれだけの内容を拝めるとは講談社&佐々木先生さまさまという感じです。大久保ファンには必須アイテムでしょう。

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2012年03月17日

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大久保利通に近しい人物から直接語られる大久保の人物像。寡黙な人柄に情の篤さ、その人格がにじみ出ています。最も印象的なところは西郷との友情。兄弟以上の二人が征韓論のもつれで袂を分かった瞬間。西郷の出軍を最後まで信じない大久保。逆恨みで撃たれた紀尾井坂の変。その胸にしのばれていたのは西郷からの手紙であった。維新を遂げた西郷と、新政府をつくり守った大久保。目頭が熱くなった。

12/1/13

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2012年01月13日

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・「大久保利通」の周りの人々の想い出(インタビュー)を集めたものであり、人間「大久保利道」を理解できる。
・政治家としての手法、意思決定、部下の使い方等、偉人の生き方として学ぶべきことが多い。
・何度も出てくることは、「公平無私」、「至誠至忠」。大西郷とも重なるところ。

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2011年03月17日

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講談社学術文庫
佐々木克 監修 「 大久保利通 」

大久保利通と親交ある人々へのインタビューにより構成された本。故人を悪く言えない部分もあり、多面評価に至っていないように思う


人間性に関する証言が多く、政治的功績や国際感覚の鋭敏さに関するエピソードが少ないのは残念。証言やエピソードも細かい所で誤りが監修者により指摘され、史料として信用しづらい


大久保利通が征韓論に反対した理由は、朝鮮出兵意思が強い 西郷隆盛を死なせないためという証言が多い。


軍国主義に向かう西郷隆盛と それを抑えて 近代国家を進める大久保利通という構図になっているが、本当に 西郷隆盛に朝鮮出兵意思があったのだろうか?


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2023年03月17日

Posted by ブクログ

明治維新三傑の一人、内務卿・大久保利通の周囲の人々に対して当時の『報知新聞』記者がインタビューを行った記事をまとめたものであり、大久保卿の仕事ぶりや私生活の様子を垣間見ることができる(もっとも、当時のものをなるべくそのまま掲載しようとしているので、時折訂正等が入り、迂遠な感じがすることはある)。
久保卿というと、「有司専制」との批判を想起される人もいるだろうが、私生活面では子供とたわむれている光景などが描き出されており、また、仕事面では木戸孝允の仕事ぶり(人の考えを聞いてそれに必ず一つ二つ付け加える)とコントラストをなす大久保卿の仕事のスタイル(人の考えを聞いて、熟考すべき点がないかを確認し、熟考すべき点ありと見なせば再考を促し、無しと見ればそれで決裁する)等は興味深い。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

佐賀の乱で江藤を処刑したとき日記に「醜躰笑止ナリ」とか怖いこと書くので冷血な人なのかと思ってたら家では子煩悩だったとか背が高すぎて鴨居におでこぶつけてたとか、人間味あふれるとこがあってチャーミングな人だとわかって大好きになりました。でも怖い大久保さんも大好き。

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2010年06月08日

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