〈本から〉
心臓の収縮・拡張のリズムを作っているのは、右心房にある「洞結節」という部分
洞結節で発生した電気刺激は池に波紋が広がるように左右の心房に伝わって心房を収縮させます。これにより血液は心房から心室へ送り出されます。
次に電気刺激は「房室結節」と呼ばれる中継地点に集まり、ここからヒス束(そ
...続きを読むく)、右脚(うきゃく)・左脚(さきゃく)、プルキン繊維へと伝えら、左右の心室を収縮させます。すると、血液は心室から肺や全身へと送られます。
電気刺激が伝わる洞結節→房室結節→ヒス束→右脚→プルキンエ繊維のルートを刺激伝導系といいます。
この刺激伝導系のどこかに異常が起こったり、この経路以外に余分なルートができたり、洞結節以外で電気刺激が起こったりすると、脈の乱れが生じます。
なお、電気刺激は刺激伝導系を介して心臓内に一瞬にして伝わりますが、心室は心房に0.1〜0.2遅れて収縮します。この時間差により、心房の収縮が終わってから心室の収縮が始まることができる仕組みになっています。
心臓は周囲を冠動脈という血管に囲まれており、そこに流れる血液から酸素や栄養を受け取っています。狭心症とは、その感動脈のどこかが動脈硬化などで狭くなり、血液が十分に流れなくなることで、必要な血液を受け取れなくなった部分の心筋(心臓の筋肉)が酸素不足になり、胸痛を主症状とする発作を引き起こす病気です。
動脈硬化で狭くなった冠動脈に血栓が発生し、血液の通り道が塞がってしまうのが、心筋梗塞です。心筋梗塞を起こすと、詰まった場所から先には血液が流れなくなり、心臓の一部が腐り(壊死という)動かなくなります。つまり、狭心症と心筋梗塞は血管の病気です。
心不全はよく心臓病の一つと間違えられますが、心不全とは病気ではなく、心臓の機能が低下し、全身へ血液を送り出す役目を果たせなくなった状態をいいます。
心室頻脈、心室細動、心房細動は脈が速いタイプの不整脈です。これらとは反対に、脈が異常に遅くなったり、間隔が長くなる徐脈性不整脈があります。洞不全症候群や房室ブロックなどがその代表です。
正常な脈は1分間に60〜90回程度ですが、頻脈は1分間に100〜250回、粗動は250〜350回、細動は350回以上になる不整脈をいいます。
心筋(心臓の筋肉)が電気刺激を起こす能力を自動能といいます。自動能を持っている心筋がある場所は洞結節と房室結節、プルキンエ繊維などですが、通常は、洞結節からの電気刺激によって心臓全体が興奮します。なんらかの原因によって自動能を持つ部位以外から電気刺激が発生するのが異常自動能です。
脈が飛ぶタイプ
不整脈の中で最もよく見られるタイプで、正式には「期外収縮」といいます。
頻脈性不整脈では、心房の筋肉から利尿を促すホルモンが分泌されるため、尿意が出ることもあります。
心臓が収縮すると多くの血液が大動脈に押し出されるため、大動脈の血管は拡張します。次に、心臓が拡張すると血液は押し出されないので、血管は収縮します。この血管の拡張・収縮により、血管内の血液が血管壁に波動を起こします。比較的皮膚に近いところを走行している手首の橈骨動脈(とうこつどうみゃく)や首の頸動脈といった動脈の部位で触れると、序の波動を感知できます。これが脈拍で、これを手の指で触れることを検脈といいます。
セルフチェックによる検脈は一般的に橈骨動脈で測定します。人差し指、中指、薬指を手首の内側に添え、1分間の脈拍数を数えます。15秒間測り、それを4倍にしても「いいです。脈の数だけではなく、脈の大小、リズムも確認してください。
不整脈と関係のある血液中の成分の一つに脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)があります。BNPは心臓(主に心室)から分泌されるホルモンで、心臓の機能が低下して心臓への負荷が増えたり、心筋の肥大が起こったりすると増加します。これらは心不全の症状であり、心不全は頻脈性不整脈の原因となるので、血液検査を行ってBNP濃度を調べることがあります。
心臓は自律神経によってコントロールされています。(略)交感神経が優位になると期外収縮が起こりやすくなります。例えば睡眠不足や精神的なストレス、過労、カフェインの取り過ぎなどは交感神経の優位にするため、期外収縮の引き金になります。また、貧血や脱水で体内の電解質のバランスが崩れると期外収縮が起こりやすくなります。特に心筋が正常に働くために欠かせないカリウムが減ると期外収縮を招きます。(略)
睡眠不足やストレス、過労などの最中には期外収縮は起こらず、通常、翌日あるいは翌々日になって現れます。期外収縮が起こったときは、ここ数日の生活を振り返り、健康な生活に正すことが大切です。
心房細動とは、心房内のあちらこちらで電気的興奮が発生し、各所で電気刺激が回るため、心房が1分間に約400〜600回の凄まじい速度で興奮して細かく震えている痙攣状態をいいます。あまりにも細かく震えるため、心房は収縮することが出来ず、停止状態になります。
心房の震えが全て心室に伝わると心臓が止まる危険があります。それを避けるため、房室結節がコントロールして心房の興奮の一部のみを心室に伝えます。
そのため、心室は60回〜150回程度の不規則な収縮をすることになります。これが心房細動の正体です。
心房細動は発作の持続の仕方によって「発作性心房細動」「持続性心房細動「慢性(長期持続性)心房細動」の三つに大きくわけられます。
発作性心房細動は発症から7日以内に自然に治まるタイプ、持続性心房細動は1週間以上発作が続くタイプで治療により正常なリズムに戻せます。慢性心房細動は発作が1年以上続くタイプで、どんな治療を行っても正常なリズムに戻りません。
心房細動の原因は進行するとともに心房全体に拡散してしまう性質があり、どのような手術を行っても原因を完全に除去し尽くすことはできません。
節度あるお酒の適量はワインの場合は1日グラス2杯弱(200ml)程度内が目安です。
心臓のために欠かせないミネラルがマグネシウムです。大豆、ナッツ、海藻など。
カリウム、カルシウム