リチャード・ブローティガンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ語り手の淡々とした物言いのおかげで、物語はずっと穏やかで静謐で、だけどどこか狂気があった。
わたしたちが今いる現実世界とはかけ離れた場所に物語の世界はあって、ずっと遠い未来か、現実世界の向こうの死の世界か。虎の時代やインボイルの事件などがあっても、基本的には穏やかな時間が流れているように感じた。両親を虎に食い殺されたときでさえ、"わたし"はそれを俯瞰して眺めているというか、いつかのポーリーンのように激しく心を乱しているようには見えなかった。西瓜糖でできた橋やその他たくさんのもの、西瓜糖鱒油をつかったランプをわたしたちは持っていないけど、わたしたちが持っているたくさんのものも -
Posted by ブクログ
西瓜糖で作られた、閉じられた静謐な世界。そんな世界の中にはうっすらと不穏な空気があり、グロテスクな死や流血が書かれるけれど、恐怖やおぞましさみたいなものはすっぽりと抜け落ちているようで不思議な読み心地。起こる出来事に関連性はあるが物語の筋のようなものはなくて、この独特な世界の雰囲気を味わう小説なのかも。
岸本佐知子さんのエッセイでいしいしんじ好きな人におすすめと書かれていたので気になって読んでみたんだけど、ちょっと違う気がする。不思議な世界を描くという点では似ているのかもしれないが、いしいしんじ作品にあるようなあたたかみ、人間のにおいのようなものは全く感じられなくて、それらを排除したのがこの西 -
Posted by ブクログ
ネタバレ不思議な町、世界の話。
最初、西瓜糖ってなに?って思ってぐぐった。
西瓜糖を原料としていろいろなもの(家とか)を作ってる世界の話。
世界観は好きだったし、
ブログみたいな感じでサブタイトルがあって、
そのサブタイトルに対する文章が短くて区切りがいっぱいあって
とても読みやすかった。
最初は??が多かったけど、
後々わかってく部類の小説か?と思ったら
そんなにわからない部類の小説だった。
インボイル率いる軍団が、
集団自殺をした場面は、
それまでの素敵な描写と相反してすごく際立ってたし
グロテスクだった。
村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の、
世界の終わりの部分を -