リチャード・ブローティガンのレビュー一覧

  • 西瓜糖の日々

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    死を身近に感じる度に手にとる作品。
    通夜、葬儀に続いて故人の家に空き巣が入り、寝る場所もなく近所の銭湯にある大広間のハンモックで1夜を過ごした。そこで夜通し読んだ思い出深い1冊。

    私たちが住む現実世界と似てはいても何か決定的に違っている世界、穏やかな憂鬱に包まれたiDEATH。
    そこに属す全てのものが死の沈黙、平穏に何となく惹かれているような雰囲気で魅力的。

    死者たちは永遠の明るさの中にいる。

    足をかけていた枝から足をはずした。
    そのあとの彼女は、空気の上にひとりで立っていた。

    こんな表現があるんだと思った。音もなく静かで美しいと思えてしまう。

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    2026年08月18日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    祝!!『ハンバーガー殺人事件』復刊!タイトルが変わりましたが、訳者の方は同じで新訳で登場。『ハンバーガー殺人事件』めっちゃ好きだったのに絶版で、しかもプレミア価格で買えなくて諦めていたのだが、なんと復刊ということですぐに買いました。ブローティガンが遺した最後の小説なので、なんだか死生観が漂う内容だなとも思う。

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    2026年07月14日
  • 西瓜糖の日々

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     深読みする必要はないのかもしれない。
     そこにこの世界がある。それを素直に受け止め、そこに身を置く感覚でいいのかもしれない。

     しかしただの穏やかで牧歌的な世界というのではなく、アイデス(iDEAETH)という名のとおり、常に死を感じさせ、どこかさみしげだ。そしていつも不安とともにあることをも感じさせる。

     不思議な世界観で、どこがどうというのは難しいけれど、それでもなんか、とても良かったな、と言いたくなる作品。

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    2026年01月29日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    44歳になった作家が、第二次世界大戦終戦頃、1940年代にアメリカ・オレゴン州で過した少年時代を振り返る。
    ブローティガンの自伝的な、生前最後の幻想小説。
    旧題「ハンバーガー殺人事件」。
    アメリカの土埃の向こうに霞んで見える、風に吹き払われて消えてしまいそうな少年時代の日常。
    貧困生活。気晴らし。遊び。帰還兵。後悔。

    乾いた、埃っぽい少年時代。すべて一歩離れた場所から見ているかのような感覚。とんでもないことをしてしまった時の焦りと困惑、生涯引きずる後悔も、全部なんとなく私にも覚えがあってノスタルジーに満たされる。

    娯楽がNetflixやSNSなどの「与えられる」刺激と違って、自分の想像力で

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    2026年01月29日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    言葉遣いやリズムはそのままに、内容はかなり小説然とした印象。誰にだって、ハンバーガーではなく銃弾を買ってしまうことがあると思う。

    「何の前触れもなく母が言った。……「そうね。ハンバーガーを買うべきだったかもしれない」」p.165

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    2026年01月15日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    どこまでもどこまでも物語の行末が気になって、気持ちがふわふわして落ち着きがない。それでいて哀しみに溢れているこの世界(小説)に浸っていたくなる。正直に書こうと思うとそんな感想になる。
    少年の気持ちがストレートに表現されそれは嘘偽りないように思えるし、そこに起こる出来事はどこか幻想的で掴みどころがなく土埃のように舞い上がり消えていくようだ。
    ブローティガンの生前最後の小説である『ハンバーガー殺人事件』を改題し新訳で筑摩書房より発行された(訳者は変わらないが新しい解釈で)。
    このような手に取りやすい状況にしてくれて、本当にありがたいと思わせてくれた作品です。

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    2025年12月27日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    大学生のころ八王子のくまざわ書店の棚にあるハンバーガー殺人事件は見たはずだ。でも読まなかったのは、既に読んでいた、愛のゆくえをあまり面白く思わなかったからか。でも、その後文庫になると読むようになって、そのナイーブさに感動するようになた。
    若い人の中にある死のイメージ。それを老境になってから読めたのは、かえってグッドタイミングだった。

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    2025年12月13日
  • 西瓜糖の日々

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    小川洋子さんのエッセイで
    取り上げられていたことから興味を持って。
    読み始めてすぐに、”出会ってしまった”と思った。
    生涯本棚に残しておきたい一冊。

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    2025年11月29日
  • 西瓜糖の日々

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    解説を読んだことを後悔した。この小説がどんな人に書かれて、そのときの時代背景のことなんか、全く知る必要はない。解釈も考察もいらない。ただ、西瓜糖で作られた橋やたくさんの川が流れる世界があって、九九を間違って教えてくる虎に両親は食べられてしまう。そのままのそれだけの世界。

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    2025年11月10日
  • 西瓜糖の日々

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    村上春樹と川上未映子の対談本で紹介されていたから手にとってみた。(確か)

    情景が映画を観るように想像できて、独特な世界観にどっぷりと浸かれた。

    読んだ後、ジーンと残るものがある。

    「こんな小説は初めて」な読書体験。
    読めて良かった。

    本に出てくる「忘れられた世界」は私たちの今住む世界なのかなと思う。
    アイデスは穏やかな世界なんだけど、なんか住みたくない…
    住人もみんな穏やだけど、どこか寂しそうで不憫な感じ。

    これは絶対また読み返したい。

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    2025年03月04日
  • 西瓜糖の日々

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    「そういうのはずるしてる、というのじゃないのかな」

    「風が起こって、窓がかすかに震えた。風で、脆そうに半開きになった砂糖」
    綺麗すぎるイメージ

    「わたしたちが恋人同士になると、かの女は夜の長い散歩をやめた、でも、わたしはいまでも散歩する。夜、長い散歩をすることが、わたしは好きなのだ。」
    怖い

    マーガレットが好きだった

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    2023年09月12日
  • 西瓜糖の日々

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    牧歌的、といって良いだろうガジェットの中で行き交う現在はフィクショナルで至極自足している、かに見えるが、その円やかな事物の間隙から立ち上がってくる哀惜のノイズ、その鳴りが美しいような物語でした。冴えた月の円かさであるような。ソフトな手触りなのだが、明らかに、幽かに、かなしみを籠めてザラついている。かっこよかったです。

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    2023年04月30日
  • 西瓜糖の日々

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    夏を感じられる薄めの海外文学を読みたくて手に取った本。
    しっかり理解できているわけではないか、衝撃的な部分もあるが、不思議で癒された作品。
    癖になる感じ。

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    2026年08月30日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    ネタバレ

    ハンバーガーを買うか、銃弾を買うか迷う。葬式をただ興味深い変な儀式として見る。社会通念や知識といった文脈なしに「ただ」見る、「ただ」感じる。少年時代の無邪気で危うい感覚が読んでいて面白かった。
    ハンバーガー屋から漏れる美味しそうな匂いがたまたま途切れる。そんな偶然としか言いようのないことで銃弾を買うことになる。人生が変わってしまう。その後狂気的にハンバーガーの歴史や物語を収集することに躍起になる主人公、面白かった(過去の罪からの防衛反応と考えると辛さも感じるけど)
    ある友人には嘘をついて偉そうにするし、ある友人には愛想をつかされないように下手に出る。大人的な意図がない子供ならではの感覚も思い出

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    2026年08月12日
  • 西瓜糖の日々

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    初ブローティガン。印象的なタイトルで気になっていた作品でした。

    詩的で幻想的な小説。ジャンルは違うし時代も少し前だけどブラッドベリの『火星年代記』を想起しながら読みました。なんというか古き良きアメリカと言われる時代にはこういう幻想的な世界を描き、味わう文化というか感性があったんだろうなぁと、少しメタに外れた感想を持ってしまった。

    アイデス(I Death)を始めネーミングや関係性、登場人物の言動、語られる歴史などさまざまなものが当時の社会のメタファーになっているのではないか、著者が現代社会に近いと感じていたコミュニティや関係性はむしろアイデス以外の方にあるのではないかと、色々な想像が生まれ

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    2026年08月10日
  • 西瓜糖の日々

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    ちょっと詩的すぎて私には難しかった。難しいというか、渋いというか。挿絵は一つもなかったけれど、大人の読む絵本という感じがした。綺麗で透明だけど、残酷な感じ。薄いようで触れると奥行きのあるような。西瓜糖ってどんな味なのだろうか。西瓜のように瑞々しいのかな。

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    2026年05月29日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    『愛のゆくえ』、『西瓜糖の日々』を読んできたが、今作の世界観がいちばん好みだった。
    YA向けとしても楽しめるのではないだろうか。
    素敵な訳直し、改題だと思う。
    彼が語っているように、テレビ(今ではSNS)などで自分の世界を閉ざすのではなく想像力で世界を作ることを忘れてはいけないと思う。

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    2026年03月27日
  • 西瓜糖の日々

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    これは方向をもった流れのどこか一部分だ。心地よい夢はそうだったものになり、世界は灰色になってゆく。黙る!無音の世界に憧れる、死人に口なし?別に支離滅裂ではなくて、どこかイメージみたいなものでつながっている。というより流れ?あたかも"桂馬みたいなマジカルバナナ"の方式で書かれたと思う。

    誤解を恐れず思いついたままに書くと、僕のスキな男が書く文書はちょうどこんな感じで、だから結構好きだった。あくまで"結構"だけれど。藤本和子氏の訳がいいのかしら?「ひょっこりひょうたん島」

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    2026年02月15日
  • 西瓜糖の日々

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    僕らの住む世界の遠く、西瓜糖の世界での物語。

    要するに幻想、あるいはSF小説のようにこの世界とはぼんやりと差異のある世界での物語でありそこに暮らす人々の物語である。調べると村上春樹が影響を受けているのではないかという記事も出てくるがなるほど納得の現実と幻想の中間、半目で夢を見ているような物語。村上春樹ほどハキハキと物語が切り替わっていくわけではないのでこの世界に浸れるかどうかで読後の感想も違うと思うが個人的にはこのほんのりと甘い世界が心地よくぬるま湯に浸かっているような物語だった。

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    2026年01月14日
  • 西瓜糖の日々

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    『鱒釣り』や『芝生の復讐』といった短編とは異なり、章ごとに独立はしながらもまとまった緩やかな時間が流れていく感じがする。全体的に穏やかで農村的で、しかしディテールが鮮明に思い浮かぶことはない霞がかった世界。みんな謎の仕事をしている。

    「​──そのことを話してあげよう。
     そう、なにもかも、西瓜糖の言葉で話してあげることになるだろう。」(p.11)

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    2026年01月03日