感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年09月12日
「そういうのはずるしてる、というのじゃないのかな」
「風が起こって、窓がかすかに震えた。風で、脆そうに半開きになった砂糖」
綺麗すぎるイメージ
「わたしたちが恋人同士になると、かの女は夜の長い散歩をやめた、でも、わたしはいまでも散歩する。夜、長い散歩をすることが、わたしは好きなのだ。」
怖い
...続きを読むマーガレットが好きだった
Posted by ブクログ 2023年04月30日
牧歌的、といって良いだろうガジェットの中で行き交う現在はフィクショナルで至極自足している、かに見えるが、その円やかな事物の間隙から立ち上がってくる哀惜のノイズ、その鳴りが美しいような物語でした。冴えた月の円かさであるような。ソフトな手触りなのだが、明らかに、幽かに、かなしみを籠めてザラついている。か...続きを読むっこよかったです。
Posted by ブクログ 2023年02月22日
発熱した状態で読むには非常に適した小説だった。筋らしい筋はほとんどない。ひたすらブローディガンの夢幻的世界観が詩のような文体で綴られている。何よりもページ数が少ないのが良かった。解説にもあったが、これを単にヒッピー文学として理解してはいけない。ことさらに提示されるのは楽園の中にあるかすかな不安であり...続きを読む、それは死の世界に近い。インボイルが主人公たちに見せつけようとしたのは、まさにこのことだったのだろう。ただ健康な状態で読めばまた感想が変わるかもしれない。あと、この文体でもう少し長いのを読んでみたいから、また別のブローディガンの作品を読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ 2022年08月23日
夢と現実の狭間を漂うような不思議な世界観。 みんな色々な感情に溢れ、今ここにいる人にもいなくなった人にも囲まれ、生と死、光と闇の中を行ったり来たりしながら生きている。よく分からないけど惹き込まれる。
Posted by ブクログ 2022年04月02日
「西瓜糖」と「鱒の孵化場」など暗喩のような言葉がちりばめられた幻想的な本。
「ずっと以前、さいごの虎が殺されその場で焼かれたすぐあとで、アイデスに鱒の孵化場が造られた」
その虎はあたしたちと同じ言葉を話すし、算数もできる。
Posted by ブクログ 2022年02月06日
・アイデスと忘れられた世界、、
アイデスはわたしの夢の中、空想の世界で、忘れられた世界がリアルな世界、現実世界。わたしは夢の中に逃避してポーリーンたちに会っているんではと思った。わたしにとってもはや現実世界は失われていて、アイデスこそが真にリアリティのある世界。
・アイデスは村上春樹さんのハードボ...続きを読むイルドにでてくる世界を思い出した、閉ざされた静の世界。
・鱒はなにを意味してるの?鱒釣り読めばいいの?
Posted by ブクログ 2021年12月16日
ひんやりと、冷たい。つめたくて、寂しい。なのにぼんやりとした黄色いひだまりが感じられる。
ここは、どこなんだろう。私は誰なんだろう。そんなことは時にまかせて。あなたが呼んだままに。
時の流れは無常で、流れるだけで、とまらない。
ここで構築された世界を私は忘れたくないと思う。
Posted by ブクログ 2021年08月24日
氷砂糖のような言葉の世界だった。掴んだと思ったら味わううちに溶けてしまう。皆慈悲深く、穏やかで、とてもひんやりとした冷たさを持っている。
忘れられた世界のイメージ、血のイメージがありありと迫る。
Posted by ブクログ 2021年05月22日
西瓜糖のことばで綴られているので
私にはすーっと入ってきた。
入ってこない人もたくさんいると思いますが。。
悲しみは淡々と、
日々のちいさな幸せは、ポーリーンみたいに愛おしく描かれている。
辛いことを葬り去ってしまうようなこわさ
のあるお話しでもあった。
わたしの名前
_誰かがあなたに質問をし...続きを読むたのだけれど、あなたはなんて答えてよいかわからなかった。
それがわたしの名前だ。
そう、もしかしたら、そのときはひどい雨降りだったかもしれない。
それがわたしの名前だ。_
わたし
は、アイデスというコミューンのようなところにいて、彫刻や、物書きをしている。
両親は虎たちの時代に、食べられてしまった。
わたし は、夜になると上手く眠れず、散歩に出る。
アイデスには鱒の孵化場がある。とても象徴的な場所だ。
そして、アイデスの向こうには、忘れられた場所という、途方もない場所がある。そこに惹かれる人たちは、飲んだくれて、アイデスの静けさを嫌っている。
忘れられた場所の住人ちとの対立。愛しいポーリーンの美味しい食事。昔の恋人マーガレット。。
暴力や戦争を否定し、愛だけが残った。
そんなおはなし?
Posted by ブクログ 2021年02月15日
もしかしたらかつて〈忘れられた〉別の時代があって、いろんな思惑や策略のために、一度めちゃめちゃになった後にできたのが西瓜糖の世界なのかもしれない。
支配したり、裁いたりする存在がいない世界は、わたしたちのそれより、ほんのちょっと甘く、やさしい。
Posted by ブクログ 2020年05月10日
西瓜糖世界に住む人たちの日常を淡々と描くお話。きれいなイメージだなーと読みはじめて、その架空の世界がすごく好きになった。いろんなものが西瓜糖で作られている<アイデス>と、少し離れた<忘れられた世界>。人と同じ言葉を話す虎。静かで優しくて残酷な西瓜糖の日々。
Posted by ブクログ 2023年12月12日
初ブローティガン。
原題”In Watermelon Sugar”。
全88断章が連なる、寓話。
「西瓜糖の世界で」「インボイル」「マーガレット」の3チャプター。
寓意は簡単に判りそうな気も、する。
時間と、忘却と、生と死と、無関心と、自己欺瞞と……。
が、あまり茫漠としすぎていて、全然判らないとい...続きを読むう気も、する。
つまり村上春樹っぽい。
影響関係でいえば逆なのだが。
(また、高橋源一郎、小川洋子、柴田元幸、岸本佐知子、etc...)
SFではないが、ユートピア≒ディストピア、の系列。
また、地図を描きたくなる。
アイデス : 忘れられた世界
あるいは忘れられた世界の中に孤島のようにアイデスがあり、アイデスの住人の住居はその辺縁にある?
人々(わたし、チャーリー、ポーリーン)(マーガレット→) : インボイル
という構図か。
清教徒的・小市民的生活と、対立。
時系列的にヒッピーから生まれた文芸では決してないらしいが、やはりヒッピーとの親近性はありそう。
語り手の「わたし」がむしろ阻害「する」側で、インボイルやマーガレットのほうが読者に近い。はず。人間っぽい。
語り手が実は鼻持ちならない側、というのも、春樹っぽい。
連想。
タイガー立石「とらのゆめ」。
虎と西瓜から。
ドラッギーなところとか。
連想2。
突飛かもしれないが、「マインクラフト」。
世界の素材が西瓜糖、というところから。
藤本和子の文体、好き。
訳書をいくつか読んでから「塩を食う女たち――聞書・北米の黒人女性」を読みたい。
Posted by ブクログ 2023年04月20日
西瓜島,アイデス,忘れられた世界,虎,鱒の孵化場.わたしの住む世界はゆるい時間の流れの中で,決められた毎日が単調に過ぎゆく.そして時に挟み込まれる剥き出しの暴力.断片が積み重なり,不可解で秩序のあるようなないような世界が漂っている.
Posted by ブクログ 2022年11月03日
借金玉さんが折に触れてすすめてるやつ
浮遊感?のある不思議な文体
ちびちび読んでいるけど「西瓜糖」が何なのかよくわからない。(村で採れる作物で、食用のほか建物の材料になったりしてる。
桃源郷ものぽくもあり、とはいえソロ隠者ではないので『ヘンリ・ライクロフトの私記』ほどひねくれてもいない。
...続きを読む●
「わたしの生活は静かに過ぎてゆく。」
Posted by ブクログ 2022年10月10日
アイデスでなじめない人間が行くところが忘れられた世界であるような感じで読めるが、実際にはその逆なんだろうと思います。
前作「アメリカの鱒釣り」は楽しい感じでしたが、今作は一転物悲しい感じとなっています。
Posted by ブクログ 2022年01月21日
多くのものが西瓜糖で作られている世界。
死後を思わせるような、<過剰でない>平穏な人々。
詩的な幻想ながら、藤本和子さんの翻訳が見事で読みやすかった。
なんとなく、長野まゆみさんを思い出す。もしかしかたらブローティガンがお好きなのかもしれない。
『ビッグ・サーの南軍将軍』もいつか読みたい。
Posted by ブクログ 2020年12月14日
"たえず変化している。だから、素敵なんだ。"(p.30)
"わたしの好きな物、わたしの気に入りの物で造られた橋は、わたしの足の下で、いい感じだった。"(p.124)
Posted by ブクログ 2020年12月08日
西瓜の汁を火にかけて煮詰めると
さまざまな色の西瓜糖が抽出される
ブローディガンの小説「西瓜糖の日々」では
すべてが西瓜糖で作られた世界を書いている
発表当時、キング牧師の公民権運動が盛り上がっていた
しかしここで描かれているのは
理想郷が排他的になっていく過程である
シェアハウスといくつかの作業場...続きを読むで成るらしい理想郷アイデス
そこに暮らす人々は
「忘れられた世界」に惹きつけられたかつての仲間たちと
けして相容れることはなかった
西瓜の本質が、甘い西瓜糖であるとしても
人間の本質が善であると保証されるわけではない
理想郷を信じる人々にとって
それは受け入れられない事実だろう
Posted by ブクログ 2020年06月29日
何かが起こっているようでいて書かれない、何かが起こりそうでいて、何も起きない。序盤、ただその章ごとの文章をぼんやりと味わっているのがおもしろかった。西瓜糖ってなんなんだろう。忘れられた世界も、トラも。なんだったんだろうなあと考えてしまう。
‘‘あなたがどこにいるとしても、わたしたちはできるだけのこ...続きを読むとをしてみなければならない。話を伝えるためには、あなたのいるところはとてもとても遠く、わたしたちにある言葉といえば、西瓜糖があるきりで、ほかにはなにもないのだから。うまくゆけばいいと思う。’’
Posted by ブクログ 2019年12月04日
今までに読んだことがない新しい出会いをさせてもらった作品でした。
1〜2ページごとにタイトルがつけられ、詩のような形をとりながら最後までしっかりと西瓜糖の世界とそこに暮らす人々の物語が紡がれる。ページをめくるたびにワクワクしながら「アイデス」や「忘れられた世界」に想いを馳せました。西瓜糖やそれで作ら...続きを読むれる様々なもの、虎、鱒……穏やかな世界と穏やかでない人々。情景は読んだ人の数だけ存在するような気がしました。非常に想像力が掻き立てれる世界観で、そこが私にはとても新鮮に感じました。
Posted by ブクログ 2019年11月03日
パキパキと区切られているのが詩集みたいでさらさら読める。幻想的で透明感もあるけれど、インボイル達の最期が狂気じみている。さらさら読めるのに陰があるせいか、不思議な読後感。
Posted by ブクログ 2019年03月04日
静謐で優しく、「過度なもの」が何もない世界。そこにはまるで死後の世界のような空気が漂っていて、読んでいるとなんだか足元が覚束ないような不安に襲われる。世界の成り立ちや歴史は明確に説明されないし、「虎」や「失われた世界」がなんだったのかは結局分からない。失われた世界にあった過度なものに魅せられた人々は...続きを読むみんな自壊してゆくが、作者はそれを否定も肯定もしない。もちろん、それと同じまなざしはアイデス側の人間達にも向けられているが。ほんのりと懐かしい甘い香りがしそうな、まさしく「文学」と呼ぶべき小説だった。
Posted by ブクログ 2023年07月09日
こういう小説ひっっっさしぶりに読んだ!!
言葉選びが好きすぎて前半ニコニコしてたんどけど、後半が割りと不穏な展開でビビり散らかしてた。
でも何故かひとつひとつの文章が心に染みてくるという不思議な感覚……。
全部の文章が凄かったが一番よかったのは64ページの文章かな。
2行だけでこんなブッ刺さるなんて...続きを読む思ってなかったよ。
Posted by ブクログ 2022年04月29日
不思議な町、世界の話。
最初、西瓜糖ってなに?って思ってぐぐった。
西瓜糖を原料としていろいろなもの(家とか)を作ってる世界の話。
世界観は好きだったし、
ブログみたいな感じでサブタイトルがあって、
そのサブタイトルに対する文章が短くて区切りがいっぱいあって
とても読みやすかった。
最初は??が...続きを読む多かったけど、
後々わかってく部類の小説か?と思ったら
そんなにわからない部類の小説だった。
インボイル率いる軍団が、
集団自殺をした場面は、
それまでの素敵な描写と相反してすごく際立ってたし
グロテスクだった。
村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の、
世界の終わりの部分をもうちょっと現代風にした感じ。
わたしの想像力がもっとあればもっとこの世界観を想像できたんだろうなぁと悔やまれる。
想像力が試される小説。
まだ続くんだろうな〜って思ってページをめくったら、
めくる前のページが最終ページだったという。
終わりがよくわからなかった。
Posted by ブクログ 2022年02月08日
現代的な感覚からすると、世界観に設定が少なく、物足りない気もするけれど、だからこそ古臭くならないのかも。由来は異なるけれど、シュルレアリスム絵画に描かれる無意識の世界のように感じた。
また、後世の多くの作家と作品に影響を与えていることも読み取れた。忙しなく読み進めてしまったけれど、もう少しゆっくりし...続きを読むた時間のなかで読んでみるとまた違った印象を持つかもしれない。
Posted by ブクログ 2021年10月18日
過度な感じが全くない、死後の天国のような世界には、常になにかに脅かされているような、ヒヤヒヤさせられるような、生暖かい恐怖のようなものを感じる。
リアルさの欠ける不思議な世界観のなかで進んでいく物語も、欠如している部分が多い。
村上春樹好きのフォトグラファーにこの本を教えてもらいはじめてリチャー...続きを読むドブローティガンを読んだが、私なりの腑に落ちるまでもう少し時間がかかりそう。
アメリカの鱒釣りもいつか読んでみたい。
Posted by ブクログ 2021年10月03日
静かでどこか浮遊している感覚に陥るような、はじめて味わう読書体験だった。
日常に疲れた時、この本に戻って、あるようなないような世界に思いをはせたい。
Posted by ブクログ 2020年01月04日
光るお墓など、死のメタファー(概念)とインボルトたちの生々しい死。西瓜糖での暮らしは豊かなのに、何処か死に近いような危うさを感じた。とても不思議な作品。