リチャード・ブローティガンのレビュー一覧

  • 西瓜糖の日々

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     深読みする必要はないのかもしれない。
     そこにこの世界がある。それを素直に受け止め、そこに身を置く感覚でいいのかもしれない。

     しかしただの穏やかで牧歌的な世界というのではなく、アイデス(iDEAETH)という名のとおり、常に死を感じさせ、どこかさみしげだ。そしていつも不安とともにあることをも感じさせる。

     不思議な世界観で、どこがどうというのは難しいけれど、それでもなんか、とても良かったな、と言いたくなる作品。

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    2026年01月29日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    44歳になった作家が、第二次世界大戦終戦頃、1940年代にアメリカ・オレゴン州で過した少年時代を振り返る。
    ブローティガンの自伝的な、生前最後の幻想小説。
    旧題「ハンバーガー殺人事件」。
    アメリカの土埃の向こうに霞んで見える、風に吹き払われて消えてしまいそうな少年時代の日常。
    貧困生活。気晴らし。遊び。帰還兵。後悔。

    乾いた、埃っぽい少年時代。すべて一歩離れた場所から見ているかのような感覚。とんでもないことをしてしまった時の焦りと困惑、生涯引きずる後悔も、全部なんとなく私にも覚えがあってノスタルジーに満たされる。

    娯楽がNetflixやSNSなどの「与えられる」刺激と違って、自分の想像力で

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    2026年01月29日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    言葉遣いやリズムはそのままに、内容はかなり小説然とした印象。誰にだって、ハンバーガーではなく銃弾を買ってしまうことがあると思う。

    「何の前触れもなく母が言った。……「そうね。ハンバーガーを買うべきだったかもしれない」」p.165

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    2026年01月15日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    どこまでもどこまでも物語の行末が気になって、気持ちがふわふわして落ち着きがない。それでいて哀しみに溢れているこの世界(小説)に浸っていたくなる。正直に書こうと思うとそんな感想になる。
    少年の気持ちがストレートに表現されそれは嘘偽りないように思えるし、そこに起こる出来事はどこか幻想的で掴みどころがなく土埃のように舞い上がり消えていくようだ。
    ブローティガンの生前最後の小説である『ハンバーガー殺人事件』を改題し新訳で筑摩書房より発行された(訳者は変わらないが新しい解釈で)。
    このような手に取りやすい状況にしてくれて、本当にありがたいと思わせてくれた作品です。

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    2025年12月27日
  • 風に吹きはらわれてしまわないように

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    大学生のころ八王子のくまざわ書店の棚にあるハンバーガー殺人事件は見たはずだ。でも読まなかったのは、既に読んでいた、愛のゆくえをあまり面白く思わなかったからか。でも、その後文庫になると読むようになって、そのナイーブさに感動するようになた。
    若い人の中にある死のイメージ。それを老境になってから読めたのは、かえってグッドタイミングだった。

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    2025年12月13日
  • 西瓜糖の日々

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    小川洋子さんのエッセイで
    取り上げられていたことから興味を持って。
    読み始めてすぐに、”出会ってしまった”と思った。
    生涯本棚に残しておきたい一冊。

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    2025年11月29日
  • 西瓜糖の日々

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    解説を読んだことを後悔した。この小説がどんな人に書かれて、そのときの時代背景のことなんか、全く知る必要はない。解釈も考察もいらない。ただ、西瓜糖で作られた橋やたくさんの川が流れる世界があって、九九を間違って教えてくる虎に両親は食べられてしまう。そのままのそれだけの世界。

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    2025年11月10日
  • 西瓜糖の日々

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    村上春樹と川上未映子の対談本で紹介されていたから手にとってみた。(確か)

    情景が映画を観るように想像できて、独特な世界観にどっぷりと浸かれた。

    読んだ後、ジーンと残るものがある。

    「こんな小説は初めて」な読書体験。
    読めて良かった。

    本に出てくる「忘れられた世界」は私たちの今住む世界なのかなと思う。
    アイデスは穏やかな世界なんだけど、なんか住みたくない…
    住人もみんな穏やだけど、どこか寂しそうで不憫な感じ。

    これは絶対また読み返したい。

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    2025年03月04日
  • 西瓜糖の日々

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    「そういうのはずるしてる、というのじゃないのかな」

    「風が起こって、窓がかすかに震えた。風で、脆そうに半開きになった砂糖」
    綺麗すぎるイメージ

    「わたしたちが恋人同士になると、かの女は夜の長い散歩をやめた、でも、わたしはいまでも散歩する。夜、長い散歩をすることが、わたしは好きなのだ。」
    怖い

    マーガレットが好きだった

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    2023年09月12日
  • 西瓜糖の日々

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    牧歌的、といって良いだろうガジェットの中で行き交う現在はフィクショナルで至極自足している、かに見えるが、その円やかな事物の間隙から立ち上がってくる哀惜のノイズ、その鳴りが美しいような物語でした。冴えた月の円かさであるような。ソフトな手触りなのだが、明らかに、幽かに、かなしみを籠めてザラついている。かっこよかったです。

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    2023年04月30日
  • 西瓜糖の日々

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    発熱した状態で読むには非常に適した小説だった。筋らしい筋はほとんどない。ひたすらブローディガンの夢幻的世界観が詩のような文体で綴られている。何よりもページ数が少ないのが良かった。解説にもあったが、これを単にヒッピー文学として理解してはいけない。ことさらに提示されるのは楽園の中にあるかすかな不安であり、それは死の世界に近い。インボイルが主人公たちに見せつけようとしたのは、まさにこのことだったのだろう。ただ健康な状態で読めばまた感想が変わるかもしれない。あと、この文体でもう少し長いのを読んでみたいから、また別のブローディガンの作品を読んでみたいと思う。

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    2023年02月22日
  • 西瓜糖の日々

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    夢と現実の狭間を漂うような不思議な世界観。 みんな色々な感情に溢れ、今ここにいる人にもいなくなった人にも囲まれ、生と死、光と闇の中を行ったり来たりしながら生きている。よく分からないけど惹き込まれる。

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    2022年08月23日
  • 西瓜糖の日々

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    「西瓜糖」と「鱒の孵化場」など暗喩のような言葉がちりばめられた幻想的な本。

    「ずっと以前、さいごの虎が殺されその場で焼かれたすぐあとで、アイデスに鱒の孵化場が造られた」
    その虎はあたしたちと同じ言葉を話すし、算数もできる。

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    2022年04月02日
  • 西瓜糖の日々

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    これは方向をもった流れのどこか一部分だ。心地よい夢は(心地よい夢)だったものになり、世界は灰色になってゆく。黙る!無音の世界に憧れる、死人に口なし?別に支離滅裂でなくて、どこかなにかイメージでつながっている。というより流れ?あたかも"桂馬みたいなマジカルバナナ"の方式で書かれたと思う。

    誤解を恐れず思いついたままに書くと、僕の好きな男が書く文書はちょうどこんな感じで、だから結構好きだった。あくまで"結構"だけれど。藤本和子氏の訳がいいのかしら?

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    2026年02月15日
  • 西瓜糖の日々

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    僕らの住む世界の遠く、西瓜糖の世界での物語。

    要するに幻想、あるいはSF小説のようにこの世界とはぼんやりと差異のある世界での物語でありそこに暮らす人々の物語である。調べると村上春樹が影響を受けているのではないかという記事も出てくるがなるほど納得の現実と幻想の中間、半目で夢を見ているような物語。村上春樹ほどハキハキと物語が切り替わっていくわけではないのでこの世界に浸れるかどうかで読後の感想も違うと思うが個人的にはこのほんのりと甘い世界が心地よくぬるま湯に浸かっているような物語だった。

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    2026年01月14日
  • 西瓜糖の日々

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    2026/01/13(猛烈に読みたくなり再読)
     西瓜糖でできた世界、ガラスの柩……透明で美しい平穏な暮らしの奥に仄めかされる暴力性、まほろばって結局暴力や誰かの犠牲なしでは成立し得ない。そういう危うさが詩的な世界で巧みに表現されている素敵な作品

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    2026年01月13日
  • 西瓜糖の日々

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    『鱒釣り』や『芝生の復讐』といった短編とは異なり、章ごとに独立はしながらもまとまった緩やかな時間が流れていく感じがする。全体的に穏やかで農村的で、しかしディテールが鮮明に思い浮かぶことはない霞がかった世界。みんな謎の仕事をしている。

    「​──そのことを話してあげよう。
     そう、なにもかも、西瓜糖の言葉で話してあげることになるだろう。」(p.11)

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    2026年01月03日
  • 西瓜糖の日々

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    ネタバレ

    西瓜糖の日々

    小川洋子さんのやっているラジオ番組で取り上げられていて興味を持ちました。
    はじめてのブローディガン。
    iDeathというコミューンとそれに隣接している忘れられた世界。静かな毎日の中に不穏な空気があり、だんだんと破綻に向かっていく。
    ヒッピームーブメントやコミューンの流行の最中の小説家と思いきや、その前の小説ということでびっくり。時代の先を感じる作者の感性のなせる技なのか?
    人と人が関わるところには必ず現れる関わり合いの澱のような不安定さも良く描けていると思います。
    今、ブローディガンが小説を書いたら、どんな未来を予見してくれるんだろう?とふと思いました。

    竹蔵

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    2025年10月19日
  • 西瓜糖の日々

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    西瓜糖、アイデス(iDEATH)、忘れられた世界、鱒の養殖場、歌う虎、川に沈む棺…
    魅力的で妖しい言葉の数々が、穏やかで閉じた世界を描き出す幻想小説。
    物語をあるがままに受け取ることが得意な人、物語の筋書きより手ざわりを愛しむ人には、たまらない一冊だと思う。

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    2025年05月29日
  • 西瓜糖の日々

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    村上春樹以前の村上春樹的世界とでもいえばいいのか。
    並行現実のしずかな営みにある、狂気。だれもが自分が正しい。

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    2023年12月22日