佐藤信夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ後半部分に関してはまあ、
難易度がぐーーーーんとはねあがってくださります。
なんとなく文章にその兆候は
漂っているものの、要注意ですね。
言葉をこう表現するのって
人によってさまざまなプロセスがあったり
手法を用いていたりします。
たとえばど真面目だからこそ、
言葉で遊ぶ手法を用いた漱石。
もうすでに出ている事実を
さらに強調することをした
井上ひさし。
なんか似たような語呂合わせで
遊んでしまう筒井康隆。
個人的には井上ひさしの
解説が面白いように思いました。
くどいほどの表現って
まさにわざとらしいですし。
後半に関しては、
高度な解説になっています。
言葉とはなんぞ、という
-
Posted by ブクログ
レトリックは元来、表現の説得性を追求する技法および芸術性を追求する技法としてのみ重要視されてきた。それゆえ脚色を嫌う現代の科学的合理主義のもとで、レトリックは無意味かむしろ害悪なものとして葬られてしまった。しかし、それはレトリックの価値を大きく見誤っていると著者は嘆く。〈本当は、人を言い負かすためだけではなく、ことばを飾るためでもなく、私たちの認識をできるだけありのままに表現するためにこそレトリックの技術が必要だったのに。〉感覚や印象をありのままに表現し伝達するための技術として、レトリックに新たな側面から光を当てる意欲的な良書。
「言語の弾力性」という言葉が印象的。言語が確かな質感を持つ生き -
Posted by ブクログ
レトリックは単に言葉を装飾するためのものでも、相手を説得するためのものではない。
そうではなくて、自分自身の認識を正しく表現するために使うものである。
本来言葉というのは圧倒的に足りないのであって、
たかの知れた自分の一人の気持ちを正直に記述するためにも、
できるだけありのままに表現するためには用意された言葉だけでは不十分。そこで必要となるのが、言葉のあやだ。
「発見的認識の造形」というレトリック第三の機能に注目し、直喩・隠喩・換喩・・・と基本的なレトリック技法それぞれを解説していく。
ことばって面白い。
以下、メモ。
・コミュニケーションにおいて自分自身の表現したものが相手に正しく -
Posted by ブクログ
レトリックの役割は
1. 人々を納得させる弁論術
2.言葉に面白みを持たせる修辞術 の他に、
3.既存の単語で表せないものを表現する想像的認識 があることを主張している。確かに言葉のあやによって、既存の表現では表すことのできない現象・事象を表現し伝えることができるし、言語とはそういうものであるといった主張はもっともである。このあたりのくだりは非常に興味深く読ませていただいた。
しかし、その後各レトリックの詳細を説明していく部分がやや冗長であったように思われる。古典文学の教養がない小生には少々ハードルが高かったようだ。とはいえ、言語について、修辞について真剣に考えてみたくなった人にはお勧めできる -
Posted by ブクログ
直喩:ふたつのものの類似性を作り出す
隠喩:埋もれている類似性を発掘する
換喩:流動的な隣接関係を示す
提喩:類と種の関係性を用いる
誇張法:言語の性質である嘘と甘えに頼る
列叙法:現実のサイズを表す列挙法とクライマックスへの漸層法
緩叙法:肯定文にはない可能性を見出す
先日読んだレトリック認識の前編。
提喩の分析にびっくりした!
全体と一部の関係だと思ってたのにむしろ換喩で表されるものだとは。
提喩は人間=頭∪腹∪腕∪…という対等な意味概念での比喩ではなくて
人間=霊長類∩二足歩行∩言語使用∩…という属性の比喩なんですって。
これきっといろんな人が勘違いしてるんじゃないかなぁ。 -
Posted by ブクログ
黙説あるいは中断:意味の産出を読者に分担させる
ためらい:相対化し、印象づける
転喩あるいは側写:相を転じて見せる
対比:類義関係に対義を見出す
対義結合と逆説:意味接続の常識に反逆する
諷喩:ふたつのものがたりが並行する
反語:意味を反転させる
暗示引用:受け手を選別し、理解を求める
ふだん何気なく読んでいる文章には
こんなに技法が使われていたんだ!と目からウロコ。
名前は知らないけれど浸透しているレトリックの多いこと。
文章術みたいな感じで易しく読めます。
「おなじ類義語の対が、コンテクストによって設定された対比的な席に座を占めたとたんに、臨時の対義語となる……。しかし、どちらのことばも