佐藤信夫のレビュー一覧
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レトリックとは、ことばをたくみにもちい、効果的に表現すること、そしてその技術
レトリックの目的は、2つ
・説得の技術であること
・芸術的は、あるいは、文学的な表現の技術であること
ローマで集大成したレトリックの理論システムは5科目
①発想:アイデアを発見する
②配置:序論―陳述ー論証ー反論ー結論
③修辞:表現方法
④記憶:話ことばとしての記憶術
⑤発表:発表の仕方、顔、姿勢、手のあげかた、所作
そのうち、現代のレトリックとは、③の修辞にあたる
比喩の種類について紹介しました。まとめると以下のようになります。
直喩:シミリー、シミリーチュード Simile 「~のような」「~み -
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(2)猫は猫でない、の修辞について
*走ることの最も遅いものですら最も速いものによって決して追い着かれないであろう。なぜなら、追うものは、追い着く以前に、逃げるものが走りはじめた点に着かなければならず、したがって、より遅いものは常にいくらかずつ先んじていなければならないからである
(アリストテレス全集 自然学から引用)
問.アキレスは亀の何を追いかけているのか。
○運動するが変化しない
どんなにアキレスと亀の間に距離があってもアキレスが最も速いものであり亀が最も遅いものであるのだから、アキレスは亀にいずれ追いつくと仮定する。しかし追いつかれた亀がアキレスの意欲した瞬間のあの亀と同じだとは限 -
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ネタバレレトリックは、私たちの言語感覚の深いところにひそみ馴染んでいるというのがよく分かる本だった。
世の中にはいろいろな言葉があるけれど、そうした標準化された既成の言葉を使って、人の数だけある個々の現実、それも時々刻々と変化するものを表現するのは、思っている以上に挑戦的な試みなのだと思わされる。
新しい認識を聞き手と共有するために比喩表現を用いたり、どう言っても虚偽の混じりそうな言葉をあえて誇張して聞き手の理解を求めてみたり、緩叙法では肯定否定の比較を通して心情の流動性までも表したり。そうした工夫が至る所でごく自然に行われているのだから、驚いてしまう。 -
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ーーーアリストテレスによって弁論術・詩学として集成されたレトリックは、言語に説得効果と美的効果を与えようという技術体系であった。著者は、さまざまの具体例によって、日本人の立場で在来の修辞学に検討を加え、「ことばのあや」とも呼ばれるレトリックに、新しい創造的認識のメカニズムを探り当てた。日本人の言語感覚を活性化して、発見的思考への視点をひらく好著。
ネットでの評判を見て珍しく買ってみた新書
普段俺たちが何気なく使っているレトリック。
その比喩や誇張法の類を、古典修辞学書や小説の引用をもちいて機能の解剖を行う。
中でも1,2章の直喩、隠喩と7章の緩叙法が
「書かれていること」と「比較されてい -
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レトリック-言葉の文彩(あや)について、実際の小説の一部をなど参考にしながら、表現のもたらす意味やその役割について考察していく本である。この実例が非常に分かりやすく、軽い気持ちで手に取った人にも納得させてしまうような説明を繰り広げてくれる。加えて、著者の気持ちが伝わってくる軽やかな説明口調が心地よい。
直喩は、共通認識を確認、隠喩は相手にゲーム性を求めるものである。ゆえに、小説などでは読者はそのゲーム性を楽しんでいるのだ。換喩は、対象の一部をズームして表現すること、提喩は並列・直列(または、および~)の事である。
誇張法は、文字通り大げさに表現することである。ここでは、相手に間違いを伝