五十嵐佳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
40年間、武家の奥様に仕えた「さゆ」
奥様を亡くし、実家に戻ったがやることはなく
寂しいばかり。
幼なじみの「小夏」との会話をきっかけに
料理が好きだという気持ちを思い出し
小さな茶店を開くことにする。
商うものは、小さな急須でお客様の好みに合わせて淹れるお茶と飴色のたれをとろっとかけた小さな白い団子のみ。
五話の短編になっていて、読みやすい
町の人たちや、実家の姪、昔の奉公先の与力さんや
奉公先で少し恋心を持った方など、出てくる人たちの気持ちも優しくほっこり出来る。
各話で出てくる季節のお料理も、素朴で丁寧で彩りが目に浮かぶようだった。 -
Posted by ブクログ
地震で身重の母を亡くした結実は産婆になろうと決意し、十二歳から祖母の元で修行に励む。
全ての子どもが望まれ愛されるわけではない現実と、それでも子どもを愛し産み育てる者もいる現実とを描く点は好ましい。「運を天に任せるしかないがそれでもきっと生きていることは尊い」という作者のメッセージが伝わってくる。
ただストーリー展開が早く、出産や育児に纏わる苦しみと悲惨、喜びと幸福がバランス良く描かれているとは言えない。激動の時代を舞台にしながら、その必然性もいまいち伝わってこない。ラストも予定調和という印象が否めない。悲惨になりすぎない話が読みたい人にはお薦め。 -
Posted by ブクログ
朝ドラ『エール』のモデル、古関裕而・金子夫妻の物語。
ドラマとは違う部分がいくつかある。
顕著なのは志村けんさん演じる小山田のモデル・山田耕筰がドラマとは真逆で常に裕而を応援してくれていることと、金子の母親みつが当時としては典型的な母親、つまり金子には歌手という夢を見るのではなく身元と経済力がしっかりしたよき男性の元へ嫁いで欲しいと望んでいたこと。
一方、ドラマ内で夫婦が時にバカップルばりに二人で盛り上がっているシーンがあるが、実際のところもかなりの熱々振りだった。
序盤には元々文通から始まった二人の往復書簡が綴られているのだが、読んでいるこちらがドキマギしてしまうほどあからさまで熱く盛り