五十嵐佳子のレビュー一覧
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25歳のせいは菓子屋の俵屋で働いていたが、その奉公先が店を閉じることになってしまった。まさかこの歳で仕事を失うとは思ってもみなかったが、運良くお運びの仕事と近くのなんてん長屋に住めることになりホッとしていたらとんだ災難が…
元の奉公先の女主人が突然やって来て一緒に住みたいと言う。特に義理があった訳でもないのに。迷惑極まりないが無下にも出来ず、家族でもない者と狭い長屋に一緒に住むことになってしまう。
個性豊かな貧乏長屋の住人達と元女主人は上手くやっていけるのか?
困っている人をほっとけない江戸の人情物語。
文字が大きめで難しい言い回しが無いので時代小説初心者の方には読みやすい一冊です。 -
Posted by ブクログ
40年間、武家の奥様に仕えた「さゆ」
奥様を亡くし、実家に戻ったがやることはなく
寂しいばかり。
幼なじみの「小夏」との会話をきっかけに
料理が好きだという気持ちを思い出し
小さな茶店を開くことにする。
商うものは、小さな急須でお客様の好みに合わせて淹れるお茶と飴色のたれをとろっとかけた小さな白い団子のみ。
五話の短編になっていて、読みやすい
町の人たちや、実家の姪、昔の奉公先の与力さんや
奉公先で少し恋心を持った方など、出てくる人たちの気持ちも優しくほっこり出来る。
各話で出てくる季節のお料理も、素朴で丁寧で彩りが目に浮かぶようだった。 -
Posted by ブクログ
地震で身重の母を亡くした結実は産婆になろうと決意し、十二歳から祖母の元で修行に励む。
全ての子どもが望まれ愛されるわけではない現実と、それでも子どもを愛し産み育てる者もいる現実とを描く点は好ましい。「運を天に任せるしかないがそれでもきっと生きていることは尊い」という作者のメッセージが伝わってくる。
ただストーリー展開が早く、出産や育児に纏わる苦しみと悲惨、喜びと幸福がバランス良く描かれているとは言えない。激動の時代を舞台にしながら、その必然性もいまいち伝わってこない。ラストも予定調和という印象が否めない。悲惨になりすぎない話が読みたい人にはお薦め。 -
Posted by ブクログ
朝ドラ『エール』のモデル、古関裕而・金子夫妻の物語。
ドラマとは違う部分がいくつかある。
顕著なのは志村けんさん演じる小山田のモデル・山田耕筰がドラマとは真逆で常に裕而を応援してくれていることと、金子の母親みつが当時としては典型的な母親、つまり金子には歌手という夢を見るのではなく身元と経済力がしっかりしたよき男性の元へ嫁いで欲しいと望んでいたこと。
一方、ドラマ内で夫婦が時にバカップルばりに二人で盛り上がっているシーンがあるが、実際のところもかなりの熱々振りだった。
序盤には元々文通から始まった二人の往復書簡が綴られているのだが、読んでいるこちらがドキマギしてしまうほどあからさまで熱く盛り上がっている。
しかもその熱々振りは終生変わらなかったようで、それもまたこの時代の夫婦としては珍しい。
プロ作曲家となってしばらくヒット曲が出なかった裕而だが、夫妻の生活が苦しくなることはなく、むしろ金子は歌の勉強を通して様々な人脈を作り、裕而ともども親交を深めて楽しんでいる。
だが中盤以降、戦時中の話に移るとさすがに二人の暮らしも気持ちも変化が出てくる。
裕而は従軍作曲家として様々な激戦地を回り、時に危険な病に罹ったり時に攻撃を受けて危険な目に遭ったりしている。
だが皮肉なことに裕而が作った様々な軍歌や戦意高揚のための映画の音楽は次々ヒットし、裕而の名声は高まっていく。
一方で金子は子供たちや家を守るため、周囲の人々と地域を守るために奔走している。
戦後の裕而の活躍は知られている通りだが、その心の奥底にあったのは、いかに軍部に命じられたこととは言え、自分が作った曲で戦地に赴き若い命が多数散ってしまったことへの悲しみ苦しみ悔い…様々な思いがあったのだろうことは想像出来る。
そんな時にも常に寄り添い、常に様々な前向きなものを追い求め実践していく金子のパワーは、裕而の何よりの慰めであり作曲の源になったのだろう。