あらすじ
隠居したおばあちゃん、好きなことを仕事にします! 四十年勤めた武家奉公を終えたさゆは、甥夫婦が営む薬種問屋に身を寄せて隠居するも、これまでの充実した日々から一転、張り合いのない生活に嫌気がさしていた。幼馴染の小夏との再会をきっかけに、「自分のやりたいこと」は何かを考えた末、家族の反対を押し切って茶屋「蒲公英」を開店。五十五歳にして初めての商売、町家暮らしに戸惑いながらも、料理上手で聞き上手なさゆのもとには、悩みを持つ人が訪れるようになり――。長年の武家奉公で鍛えた料理の腕と生きる知恵で、江戸の人びとの心を癒やす人情時代小説。文庫オリジナル。 〈目次〉第一話 桜ほろほろ 第二話 蕗に筍、宵の風 第三話 花かつお、香る 第四話 ツツジの花が咲く前に 第五話 茜色の夕暮れ
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
おさゆさんのお料理やお団子が食べたくなりました
読んでいる最中もずっと傍にお団子と美味しいお茶があるような気がしていました
俊一郎のこと、お鮎のこと、どんな展開か分からないけど、分からないのがいいんでしょうね
Posted by ブクログ
江戸時代の産婆修行の女の子を描いたシリーズの作家。
今回は、武家奉公に出た先が美味しい食べ物が好きで、奉行を歴任した重臣でありながら、自分でも台所に立って料理もする家だった。
大きな商家の娘で自宅にいた時は包丁さえ握らなかったおさゆ。
だがお家の家風に馴染み、美味しいものへの探究心でみるみる料理上手に。
奥方様と相性が良かったこともあって、嫁に行かずに歳をとるまで働いた。奥方様が亡くなって実家に戻るも、何もしないことに気分が膿み、一念発起で茶屋を。
そのきっかけは街中で偶然再開した幼馴染。
茶屋で繰り広げられる人間模様や、元奉公していた武家のつながりなどで、ただの茶屋にとどまらない人間の物語が。
Posted by ブクログ
40年間、武家の奥様に仕えた「さゆ」
奥様を亡くし、実家に戻ったがやることはなく
寂しいばかり。
幼なじみの「小夏」との会話をきっかけに
料理が好きだという気持ちを思い出し
小さな茶店を開くことにする。
商うものは、小さな急須でお客様の好みに合わせて淹れるお茶と飴色のたれをとろっとかけた小さな白い団子のみ。
五話の短編になっていて、読みやすい
町の人たちや、実家の姪、昔の奉公先の与力さんや
奉公先で少し恋心を持った方など、出てくる人たちの気持ちも優しくほっこり出来る。
各話で出てくる季節のお料理も、素朴で丁寧で彩りが目に浮かぶようだった。