藤崎彩織のレビュー一覧
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この本は、解説を宮下奈都さんが書いているので、本屋さんで手に取りました。後から「セカオワのキーボードは藤崎さんという名前の女性で、数年前に小説を書いて直木賞候補になったニュースを見たなぁ」と思い出しました。でも、本を読んでいてそれに気がついたのは、なんとラジオがDJでバンドに参加するシーンでしたので、もうお話としてはクライマックスでした。何という世間知らずで鈍いこと。でも、購入前に知っていたら、おじさんとしては本屋さんで手に取っても元に戻していたかも・・・ミーハーであるがゆえに。藤崎さんの見た目通りの繊細さが文章にも表れていて、よい本を読むことができてよかったです。
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「野生の獣のように、月島は美しかった。」
沙織さんの、この表現力が心を震わせた。
SEKAI NO OWARIというバンドが好きだったから、興味本位で読んだ。
だが、興味本位で読むものでは、なかった。
読み進める度、最初の方はとても苦しく、ページをめくる指はとても重かった。出来れば、もう読みたくないと感じるほど、私の心は、揺らされていた。
夏子は、良くも悪くも月島に依存していたのではないか。月島も、そうだ。
この、ふたりの名前の無い関係。
振り回され、傷つけ、傷つけられ。
悲しかった。苦しかった。でも、素敵な物語だった。
素晴らしかった。 -
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母親として、女性としてのリアルが綴られていた。「子育てが苦手でも」ははっとさせられる内容だった。女性が出産をすれば、自ずと母性が芽生え、我が子のために必死に子育てをするものだと、ほとんどの人が信じている。他のことは、勉強も運動も向き不向きがあると知っているのに、子育ては無条件に母親はできるものだと思っている。多様性が謳われる現代であっても、人々の固定観念は根強いのだなと感じさせられる。本の中で、彼女が何かの答えを見つけているわけではない。しかし、私達よりも多くの人に影響を与えられる人が、言葉を残すことが何かのきっかけになるのでは無いだろうか。みんなでねじねじ悩めば、何か変わるかもしれない。
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◯忙しい時ほど、手間のかかることが自分の心を癒してくれることがある。(27p)
◯こんな損な仕事ないよ、と拗ねたくなる時もあるけれど、録音したボーカルテイクを聞くと「何て素晴らしい仕事ができたんだろう!」といつの間にか思っているのだから仕方がない。(36p)
◯ごく少数の人間に届くものだけが崇高な芸術なのだろうか。(58p)
◯答えの分かっている問題に飽きずに答えて欲しいし、同じ問題だと分かっていても呆れないで欲しい。(113p)
◯『わざわざ』やったことの本質を見失わずにいられれば、私の悪いところも100から1つ減らすことが出来るかもしれない。(169p)
★セカオワのサオリさんの -
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SEKAI NO OWARIの彩織ちゃんの妊娠、出産、育児のおはなし。
すごく、キラキラしたステージで優しく微笑む彩織ちゃんは、結構人間臭い(語弊あるかな?)のは知ってる。
みていて、すごくリッパナヒトってよりも、
実は私たちと同じヒトであり、ただちょっと(?)大きなステージでキラキラしている舞台に立っているし、
そのプレッシャーとか責任とか、ヒトより多く持っている。
だから、
同じ様に、働きながら妊娠して、
男性社会で働きながらのつわりのしんどさに弱音が吐けないし、
出産するのも、大変だし、
働く母として、育児はもっと大変!
よくSNSで、メンバーが息子くんを可愛がっている姿を見るのですが -
Posted by ブクログ
音楽家として、母親として、一人の女性として、妻として、人として、様々な視点から語られるエッセイ集でした。主に2019年後半、2021年前半から中盤と書き下ろしの構成。なので本書の半分くらい読み進めた頃でコロナという単語も出てきます。
著者の書籍を読むのは初めてで、SEKAI NO OWARI / End of the Worldの音楽に関してもライトなファンくらいで、興味深く拝読。
インタビューもまったく読まないので、作曲コンペの話が面白かったです。普通の会社員をやっている自分からしたら、効率悪いな、とか思ってしまいますが、そういう問題ではないのでしょうね。
海外向けの名義のアルバムもかな -
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月島と夏子。ふたごでも恋人でもない二人。
月島は自分らしく気ままに生き、側にいる夏子は振り回される。一緒に落ちては進み、互いに傷つき傷つけ合いながらも離れられない二人の距離感が印象的。
どうしてもセカオワの二人を想像してしまうけど、小説としても十分面白い。
ときおり出てくる月島や夏子の言葉が刺さる。
・お前は自分で選んだ人生を生きているのか?
・結局みんなが乗っている列車に乗らないことは、月島らしい選択に思えた
・なっちゃんには、俺と同じ景色を見ていて欲しいんだよ。
・ふたごのようにずっと隣で時間を共に共有してきた月島は、私のことをひとりぼっちにもしたけれど、ずっと一緒に夢を見ていられる友達