あらすじ
「ねじねじと悩みながらも、前を向くのだ」
SEKAI NO OWARIのメンバーであり作家の藤崎彩織が、音楽を作って悩み、文章を書いて悩み、子育てをして悩み、音楽家として母として妻として悩み落ち込みながらも何とか前へ進もうとする日々の思いや風景を、本音で丁寧につづるエッセイ集。
誰かの、どうしてもうまくいかない日に、救いとなる一冊です。
その日のライブを振り返っていた私に深瀬くんは言った。
「サオリちゃんって、いつもねじねじ悩んでるよね」
「ねじねじ?」
「そう、なんかいつも難しい顔しててさ。ねじねじ悩んでるって感じするじゃん」
確かに深瀬くんの言う通り、私の悩み方は、『くよくよ』でも『うじうじ』でもなく、『ねじねじ』である気がする。
『ねじねじ』という言葉からは、大小さまざまな歯車が絡み合っているような様子が浮かんだ。
ああでもないこうでもないと、前に回ったり後ろに回ったりする歯車。
上手く嚙み合わずに何度も止まりながら、何とか回ろうとする歯車。
ねじねじ。まるで自分の頭から聞こえてきそうな音だと思った。
(本文より)
【著者からのメッセージ】
文章を書いて人に読んで貰いたい。その気持ちが自分の中でとても強いものになって、身体の中でねじねじと空回りしている数年間を過ごしていました。
制作に行き詰まり、焦っていたぶん、正直になりすぎた気もするけれど、私はこのエッセイを書くことで救われました。
読んでいただけたら嬉しいです。
藤崎彩織
【著者紹介】
藤崎彩織ふじさき・さおり
1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た4人組バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。文筆活動でも注目を集め、2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となるなど、大きな話題となった。他の著書に『読書間奏文』がある。
感情タグBEST3
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小説「ふたご」もすごく好きだったが、やっぱりこの方の文章はすごく密度が濃くて、書きたいこととの向き合い方が丁寧で真摯というかんじがして、とても好きだった。雑草とそうでない植物の線引きを考えてたときとか、飲みすぎて気が大きくなってたときとかのエピソードがよかった。
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日頃は特段、人に話したり口にしたりはしないけれど、思考していることは結構たくさんある。
自分の価値観であったり、人生観?であったり、自分を形作っているような無くてはならない物事の捉え方の感覚。
他人が物事に対してどのように捉えたり解釈したりするかは未知ですが、このエッセイは「私だけじゃなかった」と思わせてくれました。共感の嵐です。読後、さおりさんと勝手ながらお友達になったような感覚になりました。笑
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タブーと思われがちなこと、書くのに勇気がいっただろうなと思うこと、ふっと頬が緩むこと、新発見なこと。
あらゆる面白さが詰まっていて、とても励まされました。
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やっぱりさおりさんの文章大好き、落ち着く
同じようなことで悩んでいて嬉しい。
さおりさんみたいな大人になりたい
多角的な視点にハッとした、私はまだまだ視野が狭い
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初めてのエッセイ。僕がセカオワのファンでなければ買わなかったと思う。
本としての感想はエッセイってこういうものか…そうだよな…という感じ。
ファンとしての感想はサオリちゃんの家族との日常、バンドの裏話、思い出話を知ることができてよかった。また、それらとサオリちゃんなりの前の向き方、世間に対する考えなどが結びついていて、素敵な音楽を届けてくれるサオリちゃんの頭の中、思考が垣間見えて嬉しくなれる。
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ステージの上で輝くサオリさんにもこんな悩みがあるのかと、とても人間味溢れるエッセイ集。
子どもが産まれて、文の重みも出てきた素敵な作品だった。
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彩織さんの等身大のエッセイ集、楽しんで読んだ。性別の違いはあるもののわかるー、ってことろがいい。
これからも、いろいろなアウトプットをしていただきたい。
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大学生になって友達が上手く作れなくて、微妙に馴染めないサークルとか、よくわからないけどとりあえずこなす課題とか、これからのこととか、自分の要領の悪さとか、そんなことをすごく悩んでいる中でねじねじ録読みました。
悩みって似たり寄ったりだけど人それぞれで、自分の言葉全部を出すことができなかったり、そもそも吐き出すことを億劫に感じて結局1人で抱え込んでしまうことが多いけれど、ねじねじ録を読んで、それでいいよってさおりさんが肯定してくれた気がしました。
それと日々考えていても、結局「綺麗事」で終わってしまう、ジェンダーの問題とか、私は当事者じゃないけれど強く疑問に思っていて、何か報道されたりするたびに愚痴にしかできなかった。
さおりさんが大人の女性として、親として、言葉にしているのを読み、なんだかすごく救われました。
いくつかのエピソードにはクスッと笑えて、さおりさんらしい言葉表現で、寄り添ってくれる、温かい作品でした。大好きです。
筋肉と優しさの関係についての発表も待ってます!笑
Posted by ブクログ
2021/10/03
ふたごに続いてSaoriさんのエッセイということで、即買い。ミュージシャン、アーティストというのも表には見せない苦労がたくさんあるんだなぁと、何だかSaoriさんの心の内側を垣間見れるような、この人の等身大の気持ちが書かれているというのがすごくよく伝わってくる文章だと思いました。
Saoriさんは結婚もされて、お子さんも出産し、そんな中でSEKAI NO OWARIの一員としての活動もしていて本当にすごいなと思います。
家族を持つことによるバンド活動への影響や、それを乗り越えてさらに頑張ろうとするけど、時々弱い姿も見せて…という情景が想像できるようなストレートな文章が綴られています。
また、saoriさんの文章表現がとても多彩で、例えが分かりやすかったり、物事の視点が斬新だったりと、普段ってそんなことを考えてるんだ…!と思いました。個人的にはバンド活動や楽曲制作の裏側のこともたくさん書いてあって、知ることができて何だかSEKAI NO OWARI というミュージシャン、saoriさんというアーティストをさらに身近に感じることができる一冊になっていると思いました。
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Saoriさんの思っていること、考えていることがアウトプットされてます。得にコロナ禍でライブも出来なくなってウズウズしている時に、思いを文章に吐き出したのは良かったと思います。ピアノは上手いし、文章表現も上手い。息子さんもどう成長していくか楽しみです。今後もエッセイ出して欲しいな。長編は難しくても、短編小説出して欲しいな。
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私も悩み出すとぐるぐる考えが止まらなくて、なかなかその流れから出てこれない所があるのですが、彩織さんはそんな自分を色んな角度からある意味客観的に見つめておられる様に感じて私もそんな姿勢を真似したいと思えた。ねじねじというタイトルも歯車が上手く噛み合わずとも何度も止まりながらも回ろうとするていう姿とかかれていて その表現が良いなと思った。
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久々に藤崎さんの文章を読んだ。
SEKAI NO OWARIの曲を聴くことはないのだが、
やはり藤崎さんの文章は好きだなぁと思った。
特に好きなのはパンの話とラップの話のセルアウトのくだり。
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2024.11.18
セカオワのサオリさんのエッセイ。とても良かった。
子育てのこと、アーティストとしての活動のこと、深瀬さんとの喧嘩、かわいい両親についてなど諸々。
“数えきれないほど喧嘩をして言い合って来た私たちだけど、本当に伝えたいことは言葉にならないのかもしれない。
詩を書き、文章を書くことを生業にしている私たちが「本当に伝えたいことは言葉にならない」なんて思ってしまうと元も子もないけれどら「ごめんね」「いいよ」では済まなくなってしまう大人の世界では、多くを語らずに乾杯するということが、どんな言葉よりも意味を持つことがあるのだ。”
“子供に説明しようとすると、総じて良い人間になろうとする圧力がかかる。命の重さを教えれば無駄な殺生は出来なくなり、食べ物の大切さを教えれば無駄に廃棄ができなくなる。そこで生じるどうしても矛盾してしまう点をどうやって折り合いをつけて生きていくのか。”
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さおりさんの2冊目のエッセイ。ねじねじ録も元気をもらえて、たまには頑張らなくてもいいよねと思わせてくれるエッセイだった。読書感奏文にはなかった子育ての話が微笑ましくて、特に虫と雑草の話は考えさせられた。自分に子どもが生まれるまでにいい答えが出せる自信がないけれど、ここはポジティブに、それまでに少しでもいい答えになるようにねじねじ考えてみようと思った。
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読みやすい文章。セカオワのこと、家族のことなどのエピソード。悩むことって大事。ねじねじ悩み、何を思うのか。悩んだ人にしか見えないものがある気がする。
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エッセイ集に書き下ろしを加えた作品で、ボリュームがあるが読みやすかった。
日常生活の中で自分も経験しているはずなのに、スルーしてしまいがちな気付きがたくさんある。
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セカイノオワリのサオリさんのエッセイ集。
子育てのこととか、コロナ禍をどう過ごしていたのかとか、裏側ではこんなことがありました、ということを知ることができた一冊です。
装丁がとても素敵です。かわいい。
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飾らない人柄が文章にもそのまま表現されており気持ち良く読めました。成功者にも、多くの苦労が裏にはあり普通の人と同じだと事がわかる。日々の普通の生活が実は楽しい、有意義であるという事や無理をしなくても良いのだという事があらためて理解出来ました。
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母親として、女性としてのリアルが綴られていた。「子育てが苦手でも」ははっとさせられる内容だった。女性が出産をすれば、自ずと母性が芽生え、我が子のために必死に子育てをするものだと、ほとんどの人が信じている。他のことは、勉強も運動も向き不向きがあると知っているのに、子育ては無条件に母親はできるものだと思っている。多様性が謳われる現代であっても、人々の固定観念は根強いのだなと感じさせられる。本の中で、彼女が何かの答えを見つけているわけではない。しかし、私達よりも多くの人に影響を与えられる人が、言葉を残すことが何かのきっかけになるのでは無いだろうか。みんなでねじねじ悩めば、何か変わるかもしれない。
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「さおりちゃんっていつもねじねじ悩んでるよね」
そんな深瀬くんとの会話がきっかけって!
悩んでいる事を綺麗な文章にできるんだ、と感動。
様々なねじねじ録が詰まっている。大切な1冊。
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◯忙しい時ほど、手間のかかることが自分の心を癒してくれることがある。(27p)
◯こんな損な仕事ないよ、と拗ねたくなる時もあるけれど、録音したボーカルテイクを聞くと「何て素晴らしい仕事ができたんだろう!」といつの間にか思っているのだから仕方がない。(36p)
◯ごく少数の人間に届くものだけが崇高な芸術なのだろうか。(58p)
◯答えの分かっている問題に飽きずに答えて欲しいし、同じ問題だと分かっていても呆れないで欲しい。(113p)
◯『わざわざ』やったことの本質を見失わずにいられれば、私の悪いところも100から1つ減らすことが出来るかもしれない。(169p)
★セカオワのサオリさんのエッセイ。アーティストならではの話になるほどと思ったり、身近な悩みに親近感を感じたり。
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音楽家として、母親として、一人の女性として、妻として、人として、様々な視点から語られるエッセイ集でした。主に2019年後半、2021年前半から中盤と書き下ろしの構成。なので本書の半分くらい読み進めた頃でコロナという単語も出てきます。
著者の書籍を読むのは初めてで、SEKAI NO OWARI / End of the Worldの音楽に関してもライトなファンくらいで、興味深く拝読。
インタビューもまったく読まないので、作曲コンペの話が面白かったです。普通の会社員をやっている自分からしたら、効率悪いな、とか思ってしまいますが、そういう問題ではないのでしょうね。
海外向けの名義のアルバムもかなり長い制作時間を費やしていて、バンドの弱点はそこにあるようにも感じていましたが、不器用で丁寧、真摯な様がメンバーの一人である著者の文章から窺えます。
男性の作家が書くと非常に味気なくなる料理の描写は本当に生き生きとしていて、美しく彩り豊かな表現だったように思えました。それからお酒の話題も。ウイスキーやワインの銘柄など、知らない固有名詞をばんばん出されるのが大好きです。たくさんの種類の煌びやかな宝石を見せつけられているような楽しさがあって、もっとやればいいのにと思ってしまいます。
次回は小説を読んでみたいと思いました。