このマンガの設定とストーリーはホントに王道。
アンドロイドの少女”オデット”が自分と人間の違いに疑問を持ち、学校に通うことになり、そしてそこで出会った人間たちと心を通わせていく……というお話。
王道といわずにいっそベタといってしまってもいいかもしれない。
そんな作品が何故ここまで面白いかというとまずこのマンガが「少女マンガ」だから。
今時のマンガで「アンドロイドの少女」というともはやあざとい男性向けの萌えしか思いつかないですが、この作品にはそんな媚びた萌えはありません。
そして「少女マンガ」としての表現方法(主に心の交流や機微に焦点を置いた表現やストーリー展開)がふんだんになされていることにより、この設定とストーリーは深みを増しています。
次に言いたいのはアンドロイドの少女オデットが抱える秘密について。
これはもちろん「自らがアンドロイドである」ということになります。
王道にそって「偶然にも秘密を知ってしまい、その後オデットに協力する」という立ち位置になるキャラは登場するのですが、オデットは自らの口からこの「自分はアンドロイドだ」という秘密をどれだけ仲良くなった”人間”にも打ち明けないのです。
このような作りは実のところこの手の作品において非常に珍しいと思います。
最終的に秘密を打ち明け、そして互いの絆を確認し合い深めるという結末を選ぶ作品が多い中、この「カラクリオデット」はラストまでオデットは自分から秘密を打ち明けることはない。
そして、知られぬままに完結を迎える。
このオデットの判断をどうとるかは読み手の自由でしょうが、僕は好感を持ちました。
最後に。
主人公であるオデットがホントに生き生きしてるんですよ。
そして……どんどん”人間らしい”表情になってくるんです。
話が進むごとに感情表現が豊かになっていくんですよね。
これには参った。お見事です。