天野健太郎のレビュー一覧

  • 自転車泥棒

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    ネタバレ

    ぼくの父は、兄の高校の合格発表の時、ぼくを小児科に連れて行った時と自転車を無くし、最後は幸福印の自転車と共に失踪した。古い自転車を集め、部品を集めて修理するぼくは、失踪した父の自転車と再会する。その持ち主にたどり着くまでの人々の歴史、その人々と自転車との歴史は、チョウを工芸品にして生きる人々と、ビルマやマレーシアでの太平洋戦争でジャングルの中を彷徨う人々と、戦争に巻き込まれるゾウや動物たちと動物を愛する人々と、話がつながっていく。
    話が広がりすぎて、誰が誰と繋がっているのか追うのが大変だったので、人物関係を整理しながら読み直したい。ものすごく広がった物語が関連しあって収束していく、物語の回収の

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    2022年08月27日
  • 歩道橋の魔術師

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    台湾作家による幻想文学。
    作者はガルシア=マルケスが好きなようで本の最初に言葉が引用されている。

    この短編集は、実際に台湾にあった「中華商場」という商業施設にに住む人々の人生の喜怒哀楽が書き記されている。商場には八つの棟があり、歩道橋で繋がっていた。歩道橋にはマジックを見せていた「歩道橋の魔術師」がいた。
    ここに出てくる登場人物たちの現実はなかなか厳しい。死んだり事故にあったりする人も多い。そんな現実にふと摩訶不思議が顕れる。あまりにもさりげないので不思議とも感じないような不思議。もうなくなった商場に、もう会わなくなった人々。
    色々なものが人生を通り過ぎたが、今は自分は歩いている、厳しいよう

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    2022年07月23日
  • 歩道橋の魔術師

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     歩道橋といっても日本で普通に見る、あのただの立体横断歩道とは異なる。
    台湾の台北市・中華路には1961年から92年代まで「中華商場」という大型商業施設があった。それは鉄筋コンクリート三階建の建物が南北に台北駅の手前から愛国西路まで1キロにわたって立ち並び、それぞれの棟に〈忠〉〈孝〉〈仁〉〈愛〉〈信〉〈義〉〈和〉〈平〉という名前がついていた。商場は中華路の車道の真ん中に建てられていたため、中華商場の建物を南北に結び、同時に車道と鉄道を東西に跨ぐ歩道橋が中華商場各棟の二階で直結し、幅も広く、沢山の露店商で賑わったらしい。
     これは短編集であるが、それぞれの話の主人公たちは皆、子供のころ商場で育ち

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    2022年07月03日
  • 歩道橋の魔術師

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    20世紀末に取り壊された台北の巨大商業施設・中華商場。その棟と棟をつなぐ歩道橋には、不思議な黒い小人を見せる魔術師がいた。かつて商場で育った子どもたちは、そこで過ごした日々のなかに確かにあった魔法の瞬間を語り始める。記憶と物語の距離をめぐる連作短篇集。


    すっきりした語り口で完成度の高い作品。『自転車泥棒』の煩雑な文体とも、『雨の島』の静謐さとも異なる。芥川賞ノミニーのような空気感があるので、現代日本の文芸作品に親しんでいる人はこの小説から呉作品に入るのが読みやすそう。
    中華商場という空間が象徴する子ども時代とその喪失。主題を整理すると左のようになるが、ジュブナイルのノスタルジーを甘く描いて

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    2022年02月19日
  • 自転車泥棒

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    まず、翻訳が大変こなれていて、つっかえることなくすらすら読める。
    過去と現在、様々な場所と時代を行き来する。
    戦争の記述は、村上春樹のノモンハンの文章を思い出した。

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    2022年02月10日
  • 自転車泥棒

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    ネタバレ

    重厚で濃密。
    戦争と自転車、ゾウと戦争、チョウの話…知らないことが多すぎて、いろんな目が開かされた。

    そして、アジア史は日本が敵なのか味方なのかがコロコロ変わるので、頭の切り替えが難しい。

    でも、読み進めざるを得ない圧倒的な力を感じた。いつか再読して、きちんと理解したい。

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    2022年01月20日
  • 歩道橋の魔術師

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    Twitter文学賞で知ってからずっと気になっていた作品。これはまるで台湾の村上春樹ではないか。とても読みやすく佳作揃いだった。現実と空想の世界が、魔術師の姿を介して交差する。マジックリアリズムの世界がひと昔前の台湾の商場で繰り広げられる意外性がとても新鮮。
    魔術師はまるで空想の存在のようだが、紛れもない現実の存在である。どの作品にも必ず「死」が登場するが、むしろそっちが空想の出来事のように思えてしまう。

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    2021年12月11日
  • 歩道橋の魔術師

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    中華商場というのは1961年から約30年ほどのあいだ台湾の台北市にあった商業施設。と言っても今のモールとは異なり、3階建てのビルが8棟連なり、2キロほどの長さになり、そこに店舗とその店を営業する家族の居住空間があったというから、商店街のようなものに近いのかもしれない。
    各棟の2階には連絡するための広い歩道橋があり、そこにも露天商が並んでいたそうだ。
    この短編集はその商場に住んでいた人たちが、少年時代にそこで起きたことを回想して語る物語。そして、棟を繋ぐ歩道橋でマジックをして見せていた魔術師が各話で語り手になんらかの転機をもたらす。
    少年時代の記憶にはえてして記憶違いや、夢と記憶が混ざりあって、

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    2021年11月25日
  • 自転車泥棒

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    父の盗まれた自転車から、ストーリーが広がっていく。登場人物が多いので、ところどころページを戻りながら読んだ。

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    2021年09月15日
  • 自転車泥棒

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    盗まれた父の自転車が辿った道を追うなかで語られるイメージと物語の奔流。

    溺れるくらいだ、すげえ。

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    2021年09月10日
  • 13・67 下

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    2013年は、雨傘運動の前年
    2003年は、国家安全条例反対デモ
    1997年は、香港返還
    1989年は、天安門事件
    1977年は、文化大革命終結
    1967年は、文化大革命

    香港にとって大きな事件があり、香港警察も変わらざるを得なかったであろう状況ので中で、市民を守るため、体制に背いてでも、犯罪者を追い詰めるため知恵を絞る。名探偵クワンの警察人生と香港の反政府運動の歴史が重ねられる。

    最後に明かされたことは、安易な予想を裏切り、それぞれが激動の香港を知恵と努力で生きたのだと知らされる。

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    2021年08月29日
  • 13・67 上

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    第1章から非常にトリッキーで、反道徳的な展開。犯人を捕らえるためなら、違法ぎりぎりの捜査も厭わない。犯人を追い詰める心理戦に罠とトリック。
    名探偵と呼ばれた伝説の刑事の人生を遡る。

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    2021年08月29日
  • 13・67 下

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    このミス海外編2018年版2位、本屋大賞翻訳小説部門2018年2位。連作中編集。日本の売れ筋警察小説っぽい。香港警察の生ける伝説、クワン警視が死ぬときに始まって、駆け出しの刑事の時まで時代をさかのぼりながらの6作が入ってる。論理的に推理とあっと言わせる意外な展開が心地良い。最後のやつは主役の人が前作にも関係してるみたいだけど、読み直すの面倒なのでイマイチわかってません。とても良くできた小説なんだけど、残念なことに、漢字の人名や地名がとても分かりにくく、読み進めるのはとてもしんどかった。ジャッキー・チェンの映画のような派手なカーチェイスとかもあって飽きさせない作りにはなってると思います。

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    2021年07月19日
  • 13・67 下

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    警察の腐敗、横暴がはびこる時代を遡る下巻。最終話最後の数行で(未来の)第1話につなげる構成は見事です。「逆年代記」にした意味はここにあったのかと納得。今大きく揺れ動く香港を知るのにもちょうど良い。この作家の他作品も読んでみたくなりました。ウォン・カーウァイによる映画化も期待が膨らみます。

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    2020年10月25日
  • 13・67 上

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    短編ながらどの話も濃密で読み応えがある。「名探偵」の鮮やか過ぎる謎解きが痛快な香港ポリスストーリー。上巻は2013年から香港返還の1997年まで。時代を遡る連作という構成が斬新で面白い。“最期”が描かれる第1話は衝撃的です。

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    2020年10月17日
  • 13・67 下

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    著者の後書きにもあるが、本格派と社会派の結合や、短編と時代の遡りから浮かび上がってくるところの効果など、技がとにかく噛み合っている。
    そしてもちろん最後のカタルシスが素晴らしい。

    民衆の敵が守護者に代わり、かつての友が敵になる。面白かったし、興味深かった。

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    2020年09月22日
  • 歩道橋の魔術師

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    歩道橋を商場として育った子どもたちと歩道橋で魔術師として生活をしている男の短編集。1人1人のエピソードにさまざまな分岐点があり、その合間に魔術師がいろんなマジックをした上で言葉を残していく。

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    2025年08月24日
  • 自転車泥棒

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    失踪した主人公の父、そしてその父が最後に乗っていた自転車を探す物語。一つの自転車から出会い繋がっていく人、そしてその背景、第二次世界大戦時の話、台湾の動物園へと色んな話が次々へと来る。登場人物や動物の名前が結構出てくるので何回か前のページを行ったり来たりをしながら読み進めた。『歩道橋の魔術師』の延長線と思って読んだけど重めの内容でした。
    古きものへの愛は、時間への敬意という言葉が胸に刺さる。

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    2025年01月03日
  • 自転車泥棒

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    ネタバレ

    父の自転車を追うなかで、時空を超えてさまざまな人々の話が織り込まれていく、不思議な感じの小説。台湾と日本は密接に関わっていたんだな。表紙の絵が素敵、これも著者によるものだそうで、多才。

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    2024年10月23日
  • 自転車泥棒

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    台湾の小説。二十年前に失踪した父親。彼が乗っていた自転車が、息子である「ぼく」のもとに戻ってきた。「ぼく」は、その自転車が戻ってくるまでの物語を集めはじめる。その旅は、ビンテージの自転車の、足りないパーツを集めるようなものだ。いくら修理し続けても、完璧な状態にはならない。この小説は大量の断片によって語られる。自転車のパーツ、父の自転車の所有者たち、彼らの物語。そして主人公の人生。こうした断片によって構成される、台湾の近現代史。読んでいて、ポール・ボウルズの「シェルタリング・スカイ」を読んだときの感覚に似たものを覚えた。北アフリカの砂漠や迷宮をさまよい、人生の意味を探し、そして人生に翻弄される作

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    2024年02月17日