P・D・ジェイムズのレビュー一覧

  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    イギリスの作家「P・D・ジェイムズ」の長篇ミステリ作品『皮膚の下の頭蓋骨(原題:The Skull Beneath the Skin)』を読みました。

    「P・D・ジェイムズ」の作品は、今年1月に読んだ『女には向かない職業』以来なので約1年振りですね。

    -----story-------------
    二百年前の不気味な伝説が残る孤島コーシイ島。
    そこの贅を凝らした壮麗な舞台で演じられる古典劇に招かれ、いま、数人の客が島を訪れていた。
    主演女優「クラリッサ」の義理の息子、従姉妹、元愛人……女探偵「コーデリア・グレイ」もそのひとりだった。
    頻々ととどく死を暗示する脅迫状におびえる「クラリッサ」の

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    2023年04月01日
  • 高慢と偏見、そして殺人

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    いいですね。ミステリーの王道。毎回読むのはつらいけど、たまには、楽しい。イギリスの上流階級のしがらみと殺人事件。アガサの王道だ。PDジェイムズバアさん。バンザイ。

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    2022年04月09日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    ネタバレ

    コーデリア・グレイが登場するシリーズの第2作。しかし、シリーズといっても2作しかない。著者はすでに亡くなっており、今後このシリーズが追加されることはない。率直に言って、それはとても残念だと思った。
     巻末の解説には、著者が来日した際の実際の言葉として、「その人の真の姿や人間性、人々が匿そうとしている本質をあばきたてる」ことに「興味がある」と述べている。これは著者の作品性を端的に物語るものだと、解説には述べられている。たしかにそのとおりであると感じた。著者本人が語っているように、本作は巧妙なトリックや、幾重にも伏線が張り巡らされ、それを解き明かす謎解きの醍醐味が味わえるというよりも、どちらかとい

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    2022年03月24日
  • 女には向かない職業

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    ネタバレ

    名探偵コナンのあのキャラ名の由来。ずっと読みたいとは思っていたが、ハヤカワ文庫が新カバーになったのを見てついに購入した。
    本書が著されたのはかなり以前で、ずっと新訳もされていないようなので、少し読みにくさを感じるのは仕方ないように思った。特に序盤は、一読して意味の取りづらいような箇所があった。それでも、物語が進んでいくにつれ、それほど気にならずに読み進めることができた。
    ミステリであり、もちろん、コーデリアが謎を追っていく過程も面白いのだが、舞台が大学都市?のイメージの強いケンブリッジであることや、随所に英国の文学者からと思われる引用があったり、ケンブリッジの川の風景描写が鮮やかだったり、安易

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    2021年12月18日
  • 女には向かない職業

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    探偵稼業は女には向かない。自殺した共同経営者の跡を継ぎ、一人で探偵事務所を続ける灰原哀ちゃん大活躍。もとい、コーネリアグレイの成長譚。

    健気とは言わない。探偵のノウハウを脳内再生し、心の声で「やれる。私ならやれる」
    ひたすら突き進む彼女を気付けば応援している。強がりでタフな精神。魅力でいっぱいだ。

    探偵として証明するため、そして師弟愛のため。未熟がゆえに解決へと繋がる。
    重圧から解き放たれた時、繕ってきた探偵の姿が崩れる。少女らしさに胸を打ちます。

    ひたむきで力強い可憐な女探偵。最高じゃないか。『皮膚の下の頭蓋骨』も読まねば。

    オススメマラソンその⑱
    桜さんから紹介してもらいました。

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    2018年10月30日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    コーデリア・グレイ・シリーズ第2作。

    脅迫状におびえる有名女優の警護を依頼され、孤島を訪れた探偵のコーデリア。島には壮麗な城と劇場があり、そこで行われる古典劇のために演劇関係者や女優の親戚等が集っていた。やがて殺人事件が起きて……。

    これまで読んだP. D. ジェイムズの本の題名は暗い印象のものが多い。今回は『皮膚の下の頭蓋骨』ときた。猟奇的な内容だと嫌だなと思いながら手に取ったが、恐れていたほどではなかった(殺害手口はむごい)。読み手を身構えさせ、恐怖感を増幅させるねらいで付けられたのであれば成功している。いわくありげな登場人物や孤島の陰惨な過去と、ひたむきで可憐なコーデリアとの対比が鮮

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    2018年04月17日
  • 神学校の死

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    『正義』に続いて2作品目。
    事件発生までがかなり長く、読者側が推理するミステリでもないが、読ませる力があるのは作者の力量が素晴らしいからだろうと思う。
    たとえ事件が起きずとも、緊迫感を孕んだ濃厚な人間ドラマとして読み応えがあり、結果として事件に関わりのなかった人物達のサイドストーリーも秀逸だ。ただ、これを冗長と思う読者もいるだろうし、スピード感に欠けて退屈だと思う読者もいるかもしれない。警察の捜査も地道で無駄に終わる(でもこれが普通だろうけど)ことばかりでもどかしいばかり。万人受けではなく、じっくりと深く読書を楽しみたい人向けなんだと思う。

    意外だったのは、ダルグリッシュが前作の事件に悔恨の

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    2017年02月18日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    女探偵コーデリア・グレイシリーズ2作目にして最後の作品。前作とはうってかわって、今度は孤島で起こる殺人事件の捜査にコーデリアが当たるという、古式ゆかしい黄金期のミステリのような本格ミステリ風作品になっている。

    コーデリアの事務所を訪れた元軍人。彼の妻は女優であり、彼女宛てに数日来から脅迫状が頻繁に届いているのだという。彼の依頼はその妻が今度古城を頂く孤島の持ち主より公演の依頼を受けた、ついてはコーデリアに滞在中の身辺保護を頼みたいというものだった。
    ヴィクトリア王朝様式の古城に招かれた人々は一見裕福そうに見えるが、それぞれに問題を抱えている、とミステリの王道を行くシチュエーション。

    後にジ

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    2016年12月04日
  • 神学校の死

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    ネタバレ

    どうも作者は、時としてダルグリッシュ警視長をロンドンから解き放ちたいらしい。

    もう二人も死んでいるというのに、
    いつものごとく追い詰められている人がいるなーと思っていたら、
    殺されてしまった。
    さらにもう一人。
    舞台が学生数20人の神学校なのに殺され過ぎでは。

    人種差別問題で情熱を失いかけていたケイトが、
    重要な証言を聞き出して、情熱を持ち直したのは良かった。

    事件の関係者だったエマ・ラヴェンナムとダルグリッシュ警視長の今後の展開はいかに。

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    2015年07月15日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    「高慢と偏見、そして殺人」がすごくおもしろかったので、続けて読んでみたのだけれども、ううーん、ええと、すみません、こんな超名作ミステリについてとても言いにくいんですが途中で退屈しましたすみません。
    長い……。
    最初の、コーデリアが島に行くまでのあれこれや、島に行くメンバーそれぞれの話、殺人事件が起きるまでのいろいろあたり、死についての言及なんかはおもしろかったんですが、警察のひとりずつの尋問あたりで……コーデリアはどっかいっちゃったのかとか思いましたすみません。
    最後の対決や、ほかに類を見ないようなラストにはスリルを感じたんだけれども。
    謎解きがなきゃもっとおもしろいかもとか思っていたバカなわ

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    2013年10月28日
  • 高慢と偏見、そして殺人

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    原作の雰囲気ぶち壊しだったらどうしようと恐る恐る読み始めたのだが、さすがP・D・ジェイムズ。読み応えのあるミステリーになっていた。

    翻訳の力もあると思うが、18世紀から19世紀にかけてのジェントリ階級という『高慢と偏見』の世界にスッと入り込める。

    これは、原作から六年後、エリザベスは今や二人の男子の母となり、ダーシー夫人としての地位を確立している。

    そんな幸せなダーシー夫妻の生活に影を落とすのは、やっぱりウィッカム、リディア夫妻である。
    相変わらず人のお金を当てにするような生活を続け、挙げ句の果てに、自分が殺人事件の容疑者にまでなってしまう。

    事件が起こってからは、法廷もの的な流れにも

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    2013年07月02日
  • 高慢と偏見、そして殺人

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    英国ミステリの大家P・D・ジェイムズによる「高慢と偏見」の続編。
    みんなオースティンが好きなのね~。
    実力派なのでしっかり書き込まれ、19世紀初頭の捜査や裁判もありありと。

    「高慢と偏見」のあらすじが最初にまとめられていて、その辛らつさがとてもオースティンぽい。
    5人の娘を持つベネット夫人が4人までを結婚させられたのは幸運だったと思われていると。
    美しく優しい長女ジェーンの幸運な結婚は祝福されたが、次女エリザベスの不釣合いな結婚は驚きとやっかみを招いたと。
    ダーシーとエリザベスは当初反発し合っていたことを狭い世界の誰もが知っていたし、ダーシーは名門で格が違いすぎ、エリザベスが女主人となるペン

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    2013年03月30日
  • 高慢と偏見、そして殺人

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    エリザベス、ダーシーらの人物造形を、きちんとオースティンの作品から受け継いでいるのが小気味よく、前作を楽しんだ感情をそのまま持ちながら読めたのは満足。
    ただ、途中からなんとなく怪しいと感じた人たちが、予想通り結末にからんできて、そして最後の大団円的な終わり方は、以前のジェイムズっぽくないような。
    まあ、他人のキャラクターだから、暗鬱とは終わらせられなかったと思うけど。

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    2013年02月08日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    4+
    物語はゆっくりとゆっくりと進んで行く。そして、じわじわと、染み入るように、心と頭に刻み込まれていく、欲望、打算、不安、焦燥、衝動、憎悪、計略、恐怖、悪意…。それらおよそネガティヴな思念とも言える困難に、敢然と立ち向かい、乗り越えんとする主人公の気高さよ。そのコントラストに、その完全な黒と白との対比に、そのいずれもが“皮膚の下の頭蓋骨”であることに、ちょっぴり感動している。前作を読んだときは大してどうとも思わなかったのだが、本作を読み終えた今、この主人公にちょっぴり感動している。いずれまた、2冊セットで再読したい。

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    2012年12月12日
  • 女には向かない職業

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    物語の始まりに、共同経営者が自ら命を絶ったことを発見する主人公。
    なんという辛い幕開けなのよ、もう・・・といきなり重たい気持ちで、どんよりと読み始めたこの作品。
    最初は、なんか抑揚がなくてわからんなあ、と思いながら読んでいましたが、いつしか、主人公のコーデリアがとても好きになってしまっていた。孤独に奮闘するこの人のことを応援したくなる気持ちで、どんどんページをめくっていきました。

    それにしても、コーデリア・グレイだなんて、名前がいい!
    反則、反則~!
    わたしもこんな名前になってみたい・・・

    コーデリアの探偵としての独り立ちは、そんな形で突然やってきたのですが、パートナーの死の悲しみにひたっ

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    2012年12月05日
  • 女には向かない職業

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      女探偵もの自体、なかなかお目にかからない。私が読んだ、数少ない海外ものの一つ。
      ストーリーの起伏は激しくない。ゆるやかに、だが飽きない調子を持っている。内容の割にページ数が多いな、などと手に取った時は思ったが、第一印象などあまりあてにならないな、と思うくらい面白かった。訳にも、ありがちな違和感を感じなかった(ように思う)。
      本格モノを志向している人には、やや冗長に感じるきらいはあるかもしれない。

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    2012年09月30日
  • 女には向かない職業

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    真面目で几帳面、行動力あふれる女探偵コーデリア・グレイが主人公の推理小説。同作者P.D.ジェイムスが書いた『ダリグリッシュ警視』の番外編。
    井戸に落とされ、そこから這い出るシーンが印象的でした。
    名探偵コナンの14巻の後ろで紹介され
    ています。

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    2012年08月25日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    『女には向かない職業』のコーデリア・グレイが孤島で起きた女優殺害事件に挑むミステリー。

    丁寧を通り越して執拗と言ってもいいかもしれない描写や、一段落が非常に長いなど、決して読みやすい文章とは言えないと思うのですが、それでもこの重厚かつ端正な文体が自分には大好物らしくあまり苦も無く読んでいけました。

    孤島での事件とはいえ警察は事件の早い段階で介入してくるので、思っていたようなクローズドサークルものではなかったのですが、人間関係をつぶさに描いた作品に仕上がっていると思います。伝説が語り継がれる孤島や、脅迫状、大理石の手などさまざまな要素がふんだんに盛り込まれているあたりもミステリー好きとしては

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    2012年05月18日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    ネタバレ

    やっと読めた!!面白かった〜!頑張ったよ、コーデリア―――!!(いや、頑張ったのはコーデリアであって自分ではない)大好きになった『女には向かない職業』の探偵コーデリア・グレイの続編(といっても今のところこの2冊だけだけど)。ずっと読みたいと思いつつかなりの分厚さに若干躊躇ぎみだったけれど、読み始めたら一気読みでした。迷い猫の捜索ばかりしていたコーデリアの探偵事務所に、大物女優の身辺警護依頼が持ち込まれる。不快な脅迫状が届いているので、彼女が主役を務める劇が行われる孤島へアシスタントとして付いていくことに…。本当に不吉な脅迫状のような命の危険があるのか?物語の中盤まではそんな半信半疑のまま、孤島

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    2012年02月21日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    外国人作家の小説で最初に読んだ作品。
    ページ数や字が多いのでそれなりのスタミナを要求されますが、それだけに読み応えもあります(^ ^
    ただ、トリックよりも"人間の心の内(深層心理?)"に重点を置いている所があるので気が付いたら話の流れに置いて行かれてしまったという事が無い様にご注意を・・・・・・(多分、アンタだけ

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    2009年10月04日