井上大剛のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ初ジョン・クラカワー、短めのアウトドア系のノンフィクションルポを10話収録…いや、建築家の話はちょっと毛色が違うか、そのクリストファー・アレクサンダーの話も十分に面白いのだけど…。
特に面白かったのは、冒頭のマーク・フーの話、次生まれ変わったらサーフィンをやりたいなぁ、ドン・ウィンズロウの小説を読んで以来、ライフスタイルや取り巻く文化を含めてサーフィンが気になるところ。バブル前夜くらいからの日本のサーフ文化が歪だったので、偏見を持ってしまったのが残念、そういう意味では多分ゴルフもそうなんだろうなぁ。
ブラックダイヤモンドの前身、シュイナード・イクイットメント社の廃業に至った事故と裁判を題材にした話も身に詰まされる。自助・自己責任論は行き過ぎると危険なんだけど、他責に振りすぎるのもヒドいなぁと。
その他の話も色々考えさせられた。読みやすさと考える余地をくれるノンフィクション、名作と評判の「荒野へ」「空へ」も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
全く新しいびっくりするような事実は出てこない。訳者あとがきで指摘されるように「この飲物に○○という成分が体に良いという証拠はない。」とか「確かに××という体に良い成分が入っているが、それは人体に実際に影響を及ぼすほどの分量ではなかもしれない。」といった「幻想」を打ち消す記述に溢れている。
こうした態度は、雨後の筍のごとく、消長を繰り返す、流行りの健康飲料に踊らされないための重要な武器になる。
しかし、忘れてはならない、僕らは摂取する飲食物を科学的に分解して処理する機械ではない。
本書で度々登場するコカ・コーラ社の戦略のように、そこに付加されたブランドイメージによる体験を僕らは味わっているし、それによる身体への効果(プラセボ効果)も無視できない。
結局のところ、これだけを飲み続ければ完全に健康でいられるスーパードリンクなど存在しないということを念頭に置いてバランスよく色々な飲食物を食べつつも、たまには健康ドリンクを飲んでみ体に良いことをした気分を楽しむくらいがちょうど良いのではないか。
くれぐれも、人が楽しみ好んで飲んでいるものを本書の知識で断罪して周囲を興ざめさせないように。 -
Posted by ブクログ
大好きなんですよ、ジョン・クラカワー。
あんまり私の周囲で言及されることないですが。
沢木耕太郎が好きな人はきっと好きだと思うなぁ。
文章がとにかくイケメンよ。もう読んでて目がハートです。
今回のこの本はサーフィンのことや建築家、子供を荒野に放り込んで更生させるプログラムで起こった死亡事故(1件ではないのが怖すぎる)などなど、題材は多岐にわたっているのだけど、作家ご本人が山に登る人なので、やっぱり山、クライミングに関する話の臨場感がとにかくすごい。
特に、アウトドアウェアのパタゴニアの親会社シュイナード・イクイップメントが破産申請に至るきっかけになった事故の話は、文字だけなのに、まるでツアーに参加していて滑落事故を目撃したかのような恐怖を感じてしまった。
自然と人間のかかわりの話ばかりなんだけれども、すべての話に、お金にまつわる不穏な何かが大きく影を落としている。読後はすべてほんのり苦い。
あー、次こそは「空へ」を読もう。 -
Posted by ブクログ
ノンフィクションを専門に書くライターはそう多くはない。まずノンフィクションはフィクションに比べて金にならない。売上や映像化などによる派生収入が得られる可能性はフィクションに比べて小さい一方、取材に要するコストは大きい。
だからこそ、私は優れたノンフィクション・ライターは最大限の賛辞が与えられてしかるべきだと思っている。そして、現存するノンフィクション・ライターの中で、最も私が信頼するのが著者、ジョン・クラカワーである。
私が彼を知ったのはアメリカのカレッジ・フットボールチームによる性虐待事件とそれを隠蔽しようとする地方都市の力学を描いた『ミズーリ』においてであった。一方で彼自身の作品からすると同書はやや異色である。彼の出自は山岳ルポライターであり、彼の名を一躍有名にした3作目の『空へ』は、たまたま同行したエヴェレスト登山パーティで巻き起こった遭難事件を題材としたものである。人間の限界を超えた雪山で、どのように人が亡くなっていくのかというリアルをこれほどまでに感じさせてくれる文章というのは、この世界においてそうそうないだろう。
前置きが長くなってしまったが、本書は著者のデビューまもない時期に書かれた10の断片を寄せ集めた1冊である。そうした特性上、10のテーマは全てが登山に関するものではなく、プロサーファー、深い洞窟に潜り未知の微生物を探し求める科学者など多岐に渡る。それでも、その全ての共通するのはタイトルにあるような”自然”そのものであり、どのようなテーマであってもそこに”自然”の要素が絡む限り、一級の読み物を構築できる著者の手腕が発揮されている。 -
Posted by ブクログ
OpenAIの初期の出資者でもありAIにも深い理解のある著者の本
ChatGPTとさまざまな方向から未来を語る内容。
そもそも、ChatGPTがこれほどの会話ができることに大きな驚きを誰もが持つだろう。特に英語での会話であるのでここまで会話を引き出せるのか、プロンプトの作り方のプロがやるとこれほどまでにできるのか?(日本語でしかできないがいくつか会話を行ってみた。一月ほどまえではきっとありえなかったほどの深い会話が日本語でもできるようになってきている)
この本をヒントにどのようにAIを助手もしくはパートナーとして利用できるかを考えてゆきたい。
「はじめに」と「第10章」「第11章」が特に興味深く読めた。(内容が高度であることも要因かもしれないが)訳がもう少しわかりやすいこなれた日本語になっていればと何度もかんじた...
もうひとつ、印刷文字が薄い黒にしてある。読みにくい!このようなデザイン配慮は害しかない。 -
Posted by ブクログ
中国系アメリカ人サーファー マーク・フー 1995年
カルフォルニア ビッグウェイブ サーフィン 10mを超える波
広告塔としてのサーフィン
1994年12月23日 マーベリックス 100人とカメラの前で波に飲み込まれて死亡
レチュギア洞窟 1995年
壁に腐食残留物 微生物の有機性排泄物?
独立栄養生物 熱水噴出孔 鉱物からエネルギーを得る 火星にも地中に?
シュイナード・イクイップメント社 1986年
ティトン山脈で クライミング用ハーネス原因?の滑落死亡事故
裁判費用、保険料高騰、示談金高騰 誰かが小さなミスをした
元社員がブラックダイアモンドを立上げ
荒野療法 1995年
自然が人の魂を癒す ブリガム・ヤング大学 モルモン教
ノーススター社 63日間 800キロ 13900ドル
最小限の装備と食料で荒野に放り出す 死亡を含む多数の事故
建築家クリストファー・アレグザンダー 1985年
設計は現地で 建築を進めながら修正し続ける
盈進学園 東野高等学校校舎 大地の生と美のための建築 せめぎ合いからの創造
良い建物は生きている ゴシック様式教会 日本の寺 アルプスの山村
パタン・ランゲージ 1977年
-
Posted by ブクログ
山と渓谷社の山の本ってとことん山!!!みっちり山!!!って感じで、正直読んでて飽きてしまうことが多い。エヴェレスト、K2、難攻不落の北壁、、、などと言われてもイメージ出来ない。土地勘ないしそこまで山詳しくないし、そもそも海外の山とか環境とか文化とか全くの異世界すぎて分からない。写真を見ても、綺麗だなぁーとしか思えないし、そもそも知らない山が多すぎて調べるの疲れるし、、、。
ただ、この本はとことん山って感じの本ではなかった。
なんか山と渓谷社発刊の新聞の社説って感じ?笑笑
アウトドアに関連した社会問題全般を取り扱う本で、決して登攀だけに焦点を当てたものではなかった。私的には集中力が続きやすくてGOOD。またなんせ火山の噴火や荒野療法など興味の湧く内容ばかりだった。
ジョン・クラカワーが一編を読者を物語に引き込むように文をとても綺麗に構成していたのも魅力の1つだと感じた。一番最初に時系列が現在から始まって、そこに至るまでの過去に遡る。最初は意味のわからなかった現在の物語に段々と色が付いていく感じ。そして最後はその現在からこの文が書かれた瞬間まで進む。
最後の章にあった、『苦しみを抱きしめて』。
意味のないことに意味を見出すことの大切さを改めて実感したように感じた。