佐藤仁のレビュー一覧
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1998年にノーベル経済学賞を受賞したインド人経済学者、アマルティア・セン氏の主唱している「ケイパビリティ・アプローチ」の概略が分かる本でした。センは人間の福祉の指標としてGDPや富、効用、幸福度を用いるよりも、各人のケイパビリティに着目するべきだと主張しているわけです。まずこれは訳者自身が冒頭および巻末に記載していますように、本書内で度々使われている「潜在能力」と「福祉」は、それぞれケイパビリティ、ウェルビーイング、と置き換えて読むと一層理解が深まります。逆に言うと潜在能力、福祉として読んでいると混乱することが多々あります。ケイパビリティは何かといえば、「~をすることができる能力(自由)」を
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Posted by ブクログ
センのcapability approachに関して学ぶとするなら、最初の本になりうるかも。
"福祉の経済学"に比べて、数式はほぼない。
また、具体例が多い。
思想がよく伝わってくる。
なぜ?の部分が。
生み出した富の量の合計で国の豊かさを評価すると、
個人の差や、上位のお金持ちの富の和で打ち消されたその国のボトムにいる人たちの貧困や不平等が見えなくなってしまう。
なぜ豊かな国なのに貧しい人が存在するのか?。
インドでボロボロの服を着ていても困らないけれど、たとえば日本や豊かな国ではそんな服を着て行けるところはとても限られてしまう。
…たとえば。
スマホはお金がかかる -
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貧困は人間の選択肢がはく奪されている状態。極度の貧困により、栄養状態が悪い。雨風をしのげる家がない。予防可能な病気にかかる。早死にする。読み書きができない。部族紛争で負傷して体が不自由(身体障がい)になる。財を活用して生活の質を高める力がなければ、財を平等に分配されたとしても、それを充分に活用できない。国家は人が自分の願望や目的を実現するための前提となる能力を保障すべき。市場でまともな経済競争をするための前提となる能力を保障すべき。アマルティア・センSen『不平等の再検討』1992
※エチオピアで飢餓。ハイレ=セラシエ皇帝「働いて努力しなければ富は得られない」と、国家による救済策をほとんどせず -
Posted by ブクログ
ネタバレ印象に残ったのは、次の5点である。
1.Holistic Admissionの現実:
一度も教科書を開いたことのない異才、市川海老蔵氏が入学できる可能性が高いのは、東大かハーバード大か?――アメリカのトップ大学は、高校時代の全ての科目(運動や芸術も含めて)の成績が卓越していなければ入学資格を得られない(だから、浪人生がほとんどいない)。一方東大は、高校時代の成績が悪くても、受験科目のみ突破できる力をつければ合格できる。だから、ユニークな学生が多くなる。
アメリカでもかつては学力試験のみで選抜していたが、1920年頃にHolistic Admission を導入した。人種差別との批判をかわしつつ -
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ネタバレ学力絶対の東大のほうが米国トップ校より多様な学生が集まっている、アメリカの大学はマイノリティを優遇するためとして入試の際に人種を問われ、人物全体を評価するが、人物を評価なんてできるのか?評価を気にしすぎる学生ばかり。アメリカの大学が入学しやすかったのは1970年代まで。今は極端に低い。ユニクロ柳井は米国トップ校を目指す学生に奨学金を寄付しているが、トップ校以外の大学は奨学金制度がて薄く、多くの学生が借金に苦しむ。日本の大学なら5倍の学生を助けられるのに。事務職員をもっと重用して、経営や寄付金集めに力を発揮させるべき。などなどとても勉強になる本だった!!
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ネタバレ2017/9/14 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2017/10/8〜10/14
東大とプリンストン大という日米のトップ校で教授経験のある筆者の日米大学比較論。要するにどちらも良いところも悪いところもある、ということだが、良くある米国大学礼賛ではなく、日本側にやや分があり、というところが本書の特徴であろうか。
何でもそうであるが、形だけ模倣して日本に取り込むことはほんとに辞めた方が良いと思う。取り入れるのであれば、その文化的背景も取り入れないと絶対に失敗する(法科大学院のように)。山にたとえれば、アメリカは連峰型、日本は独立峰(富士山)型である。企業の分布も同じ。(日本は東京一極集中。 -
Posted by ブクログ
「争う世界」から見えるのは「依存社会」は公平性に欠けた社会から見える。最低限の生活保障、教育機会の平等化、情報公開の徹底などを市民レベルでの議論ができない時などに「偏った依存」を見ることができる。「争わない」為の行動は日々のコミュニケーションを通じて相手の立場を尊重し、対立を対話で解くプロセスを日常化させること、とある。特に過去の政治の面では、国民を政策で抑えきれなくなった時の争いにおいて、国民の不満をそらすため、また経済再生のために敵国を作り戦争「依存」を選ぶ、のが譲渡手段となっている。いずれにせよ、国家間、仲間同士、家族でも「争そう世界」を防ぐには日々のコミュニケーションと相手への思いやり
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Posted by ブクログ
競争の対象 希少性
競争の限界 ①無形の価値 ②人間の依存関係 ③自然の存在
争わずに競う :一つの基準で決めない 負けた人の処遇
分かりやすさ :争いを呼び込む
分業の効果 :一人当たりの仕事量の増大 考えるのをやめさせる
分業の弊害 :目的意識の喪失 格差構造 強みが優先し弱さを補う機能の弱体
分業できない仕事 :本人にしかわからない仕事 →自立した人間へ
戦後日本の賠償「役務賠償」 求償国と日本企業の依存関係
ダーウィン進化論 生存競争 ⇔ 棲み分け 環境を変える 多様性
自然の所有権 自然と人間ではなく 自然を媒介した 人間と人間の間の争い
政府による死 ポルポト