佐藤仁のレビュー一覧

  • 争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる

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    これは凄いな。何が凄いって、依存というキーワードでこれだけ世の中を読み取れるのか、って凄さ。社会の発展と個人の自由の獲得、という地殻変動が自立を賛美し、依存を見えなくさせた。帰属意識や対外援助、適者生存、土地所有権といったツイッタランドでも昨今ホットな話題は依存の問題でもある。
    自立は依存の対義語じゃなくて透明化に過ぎない。依存を自覚し、また依存先の選択肢を持つことが世の争いを防ぐのだね

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    2025年09月04日
  • 争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる

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    非常に読み応えのある一冊だった。個人と国家の関係、開かれた依存関係、発展と支配。一国では解決しきれない、地球規模の現代の諸課題も射程に入っており、もう一度、今度は精読したい。

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    2025年04月13日
  • 争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる

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    社会に頼りながら生きることの意味を更新できる本。
    著者は、米プリンストン大や東大で教鞭をとった。フィールドワークや国際開発が研究の根底にある。

    居場所から声を発することは、自分も社会も支える、小さいけれど確かな支柱になる。それを、内への帰属や安心を感じつつ、外と争うことなく実現させるための、大きなヒントをもらえたように思う。

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    2024年09月26日
  • 不平等の再検討 潜在能力と自由

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    1998年にノーベル経済学賞を受賞したインド人経済学者、アマルティア・セン氏の主唱している「ケイパビリティ・アプローチ」の概略が分かる本でした。センは人間の福祉の指標としてGDPや富、効用、幸福度を用いるよりも、各人のケイパビリティに着目するべきだと主張しているわけです。まずこれは訳者自身が冒頭および巻末に記載していますように、本書内で度々使われている「潜在能力」と「福祉」は、それぞれケイパビリティ、ウェルビーイング、と置き換えて読むと一層理解が深まります。逆に言うと潜在能力、福祉として読んでいると混乱することが多々あります。ケイパビリティは何かといえば、「~をすることができる能力(自由)」を

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    2023年05月02日
  • 不平等の再検討 潜在能力と自由

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    > よりたくさんの選択肢を持っているということが、常に、その人がしたいことをする自由を広げることには必ずしもならない。

    「この文脈で重要な多様性はなにか」が大切。そうでないと、人間の多様性のために大きな差を生み出すことになる。ハッとする。

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    2021年11月20日
  • 不平等の再検討 潜在能力と自由

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    福祉、貧困対策などを考える上で基本的な考え方となる人のうち、割と新しい部類に入る人。
    数値化して捉えることが困難な貧困を、ケイパビリティとかいう、その人たちが望むものを得るためにアクセスすることのしやすさと定義した。
    例えば所得が低くても、田舎で自給して芋食って満足している人は貧しくないし、所得がある程度あっても都市部で子どもに塾によう行かせてやれんという人は貧しいだろうという話。
    多様な生き方がある現代においては、貧困は簡単な一言で定義するのは困難だが、それをかなりまとめた功績は大きい。

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    2019年07月21日
  • 不平等の再検討 潜在能力と自由

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    センのcapability approachに関して学ぶとするなら、最初の本になりうるかも。
    "福祉の経済学"に比べて、数式はほぼない。
    また、具体例が多い。
    思想がよく伝わってくる。
    なぜ?の部分が。

    生み出した富の量の合計で国の豊かさを評価すると、
    個人の差や、上位のお金持ちの富の和で打ち消されたその国のボトムにいる人たちの貧困や不平等が見えなくなってしまう。

    なぜ豊かな国なのに貧しい人が存在するのか?。

    インドでボロボロの服を着ていても困らないけれど、たとえば日本や豊かな国ではそんな服を着て行けるところはとても限られてしまう。
    …たとえば。
    スマホはお金がかかる

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    2024年01月02日
  • 不平等の再検討 潜在能力と自由

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    貧困は人間の選択肢がはく奪されている状態。極度の貧困により、栄養状態が悪い。雨風をしのげる家がない。予防可能な病気にかかる。早死にする。読み書きができない。部族紛争で負傷して体が不自由(身体障がい)になる。財を活用して生活の質を高める力がなければ、財を平等に分配されたとしても、それを充分に活用できない。国家は人が自分の願望や目的を実現するための前提となる能力を保障すべき。市場でまともな経済競争をするための前提となる能力を保障すべき。アマルティア・センSen『不平等の再検討』1992
    ※エチオピアで飢餓。ハイレ=セラシエ皇帝「働いて努力しなければ富は得られない」と、国家による救済策をほとんどせず

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    2024年04月26日
  • 教えてみた「米国トップ校」

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    印象に残ったのは、次の5点である。
    1.Holistic Admissionの現実:
    一度も教科書を開いたことのない異才、市川海老蔵氏が入学できる可能性が高いのは、東大かハーバード大か?――アメリカのトップ大学は、高校時代の全ての科目(運動や芸術も含めて)の成績が卓越していなければ入学資格を得られない(だから、浪人生がほとんどいない)。一方東大は、高校時代の成績が悪くても、受験科目のみ突破できる力をつければ合格できる。だから、ユニークな学生が多くなる。
    アメリカでもかつては学力試験のみで選抜していたが、1920年頃にHolistic Admission を導入した。人種差別との批判をかわしつつ

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    2018年04月14日
  • 教えてみた「米国トップ校」

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    学力絶対の東大のほうが米国トップ校より多様な学生が集まっている、アメリカの大学はマイノリティを優遇するためとして入試の際に人種を問われ、人物全体を評価するが、人物を評価なんてできるのか?評価を気にしすぎる学生ばかり。アメリカの大学が入学しやすかったのは1970年代まで。今は極端に低い。ユニクロ柳井は米国トップ校を目指す学生に奨学金を寄付しているが、トップ校以外の大学は奨学金制度がて薄く、多くの学生が借金に苦しむ。日本の大学なら5倍の学生を助けられるのに。事務職員をもっと重用して、経営や寄付金集めに力を発揮させるべき。などなどとても勉強になる本だった!!

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    2018年02月26日
  • 教えてみた「米国トップ校」

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    2020年の大学入試改革制度を考える上でも参考になった。
    米国のトップ校が「人を見る」入試を実施しているのに対し、東大は学力を筆記試験のみで判定する点で偏っていると批判されることが多い。
    しかし米国の事情を詳しく調べる過程で、筆記による学力試験の方が透明性の高い、公平で、比較的安上がりなシステムであると考えるようになった、と筆者。

    高校時代に教科書を一度も開いたことがない市川海老蔵氏が入れるとすればハーバードではなく東大。

    東大は受験科目のみ突破できるだけの学力を持っていれば合格できる。その分、面白く、片寄った学生が入ってくる。

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    2017年12月23日
  • 教えてみた「米国トップ校」

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    ネタバレ

    2017/9/14 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
    2017/10/8〜10/14

    東大とプリンストン大という日米のトップ校で教授経験のある筆者の日米大学比較論。要するにどちらも良いところも悪いところもある、ということだが、良くある米国大学礼賛ではなく、日本側にやや分があり、というところが本書の特徴であろうか。
    何でもそうであるが、形だけ模倣して日本に取り込むことはほんとに辞めた方が良いと思う。取り入れるのであれば、その文化的背景も取り入れないと絶対に失敗する(法科大学院のように)。山にたとえれば、アメリカは連峰型、日本は独立峰(富士山)型である。企業の分布も同じ。(日本は東京一極集中。

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    2017年10月14日
  • 争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる

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    「争う世界」から見えるのは「依存社会」は公平性に欠けた社会から見える。最低限の生活保障、教育機会の平等化、情報公開の徹底などを市民レベルでの議論ができない時などに「偏った依存」を見ることができる。「争わない」為の行動は日々のコミュニケーションを通じて相手の立場を尊重し、対立を対話で解くプロセスを日常化させること、とある。特に過去の政治の面では、国民を政策で抑えきれなくなった時の争いにおいて、国民の不満をそらすため、また経済再生のために敵国を作り戦争「依存」を選ぶ、のが譲渡手段となっている。いずれにせよ、国家間、仲間同士、家族でも「争そう世界」を防ぐには日々のコミュニケーションと相手への思いやり

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    2025年10月18日
  • 争わない社会 「開かれた依存関係」をつくる

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    競争の対象 希少性 
     競争の限界 ①無形の価値 ②人間の依存関係 ③自然の存在
     争わずに競う :一つの基準で決めない 負けた人の処遇 
     分かりやすさ :争いを呼び込む

    分業の効果 :一人当たりの仕事量の増大 考えるのをやめさせる
    分業の弊害 :目的意識の喪失 格差構造 強みが優先し弱さを補う機能の弱体
    分業できない仕事 :本人にしかわからない仕事  →自立した人間へ

    戦後日本の賠償「役務賠償」 求償国と日本企業の依存関係

    ダーウィン進化論 生存競争  ⇔ 棲み分け 環境を変える 多様性
    自然の所有権 自然と人間ではなく 自然を媒介した 人間と人間の間の争い

    政府による死 ポルポト

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    2023年10月07日
  • 教えてみた「米国トップ校」

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    現代の高校生のうち1%に満たないトップ層は東大を滑り止めにし、米国や英国の大学進学を目指している。
    また東大がアジアNo.1の地位から転落して久しい。
    このような状況から東大よりアイビーリーグ、英国トップ校の方がなんかすごいという感覚が私にもあった。
    だがそれぞれの大学を中から眺めることのできる筆者には大学のあるべき姿から逸脱しているトップ校の現状が肌で感じられたようである。
    とても読みやすい良本。

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    2017年10月14日
  • 教えてみた「米国トップ校」

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    著者の実体験を踏まえたアメリカ大学レポートであり、とても興味深く拝読した。最後の指針については、大学運営・管理に関する点として示唆があると感じた。

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    2017年09月30日