山北めぐみのレビュー一覧
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「人種差別」を言葉として知っていても、実際の職場や生活においてどのように行われるものなのかよく分かっていませんでした。
日常のルール、会話、視線など、ありとあらゆる場面で行われる差別行為はされる側にとって理不尽で堪らなくプライドを傷つけられるのに対し、している側は生活に根付いており疑問にも思いません。あまりにも自然に差別という行為が行われていることにまず衝撃を受けます。
主人公であるNASAの黒人女性スタッフ3名もまた、仕事の業績や成果とは異なる次元で不当な扱いを受け、何度も悔しい想いをします。しかし彼女たちは不平不満をぐっと飲み込み、努力と実力で現状を打破していきます。その健気で真っ直ぐな姿 -
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この本は、たぶん今まで、誰も焦点を当てたことがない人たちの物語だ。電子計算機(コンピューター)が登場する以前の計算手(コンピューター)、しかも黒人女性という当時では二重の差別と偏見の中で、活躍した人たちの物語だ。
もうそれだけで、読む価値は十分にある。
ただし、このどうしようもなくダメダメな邦題には文句を言いたい。なんじゃい、この「ドリーム」っていうのは? 素晴らしい中身と全然あっていないじゃないか。
たぶん、第22章に出てくるキング牧師の有名な演説"I Have A Dream"の"Dream"がこの陳腐な邦題の元なのかもしれないが、それもちょっと違 -
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マーリ・アルメイダ。
戦場カメラマンにして、ギャンブラー、そしてヤリチン。
物語の舞台は、1990年のスリランカ、内戦真っ只中のコロンボだが、その様子は全て死者であるマーリの目線から語られる。
マーリは、気づくと冥界のカウンターにいた。周りは死者で渋滞。戦争の被害者である彼らは、死者になってもくだらない手続きのために列に並んでいた。そして42階で〈耳の検査〉を受けて〈光〉に行くよう案内される、、、
しかし、途中不思議な雰囲気の若者の霊と会い、生者の世界に干渉するための力があることを告げられる。残された時間は月が7回昇るまで。腐敗した政府の闇を暴き内戦を終わらせようと、スクープ写真を残してきた友 -
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ネタバレ2022年 ブッカー賞受賞作
スリランカ出身の著者が描く、1990年当時のスリランカ内戦の惨状、
そして戦場を駆け抜けた主人公"マーリ アルメイダ"がさまよう死後の世界。
現実と想像が激しく入れ乱れる中で主人公は現世で成し遂げることのできなかった、
スリランカの平和への願いを叶えることができるのか。
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エンタメを詰め込んだ海外文学、しかしそれはどれもパーフェクト・テン。
作品が評価されている理由には、その豊富なエンタメ要素にある。
まずは皮肉と比喩。
特に洋楽や洋画に関するジョークも多く、知っ -
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マンソンファミリーに2年近く居続けた少女の人生本です。
実家族が生活に不満を抱いた結果、ヒッピーやドラッグに傾倒していき、健全な所属を得られる少女時代ではなかったようです。
そのせいで頼る場所を固執していき、マンソンに疎まれてもなお居座ったのでしょうね。
疎まれていたのは当時でもうっすらはわかっていたはずなのに固執したことに疑問を持てるのはまだ思考が健全だから?
ただこの少女は当初からいたわりに殺人に関わっていたわけではないようです。
だから「マンソンファミリー」の日常はわかっても「チャーリーマンソン」については雲を掴むような感想しか持てないかも。