滝沢志郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
テクニカルライターという、マニュアルなどを執筆する職業に挑戦する主人公のお仕事小説。
主人公咲良の成長小説でもあり、他人への説明で重要視すべきことを学ばせてくれるビジネス本でもあり、軽快なやり取りが楽しい娯楽小説でもある。
さらりと読めて、重すぎない学びと感動を心に残す本。
主人公咲良は入社1年目で会社を退職し、駅員バイトで日々を凌いでいた。
台風によって運転見合わせや速度徐行が発生し、ホワイトボードに駅員が案内を記載したものの、その記載が分かりづらく利用者の混乱を招く。
そこに現れたのがテクニカルライター、浅倉響。
要点をかき出し、人々が自分がすべき行動を示す表示にホワイトボードを書き換えたことでその場を諌めてしまった。
その姿に憧れた咲良は彼女からもらった名刺を元に、彼女の勤めるテクニカルライトの専門会社、TFCの入社を決意する。
メンタルが弱いといいながら、(実際プレッシャーで涙をこぼしながら)、このひたむきな行動力と素直さで様々な壁を乗り越えていく。
2人が取り組んだペーパーや、マニュアルが小説の中で差し込まれるので、実際の彼女らのお仕事内容を知ることが出来て、軽いビジネス本としても楽しい。
他人に説明するということで大切なことを、浅倉や北条、他の先輩たちが教えてくれる。
一文一義。
ユーザー目線での説明の大切さ。
説明相手がどこまで知っていると仮定して、マニュアルを作るか。
とにかく説明相手を想ってつくられるマニュアルやペーパー。
これは、日常生活でも会社の業務でも必要になる考え方だと思った。
マニュアルの書き方以外にも、「AEDのマニュアルの例は何故男性ばかりなのか?」「AEDの操作方法って、メーカーによって違うの?」など、そういえば、という疑問も登場して、学びになった。
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Posted by ブクログ
よくあるお仕事モノかな〜と思ったら、ところがどっこい!すごくためになる小説!
どうやって説明すると伝えたいことが相手に簡潔に伝わるのか、学ぶ部分が沢山あって読んで良かったです。
私は病院で10年以上働いているのですが、患者さん、同僚、他職種に対して簡潔、過不足なく伝わるには…?と日々考えているので、本を読みながら『あの時ってアレで良かったかな…』と考える場面も。
特に、AEDの説明書と、ドローンの説明書を作る場面はじっくり読み込んでしまいました。
専門知識が無い、でも『何かできることがあるかな…』と迷っている人達に、どうやったら自信を持って人命救助に関わってもらえるのか、難しい言葉だと読むのに飽きてしまう子どもたちに、どうやったら楽しんで読んでもらえるのか。
ただ、伝えたいことや必要事項を羅列するのでは無く、相手の立場に立ち、心理面や社会背景も汲んだ上で、文章を紡ぎ、構成を考える…。
見過ごしがちだけど、大切なお仕事だなと思いました。それが安全や安心に繋がっているんですよね。
SNSが発達している社会。
文章だけだと、意思疎通が十分に図れなくてトラブルが起こることもあるから、とりあえず皆、この本を読んで『相手の気持ちに立って言葉を紡ぐ』ことを考えても良いんじゃない?とも。どうだろう…。 -
Posted by ブクログ
■伝えることの難しさと面白さを、物語を通して学べる一冊
テクニカルライターのお仕事小説です。
私自身、物事を説明したり、使い方を伝えたりすることを仕事にしてきたので、読みながら「ああ、こういうことってよくあるな」と思う場面がたくさんありました。
テクニカルライターという職業は、あまり一般には知られていないかもしれません。しかし、何かをわかりやすく説明する、必要な情報を相手にきちんと伝えるという点では、まさにプロの仕事です。
本書では、文章を短くする、一文一義を意識する、要点を箇条書きにするといった基本的なテクニックが、物語の中で自然に紹介されています。単に知識として説明されるのではなく、具体的な仕事の場面を通して描かれるので、すっと頭に入ってきます。テクニカルライティングを学びたい人にとっても、実践的な入門書になるのではないでしょうか。
特に印象に残ったのは、マニュアルは単に機械の機能や操作方法を説明するものではない、という考え方です。
大切なのは、使う人がどんな場面で、何をしようとしているのかを想像すること。メーカーが伝えたい機能を並べるのではなく、ユーザーの行動に沿って情報を組み立てる。例えば、ストッパーの説明を「ストッパーの使い方」ではなく、「ハンドルから手を離すとき」という見出しにする。なるほど、と思いました。
これはマニュアルに限った話ではありません。相手が何を知りたいのか、何に困っているのかを考えて伝えることは、あらゆる仕事に通じるものだと思います。
また、マニュアルは商品の一部であり、その不備は商品の不備にもつながる、という指摘も印象的でした。事故を防ぐために何を書くべきか、どこまで注意を促すべきか。書き手の都合ではなく、実際に使う人の立場から考えなければなりません。使う人に何かあってはいけないという視点が、プロの仕事を支えているのだと感じました。
文章を書く技術だけでなく、相手の立場に立って考えること、情報を整理すること、そして何を伝えるべきかを見極めること。本書には、そうした仕事の基本が詰まっています。
小説としても読みやすく、読後感もすっきりしています。テクニカルライティングに興味がある方はもちろん、仕事で人に何かを説明したり、文章を書いたりする機会のある方にもおすすめしたい一冊です。
「伝える」という仕事を、改めて考えさせてくれる小説でした。 -
Posted by ブクログ
読む気にもならない分厚い取説を横に、自分で試行錯誤して失敗した経験ってありませんか?
この物語は、24歳のアルバイト、咲良のテクニカルライターとしての成長物語です。
テクニカルライターって何だろうと思ったそこのあなた、取扱説明書などを正確に分かりやすく作成する専門職で、いわば家具、家電のユーザーのための翻訳家さんみたいなものらしいです。私もそんな職がある事、知りませんでした。
ある時、台風で運休して混雑する駅で乗客対応に追われパニック寸前の咲良は、颯爽と現れた1人の女性の行動に驚く。その女性は、運休状況が記載されたホワイトボードを消し、端的で分かりやすい説明に書き換え、混雑していた乗客が一斉に納得して解散していく様を咲良は目の当たりにする。それが咲良と後にテクニカルライターの師匠となる響との出会いだった。
取説というニッチな世界で、いかに重要な事を分かりやすくさせるか、余分な所を思い切ってカットするといった様々な工夫があって奥深いし、皆で知恵を出しながら良い取説を作っていくプロセスはとても面白かった。また、他社競合といった、テクニカルライター同士のバトル要素もあり、飽きる事なく一気に完走。
登場人物の個性の強さ、軽快な会話の読みやすさ、咲良の心の声が好き過ぎる。また、ビジネス書としても優秀で、多くのブク友さんが高評価されているのも納得。
個人的には、原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」に近しさを感じたので、お日柄がお好きなかたには刺さるかと思います。
短歌ツイートやレジェンド段原さんの伏線も気になるので、続編にも期待!
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Posted by ブクログ
テクニカルライターという職業と仕事を初めて知り、
新しい世界が拓けたようなワクワク感!これぞお仕事小説の醍醐味~♪
取扱説明書…誰にとっても身近な冊子製作の裏側に、テクニカルライターのプロとしての視点がたくさん詰め込まれているなんて考えもしなかった。
一番伝えなきゃいけないことはなに?
どう書いたらちゃんと伝わるか?
どうしたら読んでもらえるか?
そして、
たくさん収集した情報を整理して、
最終的には発想を転換させる…。
どんな職業のどんな仕事にも通じるようなヒントもあって、読んでいて気持ちがよい。
それに、
それぞれヒトクセある登場人物像も魅力的で、会話のテンポもこきみよい。
これはぜひ続編が読みたい!
あー楽しかった!
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Posted by ブクログ
ネタバレ「テクニカルライター」という、これまであまり意識したことのなかった仕事の奥深さが、とても面白く描かれていた。
単に正しい文章を書くのではなく、「誰に、何を、どう伝えるか」まで考えることが説明なのだと気づかされる。
ごく身近な案内やマニュアルが題材になっているからこそ、その奥にある工夫や思いやりが実感できた。
知識が増えるだけでなく、咲良が悩みながら成長していく姿にも心を動かされる。
キャラクター同士の関係性も魅力的で、仕事小説として楽しみながら自然と学べる一冊。
あまりに刺さる場面が多く、何度か泣くのを堪えながら読んだ。
読後には、普段何気なく目にしている「説明」の見え方まで変わった。 -
Posted by ブクログ
江戸時代という男社会の中で、女性の生理用品の開発に命を懸けた主人公・鞘音の奮闘に深く感動しました。
当時「穢れ」と忌み嫌われ、誰も顧みなかった女性の苦痛に光を当てた鞘音の道は、過酷そのものです。侍としての立場や世間の偏見、失敗の連続という逆境に晒されながらも、彼は洗って何度も使える木綿の工夫や吸収材の開発に愚直に向き合い続けます。周りから冷笑を浴びても「名もなき者の痛みを救う」という信念を曲げず、泥まみれになりながら前へ進む彼の姿は、まさに暗闇の中で静かに咲く月下美人のような美しさと力強さを持っています。
時代の常識に抗い、理不尽に立ち向かい続けた鞘音の覚悟は、侍の「強さ」とは誰かを倒すことではなく、他者の痛みに寄り添い救うことなのだと教えてもらえます。人のために命を燃やし尽くした彼の誇り高い生き様に共感できました。