滝沢志郎のレビュー一覧
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兄夫妻の忘れ形見である姪と暮らす武士が女性の月経の処置に使われるアイテムを幼馴染の紙問屋の息子と女の町医者と3人で作り、江戸で売り出していくという時代医療小説
これは著者である滝沢志郎氏が実際に自分でナプキンをあてて1日を過ごしてみたというTwitterの投稿が話題になってことがきっかけで知った本だった
男性が下衆な視線ではなく、女性の月経に興味を持つこと、それを掘り下げて小説にすることというのは私の記憶にある限りだとない
作中では主人公の鞘音が男性である限り女性と同じ気持ちは味わえないとしながらも、それでも毎月のしんどさや状況を知ることはできるとシンパシーではなくエンパシーで取り組む姿が印象 -
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これは良作!
明治乙女、高等師範学校の生徒たちと、彼女らを支える大人たち、そして時代の中で悲しい思いをして生きた人たちの話。
ミステリーやサスペンスの要素もあり、楽しめた。
登場する女生徒達が賢く爽やかで、元気をもらえる。
明治といえば、まだ女性の権利などなく、馬鹿にされていた時代。高等教育を受ける女生徒には世間も冷たい。
そんな中で学問をして、身を修め、生き方に悩む女生徒達が健気で、心から応援したくなった。
そんな女生徒に、当たり前のようにセクハラ行為をして、女性に人間性を認めない古い頭のおっさん達の醜いこと! あんたらクソだよ。
時代がら、多様性とは程遠い。
閉鎖的な意識の人たちから、 -
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第7回ほんま大賞受賞作品です。
大人買いのうちの1冊だったので、ゆっくり読みました。
現代も生理用品等など、色々な想いで開発に携わっている方々がいるかと思うと頭が下がります。
女性を穢れとする考えの世の中
武士道 身分
父と娘 仲間
色々な立場で色々な想い
考えることができたなと思います。
題材が題材なだけに手にとるのを憚れる方もいらっしゃるかもですが、読みやすいと思いました。
最近、生理痛体験といったものができる機会があるようです。
性別や年齢色々な違いに関係なく、お互いがお互いを尊重できる世の中になっていったら、いいなぁ~なんて思ったり。
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登場人物がなんとも魅力的だった。その後のことが書かれているのもいい。
人々に非難されながらも、当たり前とされてきたことを打ち崩してきた人たちがいたからこそ、少しずつ社会が暮らしやすくなってきたのだと実感した。穢れについては考えさせられることが多い。海外では、いまだにこのような風習が残っているところがあると聞く。少しでも状況が変わってほしい。
よくSNSで、女性は〜だから男性は〜だからとお互いを決めつけて、対立しているのを見かけることがある。女性はこのお話で出てきたように、月経や女性としての生き方に悩み、男性は女性よりも優れた体力や筋力を持つゆえに、責任感が大きい仕事を任されたりすることがあ -
購入済み
赤穂浪士の討ち入りの話です。
当然、書かれている内容は、赤穂浪士の吉良邸討ち入りの話ですので、大きな流れは皆さん知っておられるとおりです。大石内蔵助のようなリーダーの話ではなく、武林唯七という赤穂一の粗忽者を主人公とした話です。
筋が解っていても、しっかりと読ませる時代小説です。 -
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発起人は商人、発案者は女医、制作者が武士という幼馴染三人で千年の禁忌に挑む。
月経という分かりやすいワードに読み始めたけれど、その実は奈良時代以前は穢れとされていなかったモノ、つまりは女性そのものの地位向上と周知に、男の象徴でもある武士を真正面からぶつけ、取り込み、当然とされている世間と世論へ疑問を持つことを投げかけている作品。
女の敵は女と女性読者は共感するし、そんな女性たちを知るために、男性読者にも読まれて欲しい本。
時代小説にありがちな小難しい蘊蓄はなく、心情と会話主体で読みやすい。
ラストどうなるのかと思ったけど、そう来たかー、そうなるよなーと納得の結末。
血盆経や荻野吟子さん -
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ネタバレ明治21年の女高師(現・お茶の水女子大学)の女学生を中心に、爆裂弾事件の真相を追うミステリー。
ミステリーとしての出来は単純で、謎解きの楽しみはそれほどでもないが、歴史小説としては素晴らしい。
特に情景描写が上手いのか、当時の情景が浮かんでくるような、自分が明治の街を闊歩しているような気分になった。
また、森有礼、大山捨松をはじめ、歴史上の有名な人物も多数登場するのが楽しい。
主人公の二人にもモデルがいるとのことで、駒井夏のモデルはラストで安井てつだと分ったが、野原咲のモデルが誰か分からず、調べたら野口幽香という人物らしい。
野口幽香、全く知らなかった。。。
そして何と言っても藤田五郎!
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ネタバレ時代の狭間で、自分の足で立ち始めた乙女たちの物語。そして、時代の狭間に生まれその大波に翻弄されてしまった者たちの物語。
何かあるとすぐバットを振り回す咲ちゃんが可愛かった。久蔵さんには本当に幸せになって欲しかった。つらすぎ。あと最初話のわかるやつかと思った森有礼が、国家の未来を見据える代わりに、激動の時代に翻弄される、小さき者たちへの視線に欠けていたことにガッカリだった。
個人的に会津藩には思い入れがあるのでフタ婆、藤田警部、桂あたりの葛藤に涙。
時々時系列と、あえて隠そうとする風景を描写する書き方のせいでよく分からなくなったとこもあるけど、全体的に好感触でした。 -
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つい先ごろ、『先生と僕』のところで、ミステリーは嫌い、人の死ぬのは怖くて読めない、と言った舌の根も乾かぬうちに、読んだ本書は、…ミステリーだった。
いや、時代小説だと思ったんだもん。
とは言え、わりとさわやかな読後感だった。
女子高等師範学校の生徒たちも、人力車夫の久蔵も、みな懸命に生きている感じがするからだろうか。
森有礼の存在感が大きい。
これまであまりいい印象がなかった人だった。
留学経験があって、物腰が洗練されている上に、弁舌が巧みで、伊藤博文とも渡り合い、豪胆な一面もあった。
これがこの本での有礼像だ。
有礼が明治の光の部分だとすれば、久蔵は闇の部分を体現する。
「らしゃめん」