滝沢志郎のレビュー一覧

  • 明治乙女物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    西洋文化華やかなりし鹿鳴館時代に、女高師で起こった爆発事件をめぐるミステリー。どこまでフィクションなのか分からないけど、史実がうまく織り込まれていて面白かった。警部の人、作中でははっきり書いてなかったけど!あの人じゃんね?!

    西洋にまだ慣れない時代だから、という描写になってるけど、ニッポンジンの排他性は今も変わってねーなっていう感想…。
    鹿鳴館時代の西欧化の反動から国粋主義が起こり戦争の時代に突入していく、という歴史の流れがよくわかった。なるほどなぁ。

    0
    2019年07月20日
  • 明治銀座異変

    Posted by ブクログ

    それほど期待せずに読んだが、意外と面白かった。
    幕末の横浜、期せずして異国の商人を斬ってしまった浪人三人組。事件は未解決のまま明治16年の本編へ突入。
    鉄道馬車の馭者が何者かに撃たれ殺される事件が発生。新聞記者の片桐と情報屋見習いの直、そして後の大山捨松が事件の真相に挑む。
    分かりやすい構図かと思っていたら、終盤になるにつれミステリアスな方向へ。
    社会が激変した時代だけに登場人物たちの前身や人生ドラマも興味深く、こうした事件やドラマもたくさんあったのだろうなと思えた。
    直が健気で素直で愛らしく、幸せになって欲しいと思いながら読んだ。

    0
    2019年02月20日
  • 明治銀座異変

    Posted by ブクログ

    大政奉還前年、開港地横浜の夜道で外国人居留地に住む英国商人が3人連れの武士に殺害された。犯人は闇に紛れ、ついに捕らわれることがなかった。
    17年後、明治16年の初夏、銀座煉瓦街で鉄道馬車の馭者が狙撃され、「青い目の子・・・」という言葉を残して逝った。
    開化日報社の敏腕記者・片桐と記者志望の幼い相棒・直が、事件の真相を探るべく動き出すとき、歴史の渦に沈んだ17年前の事件が再び世間の耳目を集めることとなる・・・

    面白かった~!
    人力車と馬車、長屋と煉瓦の家、着物と洋服など、この時代の混沌や、維新を経験した大人たちがそれぞれに抱えた鬱屈、そして新しい時代への期待感、そんな時代背景が軽妙なやり取りの

    0
    2018年11月11日
  • 月花美人

    Posted by ブクログ

    武士による商品開発物語。
    これまで”無い”物を創りだすのはとても難しい。
    ましてや創るのは生理用品……武士としてのプライドを乗り越え、その先には女性は穢れといった文化や宗教観が立ちはだかる。

    商品開発を通して、カタブツ生真面目な武士の思考が、突出してなんか現代人ぽくなっていくのがおもしろい。

    そして生理という女性の日常を、歴史という観点から垣間見て、血盆経の信仰も初めて知った。
    正しく知識を得ることもだいじだし、
    庶民の暮らしの歴史を知ることもおもしろいな。

    読みやすくてエンターテイメント性も高いのに、
    なんかいろいろ考えさせられる。
    うん、すごくいい読書だったと思う。

    0
    2025年11月15日
  • 明治銀座異変

    Posted by ブクログ

    明治時代、銀座の鉄道馬車の馭者狙撃をきっかけに、新聞記者たちが維新前夜の殺人事件の謎を追う。
    混沌とした幕末や明治の新しい時代への期待感などの雰囲気がいいし、事件を追う三人のキャラも好感が持てる。事実が次々と明らかになってくる終盤はミステリとしてはスムーズすぎる気がするが、希望が持てる結末でよかった。
    松本清張賞の受賞作も読んでみたい。

    0
    2019年01月10日