鵜飼哲夫のレビュー一覧

  • 芥川賞の謎を解く 全選評完全読破

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    芥川賞の謎を解くと言うよりも、芥川賞の裏側と言ったほうが良いかな。
    なぜ私の世代では現代の受賞作があまり評価出来ない理由がわかったような気がする。時代に合った作品に我々の世代は追い付けないと言うことか。
    私が芥川賞の中で好きな作品は、『僕ってなに』だったな。学生運動の終焉の中でほろ苦さを感じさせるものだった。この後に書いた『龍を見たか?』で芥川賞を批判したような内容でビックリ。私達の青春時代の出来事で懐かしいな。

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    2016年08月03日
  • 芥川賞の謎を解く 全選評完全読破

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    芥川賞は人を狂わせる。
    その最たる例が、太宰治でしょう。
    選考委員の佐藤春夫に芥川賞を懇願する書簡を送ったのは有名な話。
    文面は、まさに恥も外聞もないといった体です。
    さらには自分を落とした選考委員を逆恨みし、「刺す!」とまで言い放ったのですから、その才能とは異なる意味で「太宰、恐るべし!」です。
    結局、芥川賞とは縁のなかった太宰ですが、吹っ切れてからの活躍は目覚ましく、後世に残る傑作を次々とものします。
    「太宰が、もし芥川賞をとっていたら、どうなっていたのであろう。天才幻想に憑りつかれ、明るさとユーモアのある中期以降の太宰はなかったかもしれない」
    との著者の見立てに、私も同意します。
    芥川賞

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    2016年04月01日
  • 芥川賞の謎を解く 全選評完全読破

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    芥川賞の選考とその歴史、受賞した作家それぞれのエピソード自体が作品ともいえる、話のタネ満載の本。
    選評から、受賞作はもちろん、受賞を逃した曰く因縁付きの作品も読みたくさせる。
    こうも面白そうな作品があると教えられると、生きているうちに読破するのはとても難しそうだ。

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    2015年07月09日
  • 芥川賞の謎を解く 全選評完全読破

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    個々の(今では小説マニア以外は覚えていないくらいの)マイナー作家についての妙なエピソードの紹介が、ガラクタのように詰め込まれている感じもあり、新聞記者風の大げさでチラチラ切り替わる文体はうっとうしい。
    けれども、菊池寛の企画としての芥川賞は、日本独自の文学の系譜を作るという意味では優れたものであったと思うし、その歴史の概観としてじゅうぶん面白かった。

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    2018年10月19日
  • 芥川賞の謎を解く 全選評完全読破

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    第152回(2014年下期)までの芥川賞の選評を全て読み、面白いものを紹介
    それにしても選考委員がすごすぎる。谷崎潤一郎、菊池寛、川端康成、三島由紀夫、などなどそうそうたる文豪揃い。彼らの容赦のない講評が面白い。

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    2025年06月08日
  • わからないので面白い 僕はこんなふうに考えてきた

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    本書は、1996〜2007年に連載されたエッセイから抜粋されたものであるため、取り上げられている話題が些か古いが、思考にフォーカスすれば、それも関係ないということか。
    と思ったら、あとがきで養老先生は「この連載が終わってから、私の考え方はかなり変わったと思う」と言っちゃってる。
    どうしても難しく、理解が困難なところはあるものの、いくつかのフレーズには刺さるものもあった。

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    2025年06月03日
  • わからないので面白い 僕はこんなふうに考えてきた

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    都市化、意識や言葉…では語れない物事を忘れないで生きる
    泥臭く身体を使う事。
    本来の生き物としての勘とか感覚を。

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    2025年05月17日
  • なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた

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    そういえば養老孟司さんの自伝に出会ったことはなかったと思い読んでみた。ご本人の執筆ではなく、鵜飼さんが聞き手となって書かれたものであるにも関わらず、まるでご本人が描いたかの書いたような細かなエピソードがたくさんあった。
    養老さんの思考は時に難しく、時に驚かされることもある。ほんの少し頭の中を覗けた気がする。

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    2024年02月04日
  • なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた

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    読売新聞の連載「時代の証言者 なるようになる。」に加筆されたもの。
    「養老先生への五〇の質問」も面白い!

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    2024年01月28日
  • 芥川賞候補傑作選 平成編(1)

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    映画『渇水』の原作小説を読むために探した一冊。
    他の作品も全て読んだが、『渇水』のように納得できるものから「ええ、これが候補作品になるのか」というものまで幅広かった。
    「何が良しとされるのかわからない」し、「何を良しとしてもよいのだ」と思える一冊だった。

    社会派から、アメリカ小説の真似事、そして、まるでしょうもないAVと深夜ドラマの間のような作品もあってなかなかもりだくさんだった。

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    2023年06月17日
  • 芥川賞候補傑作選 戦前・戦中編

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    戦前、芥川賞の候補となりながら受賞を逃した中から今読んでも面白い作品をセレクトした一冊。
    第1回(1935年・昭和10年)~第15回(1942年・昭和17年)の作品収録。各作品の後ろにその回の芥川賞選評が抜粋して掲載されているので、受賞作との比較や、落選した作品への当時の評価も分かるが良いですね。

    収録作どれも看板文句の通り、現代でも通じるテーマ性があったり、設定・筋の面白さなどどれも面白くあっという間に読み終わりますね。(本の分厚さにちょっと怯むかもしれませんが、フォント・行間が大きめに配置されてるのでかなりスイスイとページが進みます)。
    選評と作品をセットで読むことで感じた事ですが、作品

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    2020年06月23日
  • 芥川賞の謎を解く 全選評完全読破

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    昭和10年8月10日。第一回芥川賞最終選考会。石川達三の蒼氓が選ばれる。選に漏れた太宰は川端を刺すとまで言い逆恨みを募らせる。結局、太宰は2回目も3回目もダメであった。でも、もし、芥川賞をとっていたなら、天才幻想に憑りつかれ、明るさとユーモアのある中期以降の太宰はなかったかもしれない。芥川賞は、その存在の大きさから作家を殺す賞ともいわれるが、太宰については、落ちたことで作家としては生かされたと言える。他方、受賞できた石川については、実力もあったが、運もあった。そもそも蒼氓は、改造の懸賞小説で落選した故に、公表されなかったもの。公表されていたならば、そもそも芥川賞候補になれなかった。大阪の旗とい

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    2015年08月31日