さとみ桜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
日がな一日サロンで惰眠を貪る日陽新聞社の記者、久馬。そんな彼も好奇心が疼けば記事を書く。傍に用意するのは、怪談奇談に妖怪本。彼が書く記事は全て妖怪にまつわるものなのだ。ある春の日、少女が新聞社へ乗り込んできた。彼女の名は香澄。久馬の記事が原因で、友人が奉公先を追い出されたのだという。冷たい対応の久馬に代わり香澄に声を掛けたのは、妖美な男・艶煙。曰く、むしろ妖怪記事は人助けになっており、友人は貞操の危機を免れたのだというが!?ぞわっとして、ほろりと出来る。怠惰な記者のあやかし謎解き譚。
令和4年10月19日~21日 -
Posted by ブクログ
★空良は、手紙自体が小さな贈り物なのではないかと思った。(p.47)
【感想】
・文具好き(マニアとは言えないと思うが)なので読んでみました。
・愛用の手帳が入るサイズの革カバーが壊れ裸で使ってるので買おうかなあ。という気になりました。これまでのは修繕レベルのカバーではないので。
・著者の名前に記憶があるので調べてみたら『明治あやかし新聞』三冊を読んでました。著者名とか書名とかあまり意識しないタイプで…
【内容】
・半分は、主人公も含め、自分の周囲が敵ばかりに見えてしまっている人たちの心が少しほどけていく感じのお話。
・生霊も登場。
・文通とレターセットが好きな女子高生の心菜はときおり表情がかたくなる。
・小学一年生の翔太が母親にプレゼントしたい消しゴム。
・世話の焼ける男たちと革の手帳。
・亡くなった夫からもらったのと同じ緑色の万年筆インクを探しているがどれもビミョーに違うという緑川千歳さん。
【一行目】「嘘」
▼簡単なメモ
【江崎茂/えさき・しげる】有名な広告代理店のマーケティング部部長。部下の日下が退職して起業するのが寂しい。
【江崎の手帳】正確には革製の手帳カバー。B6(128mm×182mm)くらい。四六判の本、ごく一般的な本よりちょっと小さいくらいだがほぼ同サイズと言える。
【王司陽葵/おうじ・ひまり】→陽葵
【風間拓海/かざま・たくみ】→拓海
【日下/くさか】江崎の部下。
【心菜/ここな】新庄心菜。いつもレターセットを買いにくる女子高生。
【シエル】文具店。元八百屋だった店を改造して陸久が作った。現在陸久は世界を旅しているのでその間空良が代理店長やってる。シャッター商店街の中で生き残っている店のひとつ。「空」の意。「ラルク・アン・シエル」だと空の弧で虹の意。発音は違うらしいが。
【翔太/しょうた】萩原翔太(はぎわら・しょうた)。無口な小学生。
【翔太のママ】萩原早苗。昼はスーパーマーケットで、夜は紅子ママの店「紅/くれない」で働いている。なにかを「消したい」らしい。
【新庄心菜/しんじょう・ここな】→心菜
【空良/そら】八木空良。主人公。二十四歳。就職していたが退職して実家に戻ってきた。その後どうやら引きこもっていたようだ。SNSがらみでイヤなことがあったらしい。そのストレスもあって痩せている。自分では地味な女と思っている。丸っこい字を書く。けっこうブラコン。
【高木】革職人。江崎の美大時代の友人で今も使っている革の手帳カバーを作ってくれた。
【拓海】風間拓海。三十四歳。自由人。世界中を旅している。ぶーにゃんの名付け親。クールな陸久を年相応に振る舞わさせる唯一の存在。不機嫌な猫ぶーにゃんですら懐いている。ルックスがよくモテる。交通事故に遭い病院で昏睡中だが生霊となってときおり空良の前に現れる。ぶーにゃんは触れることができるが空良にはできない。
【手紙】《空良は、手紙自体が小さな贈り物なのではないかと思った。》p.47
【陽葵/ひまり】王司陽葵(おうじ・ひまり)。空良とは小学校から大学まで同じだった同級生。衣料品店勤務。友人と言える。最近恋愛では五連敗中。
【ぶーにゃん】シエルの看板猫。丸々と太っていていつも人間のように足を投げ出して座っている。
【万年筆をくわえたヤギ】シエルの看板代わりの陶器の置物。
【緑川千歳/みどりかわ・ちとせ】シエルの常連さん。上品な老齢の婦人。とある色の万年筆インクを探している。
【八木空良/やぎ・そら】→空良
【陸久/りく】空良の兄。正確には母方の従兄。叔母の息子で叔母が亡くなったとき母が引き取りその後母が結婚し空良が生まれた。きっちりした性格。大企業で働いていたがいきなり辞めて文具店「シエル」を開業した。極度のシスコン。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初軍人の彼の強制的な物言いにちょっと引き気味だったけれど、読んでいくと案外面倒見がよくて、猫大好きなのに嫌われる体質というギャップも出てきて、「え、きみ可愛いやつやん」と手のひら返し。
モノノ怪も問答無用で斬らなくなったし。
これも主人公の彼のお蔭かな。
主人公の彼が人間不信と言いつつもいい人間で(いや「人間」と言っていいのか)周りの人も、モノノ怪が出てきても引くどころか、ちゃっと受け入れるいい人たちが多くて優しい世界だった。
もっと怖がって拒絶する人も出てきてもよかっただろうにと思うくらい、みんな人がいい。
オリバー先生は、あの場面を見たら主人公を遠ざけるかもとも思っていたのに、ただただいい先生で、本当に本当によかった。
(そして浮き彫りになる自分の癖った見方、腐った人格)
外道だったのは、寧ろ軍人の彼のご先祖様か。
主人公の彼にも関わる過去の真実からの、現代の彼らの出す答えは。
ほっこりできて、ちょっと笑えるラストに胸が温かくなりました。
そうか、その呪い(?)は解けないのか。
結局優しいお二人と、彼らを見守る毒舌(だけどこの子も本当にいい子な)メイドさんに、素敵な仲間たち。
あやかしものながら優しい物語、堪能しました。