藤本和子のレビュー一覧

  • 西瓜糖の日々

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    『鱒釣り』や『芝生の復讐』といった短編とは異なり、章ごとに独立はしながらもまとまった緩やかな時間が流れていく感じがする。全体的に穏やかで農村的で、しかしディテールが鮮明に思い浮かぶことはない霞がかった世界。みんな謎の仕事をしている。

    「​──そのことを話してあげよう。
     そう、なにもかも、西瓜糖の言葉で話してあげることになるだろう。」(p.11)

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    2026年01月03日
  • 西瓜糖の日々

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    ネタバレ

    西瓜糖の日々

    小川洋子さんのやっているラジオ番組で取り上げられていて興味を持ちました。
    はじめてのブローディガン。
    iDeathというコミューンとそれに隣接している忘れられた世界。静かな毎日の中に不穏な空気があり、だんだんと破綻に向かっていく。
    ヒッピームーブメントやコミューンの流行の最中の小説家と思いきや、その前の小説ということでびっくり。時代の先を感じる作者の感性のなせる技なのか?
    人と人が関わるところには必ず現れる関わり合いの澱のような不安定さも良く描けていると思います。
    今、ブローディガンが小説を書いたら、どんな未来を予見してくれるんだろう?とふと思いました。

    竹蔵

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    2025年10月19日
  • 新装版ペルーからきた私の娘

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    女性翻訳者による1984年に刊行されたエッセイ

    養子と過ごす一瞬一瞬のことを、「借りた時間」から差し引かれる一瞬一瞬であると表現する繊細さ

    自分を研究者や代弁者や解説者にはしてくれない体験、
    声の大きなひとに埋もれる小さな声、
    物語性のない話。

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    2025年10月04日
  • イリノイ遠景近景

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    日本を離れても似たような会話をしてる人たちがいるんだなぁと微笑ましいエピソードが続くのかと思っていたら、ユダヤ人の迫害やアメリカ先住民族の話といった、重たいけれどその真っ只中の人々の話をしっかり聞き、そして違和感なく翻訳してくださっている。
    この方自身、とても面白い方なんだろうなと感じる。他のも読んでみよう。

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    2025年07月05日
  • 西瓜糖の日々

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    西瓜糖、アイデス(iDEATH)、忘れられた世界、鱒の養殖場、歌う虎、川に沈む棺…
    魅力的で妖しい言葉の数々が、穏やかで閉じた世界を描き出す幻想小説。
    物語をあるがままに受け取ることが得意な人、物語の筋書きより手ざわりを愛しむ人には、たまらない一冊だと思う。

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    2025年05月29日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    美しく率直な文章で、その場(話をしている場)にいるような臨場感もある。知性…。
    時代も国も違うとはいえ、実際の生活の様子を聞くとやはり驚くな。

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    2024年02月01日
  • 西瓜糖の日々

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    村上春樹以前の村上春樹的世界とでもいえばいいのか。
    並行現実のしずかな営みにある、狂気。だれもが自分が正しい。

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    2023年12月22日
  • 西瓜糖の日々

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    ネタバレ

    初ブローティガン。
    原題”In Watermelon Sugar”。
    全88断章が連なる、寓話。
    「西瓜糖の世界で」「インボイル」「マーガレット」の3チャプター。
    寓意は簡単に判りそうな気も、する。
    時間と、忘却と、生と死と、無関心と、自己欺瞞と……。
    が、あまり茫漠としすぎていて、全然判らないという気も、する。
    つまり村上春樹っぽい。
    影響関係でいえば逆なのだが。
    (また、高橋源一郎、小川洋子、柴田元幸、岸本佐知子、etc...)
    SFではないが、ユートピア≒ディストピア、の系列。
    また、地図を描きたくなる。
    アイデス : 忘れられた世界
    あるいは忘れられた世界の中に孤島のようにアイデスがあ

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    2023年12月12日
  • 西瓜糖の日々

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    西瓜島,アイデス,忘れられた世界,虎,鱒の孵化場.わたしの住む世界はゆるい時間の流れの中で,決められた毎日が単調に過ぎゆく.そして時に挟み込まれる剥き出しの暴力.断片が積み重なり,不可解で秩序のあるようなないような世界が漂っている.

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    2023年04月20日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    現実から目を背けず、強く生きている姿に感銘をうける。多様性の時代と言われるが、同化では意味がない。多様性を多様性のままいかに受け止めていけるのだろう。

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    2023年02月19日
  • イリノイ遠景近景

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    読むにつれどんどん深くなっていった。
    聞く力がすごい。聞いて理解してさらに掘り下げて、と。こちらもついうんうんと頷いてしまう。

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    2023年01月05日
  • タール・ベイビー

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    ネタバレ

    そもそも恋愛とは、異文化のすり合わせとも言える。
    生まれた場所も価値観も、培ってきたものも異なる2人が出会い、それをすり合わせる。互いの文化を受け入れてより良い関係になっていくか、それとも受け入れられずに別の道を行くことになるか。それは国や肌の色が同じだろうが違っていようが、必ず起こってくる。
    しかし、白人の富豪の庇護のもとソルボンヌ大を卒業してモデルをしている娘ジャディーンと、黒人だけの小さな町で育ったサンとの文化の違いは、乗り越えることが出来るのだろうか。

    帯の「別世界で育った男女の、激しい恋のゆくえ」というフレーズに誘われて読むと、手痛いしっぺ返しをくらう。激しく燃える甘々の恋愛小説を

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    2022年11月19日
  • 西瓜糖の日々

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    借金玉さんが折に触れてすすめてるやつ

    浮遊感?のある不思議な文体

    ちびちび読んでいるけど「西瓜糖」が何なのかよくわからない。(村で採れる作物で、食用のほか建物の材料になったりしてる。

    桃源郷ものぽくもあり、とはいえソロ隠者ではないので『ヘンリ・ライクロフトの私記』ほどひねくれてもいない。




    「わたしの生活は静かに過ぎてゆく。」

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    2022年11月03日
  • 西瓜糖の日々

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    アイデスでなじめない人間が行くところが忘れられた世界であるような感じで読めるが、実際にはその逆なんだろうと思います。

    前作「アメリカの鱒釣り」は楽しい感じでしたが、今作は一転物悲しい感じとなっています。

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    2022年10月10日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    リチャード・ブローティガンの訳者・藤本和子によるアメリカ黒人女性への聞き書き集。彼女たちは、アメリカで、黒人であること、女性であることにより二重にしたゲラれているという。ウィスコンシン州の刑務所でカウンセラーをしているジュリエット・マーティンを中心に、その同僚や受刑者たちに聞いた話がまとめられてる。どの話も個人的で、かつ普遍性があった。公民権運動などを経て黒人の状況も改善されているのではという質問にジュリエットが答えた「戦いなんて、まだ始まってもいない」という言葉が印象的だ。

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    2021年10月22日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    これはもうタイトルにやられた。かなり前(1980)に出た作品みたいなのだが最近になって文庫化されたようで店頭でタイトル見たら読んでみたくなった。翻訳を生業とし当時アメリカで暮らしていた作者が何人かの黒人女性にインタビューを行ったもの。黒人であり女性であるということは二重に抑圧された存在である、という切り口で刑務所の心理学者、ケーブルテレビ局のオーナー、ソーシャルワーカー、囚人、街で暮らす百歳を超えた老婆、などに対する聞き書き。どういう生い立ちでどういう酷い目にあってそれをどう跳ね返したのか、または、跳ね返せなかったのか、が綴られている。特定の人種と性別にのみ焦点を当てた作品で今なら逆に世に出せ

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    2021年07月16日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    アメリカの黒人差別について、あまりにも無知だ。私の知識はせいぜい映画からのもの。今もまだ続いていることは看過できないと思うものの、やはり遠い。アメリカも遠いし、黒人も遠い。
    黒人であり、女性であるということはどれだけの差別の中で生きていくことになるのか。特に、刑務所の2人、その中でもウィルマの話が印象に残った。ウィルマの語りをそのまま聞いているつもりになっているが、英語で聞き、語られたことが日本語に訳されていると思うと、藤本和子という人はすごい人だなと思う。
    弱い立場、苦しんでいる人たちの話を聞いて本にしてくださる方々にありがたさを感じる。
    過酷な人生でも強く生きていく、とにかく生きる、死ぬま

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    2021年06月13日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    強烈な現実
    そして変わらない現実
    藤本和子さんを通して伝わってくる現実
    解説に書かれている通り
    「語り手だけでなく、聞き手の何かどくどくとこちらの血管に注ぎ込まれるような…」リアリティ!

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    2021年04月30日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    教育は歓迎するが、白人文化への同化は望まない、という女性の言葉が印象的だった。
    国や地域に文化があるなら、女独自の文化を保ったままでいいんじゃないのか?ことさらに男性への同化を自他に求めなくとも、やっていけるんじゃないのか?男たちが勝手に作ったヒエラルキーを内面化してあげなくても、もう、いいんじゃないのか?

    本書を読みながらしきりに「崖」(石垣りん)の一節が思い出されてならなかった。

     戦争の終り、
     サイパン島の崖の上から
     次々に身を投げた女たち。
     
     美徳やら義理やら体裁やら
     何やら。
     火だの男だのに追いつめられて。
     
     とばなければならないからとびこんだ。
     ゆき場のないゆ

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    2021年04月15日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

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    人種差別を生きた黒人女性の聞き取り。
    13で家を出た人の話が印象的、つらい生活でも、
    こんなものと生きて来た。神を信じて。
    豊かな日本人には、耐えられない。
    人間は、いかなる状況でも生きていかれるのか?

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    2021年04月15日