藤本和子のレビュー一覧

  • 西瓜糖の日々

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    小川洋子さんのエッセイで
    取り上げられていたことから興味を持って。
    読み始めてすぐに、”出会ってしまった”と思った。
    生涯本棚に残しておきたい一冊。

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    2025年11月29日
  • 西瓜糖の日々

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    解説を読んだことを後悔した。この小説がどんな人に書かれて、そのときの時代背景のことなんか、全く知る必要はない。解釈も考察もいらない。ただ、西瓜糖で作られた橋やたくさんの川が流れる世界があって、九九を間違って教えてくる虎に両親は食べられてしまう。そのままのそれだけの世界。

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    2025年11月10日
  • 西瓜糖の日々

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    村上春樹と川上未映子の対談本で紹介されていたから手にとってみた。(確か)

    情景が映画を観るように想像できて、独特な世界観にどっぷりと浸かれた。

    読んだ後、ジーンと残るものがある。

    「こんな小説は初めて」な読書体験。
    読めて良かった。

    本に出てくる「忘れられた世界」は私たちの今住む世界なのかなと思う。
    アイデスは穏やかな世界なんだけど、なんか住みたくない…
    住人もみんな穏やだけど、どこか寂しそうで不憫な感じ。

    これは絶対また読み返したい。

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    2025年03月04日
  • タール・ベイビー

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    女性ノーベル賞作家の四作目。
    白人の庇護を受けて育った娘と、黒人だけに囲まれて育った青年。男女の心の葛藤が良く表現されている恋物語…などという単純なものではなかったです。

    文化的に異なる環境で育ったが故に、娘は相手を辛辣な言葉で非難したり蔑んだりしてしまいます。相手にも育ってきた環境や世界観があるなかで、白人世界で育ってきた価値観を振りかざし、ただ自分に迎合させようとするのは、いかがなものかと考えてしまう。そういった相手を尊重しない文化的な軋轢を男女関係を使ってよく表していると思います。しかも、それを白人と黒人ではなく、黒人同士で描き切っているのですから。

    ただ、この小説は読書初心者や海外

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    2023年12月09日
  • 西瓜糖の日々

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    「そういうのはずるしてる、というのじゃないのかな」

    「風が起こって、窓がかすかに震えた。風で、脆そうに半開きになった砂糖」
    綺麗すぎるイメージ

    「わたしたちが恋人同士になると、かの女は夜の長い散歩をやめた、でも、わたしはいまでも散歩する。夜、長い散歩をすることが、わたしは好きなのだ。」
    怖い

    マーガレットが好きだった

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    2023年09月12日
  • 西瓜糖の日々

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    牧歌的、といって良いだろうガジェットの中で行き交う現在はフィクショナルで至極自足している、かに見えるが、その円やかな事物の間隙から立ち上がってくる哀惜のノイズ、その鳴りが美しいような物語でした。冴えた月の円かさであるような。ソフトな手触りなのだが、明らかに、幽かに、かなしみを籠めてザラついている。かっこよかったです。

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    2023年04月30日
  • 西瓜糖の日々

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    発熱した状態で読むには非常に適した小説だった。筋らしい筋はほとんどない。ひたすらブローディガンの夢幻的世界観が詩のような文体で綴られている。何よりもページ数が少ないのが良かった。解説にもあったが、これを単にヒッピー文学として理解してはいけない。ことさらに提示されるのは楽園の中にあるかすかな不安であり、それは死の世界に近い。インボイルが主人公たちに見せつけようとしたのは、まさにこのことだったのだろう。ただ健康な状態で読めばまた感想が変わるかもしれない。あと、この文体でもう少し長いのを読んでみたいから、また別のブローディガンの作品を読んでみたいと思う。

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    2023年02月22日
  • 西瓜糖の日々

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    夢と現実の狭間を漂うような不思議な世界観。 みんな色々な感情に溢れ、今ここにいる人にもいなくなった人にも囲まれ、生と死、光と闇の中を行ったり来たりしながら生きている。よく分からないけど惹き込まれる。

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    2022年08月23日
  • 西瓜糖の日々

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    「西瓜糖」と「鱒の孵化場」など暗喩のような言葉がちりばめられた幻想的な本。

    「ずっと以前、さいごの虎が殺されその場で焼かれたすぐあとで、アイデスに鱒の孵化場が造られた」
    その虎はあたしたちと同じ言葉を話すし、算数もできる。

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    2022年04月02日
  • 西瓜糖の日々

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    ・アイデスと忘れられた世界、、
    アイデスはわたしの夢の中、空想の世界で、忘れられた世界がリアルな世界、現実世界。わたしは夢の中に逃避してポーリーンたちに会っているんではと思った。わたしにとってもはや現実世界は失われていて、アイデスこそが真にリアリティのある世界。

    ・アイデスは村上春樹さんのハードボイルドにでてくる世界を思い出した、閉ざされた静の世界。

    ・鱒はなにを意味してるの?鱒釣り読めばいいの?

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    2022年02月06日
  • 西瓜糖の日々

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    ひんやりと、冷たい。つめたくて、寂しい。なのにぼんやりとした黄色いひだまりが感じられる。
    ここは、どこなんだろう。私は誰なんだろう。そんなことは時にまかせて。あなたが呼んだままに。
    時の流れは無常で、流れるだけで、とまらない。
    ここで構築された世界を私は忘れたくないと思う。

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    2021年12月16日
  • 西瓜糖の日々

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    氷砂糖のような言葉の世界だった。掴んだと思ったら味わううちに溶けてしまう。皆慈悲深く、穏やかで、とてもひんやりとした冷たさを持っている。
    忘れられた世界のイメージ、血のイメージがありありと迫る。

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    2021年08月24日
  • 西瓜糖の日々

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    ネタバレ

    西瓜糖の日々

    小川洋子さんのやっているラジオ番組で取り上げられていて興味を持ちました。
    はじめてのブローディガン。
    iDeathというコミューンとそれに隣接している忘れられた世界。静かな毎日の中に不穏な空気があり、だんだんと破綻に向かっていく。
    ヒッピームーブメントやコミューンの流行の最中の小説家と思いきや、その前の小説ということでびっくり。時代の先を感じる作者の感性のなせる技なのか?
    人と人が関わるところには必ず現れる関わり合いの澱のような不安定さも良く描けていると思います。
    今、ブローディガンが小説を書いたら、どんな未来を予見してくれるんだろう?とふと思いました。

    竹蔵

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    2025年10月19日
  • 新装版ペルーからきた私の娘

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    女性翻訳者による1984年に刊行されたエッセイ

    養子と過ごす一瞬一瞬のことを、「借りた時間」から差し引かれる一瞬一瞬であると表現する繊細さ

    自分を研究者や代弁者や解説者にはしてくれない体験、
    声の大きなひとに埋もれる小さな声、
    物語性のない話。

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    2025年10月04日
  • 西瓜糖の日々

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    死後の世界ってこと?長老鱒?西瓜糖でできた何もかもって何?忘れられた世界?いろんなことが意味ありげに出てくるけど、結局何かはわからない。でも主人公は彼女に飽きて新しい女を作ったり、セックスしたり俗っぽいというか行動がリアルで、そのアンバランスさが面白い。
    これは1960年代のヒッピーコミューンのこと?と思いながら進めたものの、解説だとそうでもないみたい、、。
    晴れた日に永遠が見えた、ピーウィーの大冒険、去年マリエンバートでを思い出した。

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    2025年09月27日
  • 西瓜糖の日々

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    西瓜糖、アイデス(iDEATH)、忘れられた世界、鱒の養殖場、歌う虎、川に沈む棺…
    魅力的で妖しい言葉の数々が、穏やかで閉じた世界を描き出す幻想小説。
    物語をあるがままに受け取ることが得意な人、物語の筋書きより手ざわりを愛しむ人には、たまらない一冊だと思う。

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    2025年05月29日
  • 西瓜糖の日々

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    村上春樹以前の村上春樹的世界とでもいえばいいのか。
    並行現実のしずかな営みにある、狂気。だれもが自分が正しい。

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    2023年12月22日
  • 西瓜糖の日々

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    ネタバレ

    初ブローティガン。
    原題”In Watermelon Sugar”。
    全88断章が連なる、寓話。
    「西瓜糖の世界で」「インボイル」「マーガレット」の3チャプター。
    寓意は簡単に判りそうな気も、する。
    時間と、忘却と、生と死と、無関心と、自己欺瞞と……。
    が、あまり茫漠としすぎていて、全然判らないという気も、する。
    つまり村上春樹っぽい。
    影響関係でいえば逆なのだが。
    (また、高橋源一郎、小川洋子、柴田元幸、岸本佐知子、etc...)
    SFではないが、ユートピア≒ディストピア、の系列。
    また、地図を描きたくなる。
    アイデス : 忘れられた世界
    あるいは忘れられた世界の中に孤島のようにアイデスがあ

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    2023年12月12日
  • 西瓜糖の日々

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    西瓜島,アイデス,忘れられた世界,虎,鱒の孵化場.わたしの住む世界はゆるい時間の流れの中で,決められた毎日が単調に過ぎゆく.そして時に挟み込まれる剥き出しの暴力.断片が積み重なり,不可解で秩序のあるようなないような世界が漂っている.

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    2023年04月20日
  • タール・ベイビー

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    ネタバレ

    そもそも恋愛とは、異文化のすり合わせとも言える。
    生まれた場所も価値観も、培ってきたものも異なる2人が出会い、それをすり合わせる。互いの文化を受け入れてより良い関係になっていくか、それとも受け入れられずに別の道を行くことになるか。それは国や肌の色が同じだろうが違っていようが、必ず起こってくる。
    しかし、白人の富豪の庇護のもとソルボンヌ大を卒業してモデルをしている娘ジャディーンと、黒人だけの小さな町で育ったサンとの文化の違いは、乗り越えることが出来るのだろうか。

    帯の「別世界で育った男女の、激しい恋のゆくえ」というフレーズに誘われて読むと、手痛いしっぺ返しをくらう。激しく燃える甘々の恋愛小説を

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    2022年11月19日