藤本和子のレビュー一覧

  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    死を身近に感じる度に手にとる作品。
    通夜、葬儀に続いて故人の家に空き巣が入り、寝る場所もなく近所の銭湯にある大広間のハンモックで1夜を過ごした。そこで夜通し読んだ思い出深い1冊。

    私たちが住む現実世界と似てはいても何か決定的に違っている世界、穏やかな憂鬱に包まれたiDEATH。
    そこに属す全てのものが死の沈黙、平穏に何となく惹かれているような雰囲気で魅力的。

    死者たちは永遠の明るさの中にいる。

    足をかけていた枝から足をはずした。
    そのあとの彼女は、空気の上にひとりで立っていた。

    こんな表現があるんだと思った。音もなく静かで美しいと思えてしまう。

    0
    2026年08月18日
  • リチャード・ブローティガン

    Posted by ブクログ

    リチャード・ブローティガンをひととおり読み終わったあとにさ、これをさ、読んでさ、またリチャード・ブローティガンをひととおり読むワケ

    「物語を書くことの目的の一つは、「名もない」と一括される人びとの名を固有名詞にして呼び戻し、かれらの声を回復することにあると、わたしは思う。」(p.159)

    0
    2026年04月17日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

     深読みする必要はないのかもしれない。
     そこにこの世界がある。それを素直に受け止め、そこに身を置く感覚でいいのかもしれない。

     しかしただの穏やかで牧歌的な世界というのではなく、アイデス(iDEAETH)という名のとおり、常に死を感じさせ、どこかさみしげだ。そしていつも不安とともにあることをも感じさせる。

     不思議な世界観で、どこがどうというのは難しいけれど、それでもなんか、とても良かったな、と言いたくなる作品。

    0
    2026年01月29日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんのエッセイで
    取り上げられていたことから興味を持って。
    読み始めてすぐに、”出会ってしまった”と思った。
    生涯本棚に残しておきたい一冊。

    0
    2025年11月29日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    解説を読んだことを後悔した。この小説がどんな人に書かれて、そのときの時代背景のことなんか、全く知る必要はない。解釈も考察もいらない。ただ、西瓜糖で作られた橋やたくさんの川が流れる世界があって、九九を間違って教えてくる虎に両親は食べられてしまう。そのままのそれだけの世界。

    0
    2025年11月10日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    村上春樹と川上未映子の対談本で紹介されていたから手にとってみた。(確か)

    情景が映画を観るように想像できて、独特な世界観にどっぷりと浸かれた。

    読んだ後、ジーンと残るものがある。

    「こんな小説は初めて」な読書体験。
    読めて良かった。

    本に出てくる「忘れられた世界」は私たちの今住む世界なのかなと思う。
    アイデスは穏やかな世界なんだけど、なんか住みたくない…
    住人もみんな穏やだけど、どこか寂しそうで不憫な感じ。

    これは絶対また読み返したい。

    0
    2025年03月04日
  • タール・ベイビー

    Posted by ブクログ

    女性ノーベル賞作家の四作目。
    白人の庇護を受けて育った娘と、黒人だけに囲まれて育った青年。男女の心の葛藤が良く表現されている恋物語…などという単純なものではなかったです。

    文化的に異なる環境で育ったが故に、娘は相手を辛辣な言葉で非難したり蔑んだりしてしまいます。相手にも育ってきた環境や世界観があるなかで、白人世界で育ってきた価値観を振りかざし、ただ自分に迎合させようとするのは、いかがなものかと考えてしまう。そういった相手を尊重しない文化的な軋轢を男女関係を使ってよく表していると思います。しかも、それを白人と黒人ではなく、黒人同士で描き切っているのですから。

    ただ、この小説は読書初心者や海外

    1
    2023年12月09日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    「そういうのはずるしてる、というのじゃないのかな」

    「風が起こって、窓がかすかに震えた。風で、脆そうに半開きになった砂糖」
    綺麗すぎるイメージ

    「わたしたちが恋人同士になると、かの女は夜の長い散歩をやめた、でも、わたしはいまでも散歩する。夜、長い散歩をすることが、わたしは好きなのだ。」
    怖い

    マーガレットが好きだった

    0
    2023年09月12日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

    Posted by ブクログ

    ブローティガンの翻訳をされている方の本ということで、翻訳に関係する本なのかなと読み始めたら、アメリカに住む黒人の差別の歴史であったり、黒人女性たちが劣悪な環境でどう暮らしてきたかの聞き書きでした。
    私だったら絶望してしまうだろうなと思う境遇であっても、向学心旺盛で、世間に負けまいとする黒人女性の姿に励まされました。とにかく純粋。
    読んだ後、不思議と元気がもらえます。

    0
    2023年06月04日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    牧歌的、といって良いだろうガジェットの中で行き交う現在はフィクショナルで至極自足している、かに見えるが、その円やかな事物の間隙から立ち上がってくる哀惜のノイズ、その鳴りが美しいような物語でした。冴えた月の円かさであるような。ソフトな手触りなのだが、明らかに、幽かに、かなしみを籠めてザラついている。かっこよかったです。

    0
    2023年04月30日
  • イリノイ遠景近景

    Posted by ブクログ

    1990年代のアメリカの市井の人々の日常を綴った面白いエッセイ とだけ思って読み進めたら大間違い。
    中盤以降、テーマはさまざまなれどどんどん広く深くそしてますます面白くなっていく。
    眼差しの先には、常に社会のメインストリートから外れた、外された人たちがいる。
    彼ら彼女らの口から溢れる言葉を丁寧に記録している。ハッとさせられる言葉にいくつも出会えた。

    0
    2022年12月28日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

    Posted by ブクログ

    アメリカに暮らす一般黒人女性たちへのインタビュー。様々な人たちの暮らしのリアルは不思議と親近感と安心感を得られるので、心が不安定な時に読むといい。

    0
    2022年01月16日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

    Posted by ブクログ

    遠い国のちょっと昔の話しではない。
    彼女たちの苦しみは続いている。
    時を経てもなおまだ叫び続けなければならないほどに。

    0
    2021年11月27日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

    Posted by ブクログ

    30年ほど前のアフリカン・アメリカ女性の生い立ちの聞き書き。中でも夫の不倫相手を殺し、服役する女性の話が辛い。自分ではどうにもできない生い立ちを抱え、やむをえず殺人を犯す。1986年出版の本だが復刊。今読みたい名著。

    ブルースなんてただの唄。嘆いていたって始まらない。

    0
    2021年03月11日
  • ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活

    Posted by ブクログ

    1980年代前半、アメリカ。著者はウィスコンシン州懲治局の臨床心理医ジュリエットをたずね、彼女が参加する「女性グループ」の会と、仕事で担当する「女たちの家」の受刑者たちの話を聞いた。80年代アメリカの黒人女性たちを取り囲むさまざまな困難を語りながら、それでも語ること、言葉にすることの喜びや力に満ちた〈はじまってもいないたたかい〉の記録。


    「普遍性のなかにやすらぎを見出すよりも、他者の固有性と異質性のなかに、わたしたちを撃ち、刺しつらぬくものを見ること。そこから力をくみとることだ、わたしたち自身を名づけ、探しだすというのなら」。本書は黒人女性たちの連帯を語ると同時に、〈黒人女性〉をひとかたま

    0
    2020年12月24日
  • イリノイ遠景近景

    Posted by ブクログ

    まず、全く古さを感じない文体がすごいと思った。
    個人的には最後の章の、インディアンの人々についてのエピソードが
    もともとネイティブ・アメリカンのジュエリーが好きだったことからも興味深く読めた。
    日本人の草鞋づくりのように、生活に根付いたものづくりの話など。彼らは自然の素材もとても神聖に捉えていることなども面白かった。
    解説の岸本佐知子さんの温かな視点も好き。他の本も読みたいな。

    0
    2026年09月07日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    夏を感じられる薄めの海外文学を読みたくて手に取った本。
    しっかり理解できているわけではないか、衝撃的な部分もあるが、不思議で癒された作品。
    癖になる感じ。

    0
    2026年08月30日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    初ブローティガン。印象的なタイトルで気になっていた作品でした。

    詩的で幻想的な小説。ジャンルは違うし時代も少し前だけどブラッドベリの『火星年代記』を想起しながら読みました。なんというか古き良きアメリカと言われる時代にはこういう幻想的な世界を描き、味わう文化というか感性があったんだろうなぁと、少しメタに外れた感想を持ってしまった。

    アイデス(I Death)を始めネーミングや関係性、登場人物の言動、語られる歴史などさまざまなものが当時の社会のメタファーになっているのではないか、著者が現代社会に近いと感じていたコミュニティや関係性はむしろアイデス以外の方にあるのではないかと、色々な想像が生まれ

    0
    2026年08月10日
  • 西瓜糖の日々

    Posted by ブクログ

    ちょっと詩的すぎて私には難しかった。難しいというか、渋いというか。挿絵は一つもなかったけれど、大人の読む絵本という感じがした。綺麗で透明だけど、残酷な感じ。薄いようで触れると奥行きのあるような。西瓜糖ってどんな味なのだろうか。西瓜のように瑞々しいのかな。

    0
    2026年05月29日
  • リチャード・ブローティガン

    Posted by ブクログ

    単に短編集だからという理由で『芝生の復習』を読んでから気になっていたリチャード・ブローディガン。1984年9月に亡くなったが、私自身が翌月10月生まれなのでより気になり、読むことでどんな人物だったのか、意外にも日本に縁のある人だったことなど知れた。

    「生い立ちや社会への憤りと疎外感から自由になれなかったブローディガンは、周囲の者の感傷的な楽しみをあざけった。どこにも属していないこと、家族と呼べる人がいないことを誇りにしているようだった。」

    代表作である『アメリカの鱒釣り』や『西瓜糖の世界』をまだ読んでおらず、これを機に手に取ろうと思う。

    0
    2026年04月11日