藤本和子のレビュー一覧
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死を身近に感じる度に手にとる作品。
通夜、葬儀に続いて故人の家に空き巣が入り、寝る場所もなく近所の銭湯にある大広間のハンモックで1夜を過ごした。そこで夜通し読んだ思い出深い1冊。
私たちが住む現実世界と似てはいても何か決定的に違っている世界、穏やかな憂鬱に包まれたiDEATH。
そこに属す全てのものが死の沈黙、平穏に何となく惹かれているような雰囲気で魅力的。
死者たちは永遠の明るさの中にいる。
足をかけていた枝から足をはずした。
そのあとの彼女は、空気の上にひとりで立っていた。
こんな表現があるんだと思った。音もなく静かで美しいと思えてしまう。 -
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女性ノーベル賞作家の四作目。
白人の庇護を受けて育った娘と、黒人だけに囲まれて育った青年。男女の心の葛藤が良く表現されている恋物語…などという単純なものではなかったです。
文化的に異なる環境で育ったが故に、娘は相手を辛辣な言葉で非難したり蔑んだりしてしまいます。相手にも育ってきた環境や世界観があるなかで、白人世界で育ってきた価値観を振りかざし、ただ自分に迎合させようとするのは、いかがなものかと考えてしまう。そういった相手を尊重しない文化的な軋轢を男女関係を使ってよく表していると思います。しかも、それを白人と黒人ではなく、黒人同士で描き切っているのですから。
ただ、この小説は読書初心者や海外 -
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1980年代前半、アメリカ。著者はウィスコンシン州懲治局の臨床心理医ジュリエットをたずね、彼女が参加する「女性グループ」の会と、仕事で担当する「女たちの家」の受刑者たちの話を聞いた。80年代アメリカの黒人女性たちを取り囲むさまざまな困難を語りながら、それでも語ること、言葉にすることの喜びや力に満ちた〈はじまってもいないたたかい〉の記録。
「普遍性のなかにやすらぎを見出すよりも、他者の固有性と異質性のなかに、わたしたちを撃ち、刺しつらぬくものを見ること。そこから力をくみとることだ、わたしたち自身を名づけ、探しだすというのなら」。本書は黒人女性たちの連帯を語ると同時に、〈黒人女性〉をひとかたま -
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初ブローティガン。印象的なタイトルで気になっていた作品でした。
詩的で幻想的な小説。ジャンルは違うし時代も少し前だけどブラッドベリの『火星年代記』を想起しながら読みました。なんというか古き良きアメリカと言われる時代にはこういう幻想的な世界を描き、味わう文化というか感性があったんだろうなぁと、少しメタに外れた感想を持ってしまった。
アイデス(I Death)を始めネーミングや関係性、登場人物の言動、語られる歴史などさまざまなものが当時の社会のメタファーになっているのではないか、著者が現代社会に近いと感じていたコミュニティや関係性はむしろアイデス以外の方にあるのではないかと、色々な想像が生まれ -
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単に短編集だからという理由で『芝生の復習』を読んでから気になっていたリチャード・ブローディガン。1984年9月に亡くなったが、私自身が翌月10月生まれなのでより気になり、読むことでどんな人物だったのか、意外にも日本に縁のある人だったことなど知れた。
「生い立ちや社会への憤りと疎外感から自由になれなかったブローディガンは、周囲の者の感傷的な楽しみをあざけった。どこにも属していないこと、家族と呼べる人がいないことを誇りにしているようだった。」
代表作である『アメリカの鱒釣り』や『西瓜糖の世界』をまだ読んでおらず、これを機に手に取ろうと思う。