平川祐弘のレビュー一覧

  • 神曲 天国篇
    「天国篇」第三歌・第四歌についての記述。
    生前、神への誓願を破った為に、天国で一番低い天球「月光天」に割り当てられた魂の一人、ピッカルダ・ドナーティ。
    彼女を通して「足るを知る」事の幸福が、美しく描かれています。

    ダンテからより上天を望むかと問われて、ピッカルダはしばし微笑むと、初恋の火に燃える人...続きを読む
  • 神曲 煉獄篇

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    ダンテの神曲。
    いろいろな訳を3から4種類持っていますが、何度も読んでいるのはこちらの平川さんの訳です。
    挿絵もきれいで読みやすく一番気に入っています。
  • デカメロン 下
    ルネサンス初期に掲げられた、ヨーロッパにおける物語文学の最高傑作の一つ。下巻は8日目~10日目の30話。

    第八日以降は話の様相がガラリと変わり、西洋文学史上の重要な位置を占める『デカメロン』が、単なる艶笑談の寄せ集めではないということを実感した。

    第八日はイタズラや悪だくみがテーマとなり、笑えな...続きを読む
  • デカメロン 中
    パンデミック下の14世紀イタリア。貴族の若者たちによる面白おかしい百物語。中巻は4日目~7日目の40話。

    第四日はバッドエンドの昼ドラ、第五日はハッピーエンドの昼ドラ、第七日はドロドロな昼ドラ、といった感じで、恋愛のもつれやエロ話が出てくるわ出てくるわ。といっても下世話なだけではなく、切なさや勇敢...続きを読む
  • デカメロン 上
    ペストが流行する14世紀のフィレンツェで、10人の紳士淑女が語る、18禁多めな百物語。上巻は30話まで。

    1人1話ずつで1日に10話、10日で100話となる計算。
    1日目は機知に富む話が多く、何となく日本昔ばなしを連想した。2日目以降はその日ごとにテーマが設けられ、お題に沿った話が語られるが、次第...続きを読む
  • 神曲 煉獄篇
    煉獄とはなんぞや?地獄行きを免れた死者が天国を目指し七つの大罪を浄める贖罪の山である。鬼滅の刃は知らん。

    地獄篇のビジュアルが印象強い「神曲」だが、煉獄篇も非常に映像的。地下に降りていった前篇から、今度は山を登っていくという流れになり、雄大かつ峻烈な風景が描かれる。おどろおどろしさは薄れるものの、...続きを読む
  • 骨董・怪談
    誰もが知っている雪女や耳なし芳一などが収録されている本。
    有名は話のほかに昆虫にまつわる話や餓鬼などにまつわる話もあり、個人的にはそちらのほうが情緒溢れる魅力的な話だった。
    外人である小泉八雲がよくここまで日本人の心に訴えかける切なくも美しい文章を書けたと驚くばかりだ。
    日本人よりも日本人らしい方だ...続きを読む
  • 神曲 煉獄篇
    地獄編同様、一日一歌コツコツ読んだ。
    『神曲』を読む上で、思いつきで実行してきたこの読み方は案外有効なように思える。なぜなら、地獄〜煉獄を巡ることがいかに大変なのかを追体験できるからだ。途上でダンテは何度も挫けるが、その都度ウェルギリウスに励まされ、歩を進める。私も何度か読むことが億劫になったが、そ...続きを読む
  • 神曲 地獄篇

    好きこそ物の上手なれ

    訳者の平川さんは、ダンテ の神曲を原語イタリア語で読みたい訳したいという子どもの頃からの願いを持ち続けて、その夢を果たされたと記憶しています。
    神曲大好きという思いがヒシヒシと伝わってきて、ほんと読みやすいと思います。訳してくださってありがとうございます!といった感じです。
  • 日本人に生まれて、まあよかった
    書名からもっとゆるい内容を想像したが、硬骨で辛口な論説だった。

    先の大戦を実体験し、複数の国で生活した経験に根差した著者の主張は、今時の薄っぺらいリベラルのものとは一味違う。
  • 神曲 地獄篇
    2009年1月16日~17日。
     右のほほを打たれたら相手の左のほほを殴り返せ!
     というキリスト教の教えの本(キリストはそんなことはもちろん説いていないが)。
     自意識過剰男ダンテ(作者が作中の登場人物)が自分の気に入らない人間を地獄に落として呵責に苦しませている。
     そんな感じ。
     つ...続きを読む
  • 神曲 煉獄篇
    2009年1月19日~20日。
     面白さからいったら地獄篇の方が上かも知れない。
     それでも、これは面白い。
     ベアトリーチェってのもかなり自惚れが強い女性だし、ダンテも案外傲慢で情けなくて、甘えん坊。
     キリスト教ってのもどうなの?
     結局は神の復讐の訳でしょ。
     なんて読み方はやはり...続きを読む
  • 芸術家列伝3 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ
    借りたもの。
    ルネサンスの芸術家の横顔、当時の人々の息遣いを今に伝える良著。その中で“万能人”レオナルドと”神のごとき”ミケランジェロについて書かれた部分訳。
    本来は100人を超える、ルネサンスに活躍した画家・彫刻家・建築家について言及されている。

    レオナルドよりもミケランジェロについての言及が圧...続きを読む
  • 日本人に生まれて、まあよかった
    海外で10年以上生活した経験から、「日本人に生まれて、まあよかった」という言葉に共感しています。とくに朝日などの自国批判を奨励する風潮に対し、広い視野から日本の美点、課題を語っており、よい知己を得たと感じました。
  • 日本人に生まれて、まあよかった
    本を読むのは、「自分の無知さを知るため」と同時に、「少しでも自分の知識を蓄えるため」、と思っているのですが、この本を読んで、自分の無知さをますます恥じました。

    非常にいい刺激になったのはもちろん、歩みが遅いながらも、自分の進んでいる方向が間違っていないことが確認できました。
    その一方で、間違っ...続きを読む
  • 日本人に生まれて、まあよかった
    古典を読み込む事は大事ですね。やはり日本人としての教養を身につける。その上で、三点測量など複数の視点を持つことかな。
    また、自らに厳しくあってこそリーダーであると思う。(武士道精神(騎士道精神))
  • 神曲 地獄篇
    崇高すぎて敷居が高く敬遠していたが、ドラマ「BORDER」の謎解きに出てきたので読んでみた。ダンテがラテン語ではなくトスカーナ方言で書いたのは、より多くの人に読んでもらいたかった故だろうし、分かりやすい平川訳で読んで正解だろう。
    「神曲」というタイトルは森鷗外の紹介文からきていて、原題は「喜劇」とい...続きを読む
  • 神曲 地獄篇
    いやあ楽しかった!ーー

    目の前に現れるリアルな地獄の凄絶なこと!
    おびただしい罪人がさまざまな苦行を強いられて、苦しんでいる。
    それをただただ目にし、目的地へそぞろ歩いていく。
    ダンテのおののきがこちらまで伝わってくる。

    読む前はもっと抽象的で難解な作品だと思っていた。
    それぞれの歌の前に訳者に...続きを読む
  • 神曲 地獄篇
    僕の予想に反し、結構わずかな時間で読み終えた。面白かったというのもあるし、訳がよかったのも大きいと思う。地獄で苦しんでいる人の描写が、人間的で生き生きしてるのが楽しい。煉獄編もこの勢いで読めてしまうかも。
  • 神曲 地獄篇
     2000年のロンドンの「タイムズ」紙で「過去千年間の最高傑作は何か」というアンケートで選ばれた、700年以上も前の作品。

     ダンテがウェルギリウスの案内によって地獄・煉獄・天国への旅に出る。そこで様々な地獄絵図に遭遇する。

     蛇に巻かれた男が出てきたり、自分で自分の首を取って手で持ち歩く男がで...続きを読む