對馬達雄のレビュー一覧
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ヒトラーが絶対的に支配していた第二次世界大戦中のドイツで、ヒトラーに抵抗してユダヤ人を助けたり、反ナチスの行動をしていた人達がいました。
彼らは、国民の大多数がナチス体制を支持していた中でも、自分の良心に従い行動していました。
多くの人達が捕まって死刑になったりしました。
自分が同じ状況に置かれたとき、彼らのように勇気ある行動をすることが出来るだろうか?と自問すると、たぶんできないだろうと思います。
人間は、ヒトラー、ナチスのように残虐非道なこともするし、その反対にこの本に書かれているような尊い行動をすることもします。
人間の不思議さを感じました。 -
Posted by ブクログ
重苦しくも感動的で、戦中だけでなく戦後の苦渋に満ちた動向も押さえてあり、歴史の重みを感じられる1冊でした。
シュタウフェンベルク、ショル兄妹、バウアー検事長たちのことは知っていましたが、一労働者でしかないのに、一人で孤独にヒトラー暗殺を計画したという、ゲオルク・エルザーのことはまったく知らなかったです(調べたら、やっぱり映画になってました)。
映画『タクシー・ドライバー』のような、半ば異常者なのでは? とも思ったのですが、現在では故郷に全身像が建てられるほど評価されているとのこと。
ドイツ国民全体(大半は己可愛さからヒトラーを支持した)からすれば極小数ですが、それでも勇気を持ってヒトラーに抵抗 -
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ドイツ近代史について良書。研究としての読み応えと、市民的勇気に心揺さぶられる稀有な読書体験ができた。昨今ヒトラーの人間性を好意的に捉える言説が巷で聞かれるが、この本を読み、どれだけの人がナチスドイツの犠牲になったのか、未来ある大学生が処刑されるような国のトップを肯定的に解釈する恐ろしさがどれほどのものなのか考えて欲しいと感じた。また時代は違えど西洋史を専攻した人間として、キリスト教的価値観倫理観とヨーロッパという点でも興味深かった。
ヒトラーが国民から大きな支持を得ていた中で、見つかればほぼ確実に処刑されることを理解しながら、抵抗した人々の姿を本書から感じ、自分がそのようなことができるだろうか -
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最初から最後まで読み応えのある内容だった。
反ナチ市民を中心にした時系列の章立てのおかげで、市民側が望んでヒトラーを求めたこと、なぜ望んだのかという背景的な社会問題も明瞭に説明されている。
ヒトラー内閣成立後、より激しくなる暴力、略奪経済、消耗戦。
密告が常態化しているなか、個人レベルの消極的な反ナチ活動はあり、慎重に活動の輪を広げてネットワークを成してユダヤ人をかくまい逃がそうとしたり、理想の未来「もうひとつのドイツ」に着目して燃える市民がいたりする。
第五章での、レーマー裁判の裁判長バウワーの論告には、言葉の持つ「智」の力を感じた。
最後にまとめられていた年表は、関連情報がまとめられていて -
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良心に基づき命を賭して反ナチ行動を取った市民たち。彼らは戦後一転評価を得たわけでなく,長らく同胞から裏切り者呼ばわりされ,報われることはなかった。よく考えるともっともな流れではあるけれど,この事実はかなりショッキングだ。反ナチという点で彼らと同じ立場であった占領軍も,占領政策の都合上,反ナチ抵抗運動については故意に黙殺した。力をもつものと力をもたないものの差,といってもいかにも酷な話だし,勝者が敗者である全ドイツ人にドイツの犯罪の責任をかぶせることで,逆に個々のナチ同調者の責任を稀薄化してしまう結果となっている。
この本で紹介されているように,有名な白バラ事件と7月20日事件のほかにも数々の無 -
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「レナーテも機会があったら、いつも人には親切にしなさい。助けたり与えたりする必要のある人たちにそうすることが、人生でいちばん大事なことです。だんだん自分がつよくなり、楽しいこともどんどん増えてきて、いっぱい勉強するようになるとそれだけ人びとを助けることができるようになるのです。これから頑張ってね。さようなら。」
「教育など必要ない」としたナチス支配下のドイツにおいて、ナチスに抗い子どもたちの未来を明るく照らし続けた教育者ライヒヴァインが、捕らえられ、処刑される直前に長女へと送った手紙です
彼の最後の言葉は「学ぶことの意義」でした
それは「人を助けるため」にある -
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第2次大戦中のドイツ国内でナチに抵抗した人々についてまとめられた、有益な一冊。ユダヤ人を匿ったり逃した人々、反ナチ活動を行なった人々の様子が余すところなく網羅されている。それ故当時う人物や団体名も多く、できれば年表だけでなく各グループ名と判明している参加者ごとにまとめた図でもあるとありがたかったかも。第2次大戦後これらの活動が語られなかったのは、当事者があえて声高に言わなかったこともあるが、ナチ抵抗者たちが社会から裏切り者的な扱いを受けていたこと、戦後の占領国の政策の都合上多くのナチ関係者は国の中枢に戻り、抵抗活動の資料が破棄されてしまったことが大きいという事実に驚いた。ドイツ観が変わった。こ